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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 歴史博物館編2

14

「なんだこれは。」

「魔力を計る魔道具です。」

どうみても魔道具ではない。

俺は想像していた。ギルドと言えば受付で魔法石に手を置き自身が秘めたる魔力や知力、能力を計るもの。しかしここに置かれているものはどう見ても体重計や身長系だ。健康診断でもするのだろうか。

「冒険者は魔法以前に力が必要だからね。そもそも昔は魔法自体未発達でしたから能力を計測する機械はみなこうよ。」

地球上で電気が利用され始めたのは17世紀だ。本格的に今のような機械が誕生したのは19世紀。紀元前に雷や静電気は確認されていたとしても利用ができたのはそのくらい。魔法だって違うようで同じだ。地球人は体内のエネルギーを電気に変換する発明をまだ行えていないがこの星の人間は体内エネルギーを魔力として変換する魔法石を手に入れた。しかしそれだって地球で言えば17世紀と同程度の時期。

「一応こんなものもあるけどね。」

エーホンは箱型の機械を指さす。

「マジキテル。」

とっさに呟いてしまった。しかし見た目は本当にあのエレキテルだ。箱型のそれ。

「このレバーを回して中の魔力発生装置から魔力を身体に流すの。その時の被験者の反応によって冒険者としての役職。ウィザードになれるかどうかを決めたらしいよ。」

「迷信だな。」

「そうね。」

そもそもその時代に魔法使いがいたということが信じられなくなってきた。今は俺達のように魔法学校が作られ本物の魔法を学べる。しかし昔の魔法とはいったい。

「なんだか座高みたいだ。」

「座高?」

「俺のいた世界の迷信さ。」

「なるほど。」

一応他にも魔力を計る方法は存在していた。そこにある体重計と身長系を使って魔力量を計算するというものだ。つまり肥満率をだして魔力量を計る。良い線をいっているとは思うが俺は困惑した。もしも俺が昔理想とした小説の中の異世界へ来ていたらと思うと。

「それでも昔からエルフなんかはいたから博物館にはれっきとした本物の魔法に関する道具があると思う。」

俺はエーホンに近づく。

「何故それを早く言わない。」


15

博物館の中は種族によって展示が分かれていた。道が一本に続き右側がごく一般的な人間。による展示。左側が数種の種族による展示だ。ここは外を見ると分かるとおり人間が建てた建物。だからなのだろうか。

中央にも何点か展示物が飾られている。歴史博物館と言うが魔法それ以外の分野も多少はあるようだが歴史がメインになっていた。

「時間が残り少ない。エルフの部分だけを見よう。」

館内地図を片手に左側の展示を飛ばし飛ばし観察する。そして俺は目的の展示物を見つけた。見事な魔法石だった。

「エルフなのに魔法石を使うのだな。」

「道具は別ものよ。エルフは確かに魔獣の一種で石を使わずに魔法を使えるけどこういうものはね。」

実際のところ魔道具を一番高レベルに発達したのは人間だ。エルフは生まれた時からそれなりの魔法的環境を備えていたおかげで最終的な発達は遅れてしまった。だからアドラー家のような大使を都市に配置しておき殆どの