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梨の香りとおばあちゃんのうた。―最後のコトバ

作者: minmi

るるる、るる、るるる・・・・


私は今日も鼻唄を口ずさむ。


るるる、るる、るるる・・・・


調理中のお味噌汁が入ったなべの前で。


夕焼けのオレンジに染まる帰り道で。


るるる、るる、るるる・・・・


私は今日も、口ずさむ。


おばあちゃんのうたを。








----------------------------------------------------------------------------------------








友達といつもの交差点で別れる。ここからは1人の帰り道だった。


学校は土曜だから午前授業。いつも帰るのは夕方ごろなのに、今日は頭の真上にお日様がある。


空は晴天。太陽は今日も絶好調だった。


だけど今はもう9月の終わり。太陽がじりじりと人間の体力を奪っていく季節は終わっていた。


毎年この時期、私はご機嫌だ。


だって、私のだーいすきな秋!


食べ物はおいしいし、運動にも最適、読書は・・・・しないけど、それにも快適!


それに、秋はあの人の誕生日だ。


それを考えたとき、思わず頬が緩んだ。


今年は何をプレゼントしよう。去年は静かなクラシックのアルバムをあげた。その前はお財布。


どっちも安物なのに、あの人は今も大切に使ってくれてる。


あの人は本当に、嬉しそうに笑う。ただの16歳が買うプレゼントなんて本当にたいしたものじゃないのに、


あの人は毎年嬉しそうに笑ってくれる。それが嬉しくて、単純な私はその笑顔を見るために悩みまくってプレゼントを選ぶ。


きっとあの人は、何をもらっても笑ってくれるんだろうけど。


ああ、やっぱり、秋っていいな。




そんなことを思っていたらもう目的の家の前についてしまった。


小さな塀から家を除くと、いつも通り縁側に腰掛けて幸せそうに鼻唄をうたっている。


じゃましちゃ悪いかなと思いつつ、私は大きく手を振って言った。


「おばあちゃーんっ!」


私が呼んだ瞬間、おばあちゃんは俯きがちだった顔をあげて、ぱあっと微笑んだ。


「梨香ちゃん。もう学校終わったの?」


「うんっ。今日は土曜だから午前授業だったんだー。」


そう答えながら小さな門をくぐり、よく整備された庭を横切る。


「そう、じゃああがってあがって。昨日ねえ、息子がいっぱい梨を送ってきたの。」


「梨?!私大好きー!」


玄関でローファーを脱ぎ捨て、とことこと居間に向かう。


おばあちゃんの家は純和製ってカンジで、畳の部屋しかない。私の家には畳の部屋がないからいつも新鮮だった。


「じゃあいっぱい食べて。こんなに送られても、私1人じゃ絶対食べれないのよ。」


居間に行くと、おばあちゃんはその奥の台所で包丁とまな板を用意していた。


私はかばんを置いてから居間を通り抜け、台所にある冷蔵庫の隣に陣取る食器棚をあけた。


「まかしといて。おばあちゃん、お皿これでい?」


私は白い大きめの器っぽいお皿を見せた。梨の皮を綺麗に包丁でむきながら、おばあちゃんはお皿をちらっと見た。


「うん、それでいいわ。そこに置いてて。」


私はまな板の横にそのお皿を置いた。


まな板の上には綺麗に皮がなくなり、真っ白になった2個の梨。


おばあちゃんはそのうちの1個に包丁を入れた。


しゃきっ。


梨が半分になると同時に、みずみずしいにおいが台所に広がる。思わずすうっと息を深く吸い込んだ。


「いいにおい。」


「そうねえ。みずみずしいにおい、私も好きなの。そう思うとりかって名前がうらやましいわ。」


「私の名前?でもありきたりでつまんないよー。りかだよ、りか。」


私が口を尖らせて反論すると、おばあちゃんはふふっと笑った。


「でも、ありきたりって悪いことじゃないのよ。みんな使ってるってことは、それだけ素敵なものなんだから。」


そう言っているあいだにも、おばあちゃんは慣れた手つきで梨を切り分けていく。その度にみずみずしいにおいが広まって、


たしかに梨香っていうありきたりな私の名前も悪くないなと思えた。


「あ、梨香ちゃん。食器棚から地小さめのお皿出してくれる?・・・そう、それでいいわ。」


私は普通の取り皿を置いた。そこにおばあちゃんは4つほど切り分けられた梨を乗せた。


「あの人のところにおいてくれる?あの人も梨、好きだったから。」


そう言うおばあちゃんの顔は笑っていたけど、どこか寂しそうだった。


こんな顔をするおばあちゃんを見ると、私は何も言えなくなる。


もどかしかった。まだ私は本当に子どもで、おばあちゃんには何もしてあげられない。


それがとてももどかしい。


大人になりたかった。やりたいことなんてない。ただ、だれかの傷をそっと包み込んであげるような言葉を


大人なら容易く言えるんだろうなと思った。


仏壇に梨が乗ったお皿を供える。置かれた遺影をまっすぐに見つめると、少しだけ胸が温かくなった。


遺影には、朗らかに微笑む初老の男性の顔。


私はこの人と会ったことがない。血のつながりもないから、この人が生きてる間には関わる機会がなかった。


そう、私とこの人は血のつながりがない。つまりおばあちゃんともだ。


私とおばあちゃんはただのご近所さん。10年前にこの町に引っ越してきた池内家に、いろいろとよくしてくれたのが


すでにおじいさんを亡くして1人暮らしだったおばあちゃんだった。


「さあさ、食べましょ。昨日ちょっと食べたけどこの梨とっても甘いのよ。」


私がぼーっとしているのに気づいたのだろうか。おばあちゃんが声をかけてくれた。


「うんっ。食べる!」


私が元気な声で答えると、おばあちゃんは嬉しそうにまた微笑んだ。


いつもの位置で正座をして、お皿の横にあるつまようじを取る。いただきますを言いながら梨に手を伸ばした。


さくっ。


「うん!あまーいっ。」


食べた梨はびっくりするほど甘かった。みずみずしい甘さが口に広がって、思わず頬を緩める。


「私も少し食べさせてね。」


「食べて食べて!ほんっとに甘いよー。」


おばあちゃんもつまようじを1本とって、梨に手を伸ばした。


しゃりっ。


その音がした瞬間、おばあちゃんの顔にも笑みが広がった。


その顔を見て私も満足して、次の梨に手を伸ばそうと―――――


「え・・・・?」


おばあちゃんが小さくつぶやき、息を呑む音と梨が机の上に落ちる音がきこえた。


なんだろうと思って顔を上げてみると、おばあちゃんの顔には微笑みなんて残っていなかった。


ただ、驚き。それだけが表情から読み取れた。


「・・・・おばあちゃん?」


私がおそるおそる声をかける。


「・・・・あ。」


自分の状態に気づいたのだろうか。おばあちゃんはあわてて笑顔を作り、落ちた梨を拾う。


「ごめんね!ちょっと手が滑っちゃって・・・・」


そう言うおばあちゃんのしわだらけの手は、小刻みに震えていた。笑っていても瞳の奥にはとまどいが残っていて、


まだおばあちゃんが何かに困惑しているのがわかった。


「どうか、したの?」


震えるおばあちゃんの手を見つめて言った。その小さな手にはたしかに年月という細かいしわが刻まれていて、


結局私とおばあちゃんは経験してきたものと量が全く違うのだと強く感じ、胸の奥がずきんと痛んだ。


「ぼーっとしたらちょっと手が滑っただけよ。ほらほら、もっと梨食べて!」


おばあちゃんは何も相談してはくれない。きっとそれは、大人が子供にする対応としては正しいんだと思う。


でも、相談してほしかった。


おばあちゃんが安心して相談できるような、立派な大人にいますぐなりたかった。


「・・・・うん!早く食べないと、おばあちゃんの分まで食べちゃうからねっ。」


そんな大人にいますぐなれるわけもなく。私はただ、純粋な子供のように笑顔で梨を食べるしかできなかった。


大人と同じくらいの知識は持ってる。人生で必要な立ち回り方だって学校でいやでも覚えることになった。


なのに、どうして私は大人じゃないんだろう。


大人と同じなのに。結局「こども」に分類される。


大切な人に頼ってほしいのに、私はまだ子供だった。


しゃりっ。しゃりっ。


梨を食べ続ける。みずみずしい甘さ。飽きることのないすっきりとした味。


梨はとても甘かった。おいしかった。


なのに、おばあちゃんはこのあと1つも梨を食べなかった。








----------------------------------------------------------------------------------------










るるる、るる、るるる・・・・・




ねえ、どうして歌詞はつけないの?


「俺は作詞家じゃないからな。せっかくイメージ通りに作れた曲を、ちっぽけな歌詞で汚したくない。」


その「イメージ」が自分だということを考えて、急に顔が熱くなった。


それをごまかすために、私は小さくこほんと咳払いをする。


それを見て何を思ったのか、彼はくすくすと笑った。


でも、ほんとうにいい曲・・・・。


私がつぶやくと、彼は笑った。今度はからかいではなく、本当に嬉しそうに。




るるる、るる、るるる・・・・・




私は歌う。


今日も明日も。


歌詞はないから鼻唄だけど。


気持ちは確かに、ここにあるから。


「でも、それもそろそろ終わりなのね。」


声に出してみると、不思議な気持ちだった。


悲しみも恐怖も憎しみもない。ただ歌えなくなるだけ。


そう、ただ歌えなくなるだけ。


本当は悲しいことなのだろう。だってこんなに大好きな歌なんだから。


でも、大丈夫。


だっていまでも、あの人が唄ってくれる声がきこえる。


だから私も、唄い続けるんだと思う。


だから、大丈夫。






----------------------------------------------------------------------------------------








昨日のおばあちゃんの様子がずっと胸に引っかかって、私はなかなか寝付けなかった。


そのせいか、こうして穏やかな朝を迎えたのに、心はまだ眠りの中にいるみたいにぼやっとしていた。


おばあちゃん、どうしたんだろう。本当に何かに驚いてるみたいだった。


悲しんでるわけではないみたいだけど、あんなおばあちゃんの顔を見たら心配せずにはいられなかった。


心配で心配で、いつもの日曜はおばあちゃんの家に行くことはないのに、今日は朝早くからその家に向かっている。


もしかしたら昨日よりずっと落ち込んでるかもしれない。眠れなくてぱっちりとした瞳の下に、真っ黒な隈が浮き上がってるかも。


心配だった。あんなに小さな体で、おばあちゃんはこれ以上何を背負ってしまうんだろう―――。


「おはよう、梨香ちゃん。日曜日なのに遊びに来てくれるなんてめずらしいわね。」


だけどそんな私を迎えたのは、いつもどおりの優しい微笑を浮かべながら縁側で鼻唄を口ずさむおばあちゃんだった。


一瞬目を疑った。だっておばあちゃんは本当に幸せそうに、優しく微笑んでいたから。


「おはよう、おばあちゃん。遊びにきちゃったっ。・・・・どうしたの、それ?」


ただ昨日とは違うところが1つあった。おばあちゃんの後ろにある部屋は、いつもは何もないただの畳の部屋だった。なのに、今日は


たくさんのダンボール箱が畳の床を覆い隠している。


「ん?ああ、ちょっと荷物を整理してたのよ。とりあえずあがってあがって。」


おばあちゃんが手招きをしてから、自分の隣の床をぽんぽんと叩く。ここに座ってって意味なんだと思う。


私はいつものように玄関で靴を脱ぎ、居間には向かわず日のあたる縁側に行った。そのままおばあちゃんの隣に座ると、なんとなく


ほっとした。


私が隣に座っても、おばあちゃんは何も言わなかった。ただ黙ってどこか遠くを見ながら微笑んでいた。


沈黙が流れる。夏はあんなに蝉の声がうるさかったのに、今はもうきこえない。でも、この優しい沈黙は心地よかった。


「梨香ちゃん。」


何分くらいそうしていたんだろう。沈黙を破ったのは、私の名前を呼ぶおばあちゃんの穏やかな声だった。


「これ、もらってくれないかしら。」


そう言っておばあちゃんが差し出したのは、古いカセットテープだった。


「なに?このテープ。」


私が首をかしげて言うと、おばあちゃんはふふっと笑って話し始めた。


「このテープにはね、曲が入ってるの。私の夫が、私のために作ってくれた曲よ。」


おばあちゃんの、旦那さん。


ずっと前に聞いた。その人は作曲家だったって。


「梨香ちゃんには前に話したわよね?作曲家だったって。」


おばあちゃんはゆっくりと話す。


作曲家だったのに、1曲しか妻のために曲を書いてくれなかったこと。


ずっと頼んでいるのに、彼は絶対に首を縦には振らなかった。


「プライド、があったのかしらね。仕事をしてなかった私にはわからないけれど。」


何度もいっしょに冬を越し、春を迎えた。


かわいい子どももできて、彼の仕事もだんだんうまくいって。


幸せな毎日の中で、私は頑なな夫に作曲を頼むことをあきらめていた。


無理に書いてもらっても仕方ないし、曲がなくても私は幸せだった。


またいくつもの冬が過ぎた。


子どもはとっくに巣立ち、結婚した。夫の仕事は順調で、彼自身楽しそうに仕事に励んでいた。


「幸せだったの。彼は曲をつくるとね、いつも私に聴かせてくれたの。中にはもちろん売れなかった曲もあったけれど、


私には全部が素敵な、世界一の曲だったのよ。」


そして20歳に結婚した私たちは、もう30回目の結婚記念日をともにすごした。


幸せで穏やかな毎日が、これからもずっと続くんだと思っていた。


だけど。


「そうね、あれは桜がとても遅咲きだった年だったわ。」


彼は急に、私のために曲を作ったと言ってカセットテープを差し出した。


本当に突然のことで、私は思わずぽかんと口をあけたまましばらく固まっていた。


「それからね、照れながら立ち去ろうとするあの人を必死に引き止めて、いっしょにあの縁側に並んで座って、この曲を聴いたの。」


それは、静かでやさしい、ピアノのソロだった。


歌も何もない。ただひかえめなピアノの音が時に強く、そして優しく唄っているだけだった。


曲を聴き終わったとき、涙が零れた。


彼からの深い感情を痛いほど感じた。嬉しかった。


嬉しいはずなのに、なぜかどうしようもなく悲しかった。


ただ私は何度も彼に言うことしかできなかった。「ありがとう」と。


「彼が事故にあって死んだのを知ったのは、その日の夕方だったわ。」


病院に私が着いたとき、彼はとっくにその心臓の音を止めていた。








----------------------------------------------------------------------------------------








悲しい、話だった。


なのに、おばあちゃんはその顔に浮かべた優しい微笑を1度も崩さなかった。


正直、私はそれにとまどっていた。


悲しい想い出を語るとき、人は泣くものじゃないんだろうか。悲しいときに泣くのは大人も子どもも同じはずだ。


なのに、おばあちゃんは泣いていない。ただ強がっているようにも見えなかった。


どうして―――――。


「だからね、梨香ちゃん。このテープ、あなたがもっていてくれないかしら。」


「え・・・・。」


そうだ、本題はそれだった。


でもこんな話を聞いた後で、そんな大切なものをもらおうと思えるわけも泣く。


「だめだよ、おばあちゃん。それは大切なものなんだから。」


そうだ、これは大切なものだ。


これはおばあちゃんと彼との大切な想い出。私みたいな子どもなんかが持ってちゃ、きっといつかその想い出を汚してしまう。


「梨香ちゃん。」


おばあちゃんの目は、まっすぐに私を見つめている。


「大切だからこそ、あなたに持っていてほしいの。あなたは私の、大切な人だから。」


そう言って私の右手を優しく掴み、その上に古びたカセットテープを置いた。


「そんな、私みたいな子ども・・・・・」


「大切なのに年月も立場も関係ないわ。


梨香ちゃんは大切なひと。大好きなひと。それを間違ってるなんて、あなたにも言わせないんだから。」


そう言って、おばあちゃんは子どもみたいな笑顔を見せた。


大切な、ひと。


今の私でもいいのかな。


まだぜんぜん子どもなのに。おばあちゃんみたいに優しくなんてなれてないのに。


それでも、いいのかな。


それでもいいって言ってくれた。


私はこの、大好きな人を信じよう。


だから――――。


「・・・・わかった。預かる、から!」


私はカセットテープを、大切に両手で包み込んだ。


これは私が守るもの、任されたもの。


大切なひとの、大切なもの。


だから、私にとっても大切なもの。


「大切にするから・・・・。」


私はいつのまにか泣いていた。


どうして涙が流れているのかもわからない。ただ、止められない。


そんな私の涙を、おばあちゃんは皺だらけの指でぬぐいながら、言った。


「ありがとう。」








----------------------------------------------------------------------------------------










その翌日、おばあちゃんは、あの日の当たる縁側で亡くなっていた。












----------------------------------------------------------------------------------------








るるる、るる、るるる・・・・




私は緩やかな坂道を、鼻唄を唄いながら歩いていた。


真冬の12月にしてはいい天気だった。空には雲1つなくて、風は冷たかったけどいつもよりずっと暖かかった。




るるる、るる、るるる・・・・




人気のない坂の先には小さな墓地がある。


その中には、おばあちゃんの名前もある。前に1度お母さんと来たから、それを見つけるのは容易かった。


「おばあちゃん、久しぶり。」


真新しい墓石は、柔らかな日の光を優しく反射させていた。


墓前に梨と、おばあちゃんが好きだったたいやきを置く。


「おばあちゃん。おばあちゃんの唄、聴いたよ。すごくいい唄だった。」


横にあるもう1つの墓石にそっと触れ、そこに彫られている名前と命日を指でそっとなぞった。


「伊崎 妙って名前だったんだね。」


私はおばあちゃんのことを何も知らなかった。


どこで生まれたんだろう。いつからあの家に住んでいるんだろう。


名前なんて、今日こうやって墓石の文字を見て初めて知った。


「どうして、聞かなかったの―――・・・・。」


どうして、聞いてあげなかったんだろう。


おばあちゃんの口から聞きたかった。教えてほしかった。こんな形で、知りたくなんかなかった。


零れそうになる涙をぐっとこらえる。


この2週間で充分泣いた。これ以上泣く必要なんかない。泣いちゃいけない。


「・・・・でも、いいよね。」


そうだ、これでいいんだ。


私にとってのおばあちゃんは「おばあちゃん」でしかない。


どこで生まれようと、いつからあの家に住んでいても、きっとそれは変わらない。


おばあちゃんは私の大切な人。大好きなひと。


それでいいんだよね。


「私ね、ずっとこの唄を唄うから。歌詞はないから鼻唄だけど、だからこそいい唄なんだと思うの。」


そうだ、唄おう。


遠くにいるおばあちゃんには届かないと思う。でも、それでもいい。


だってこれは私にとっての大切な唄。私が大事にしたいうた。




るるる、るる、るるる・・・・




おばあちゃんのうた。


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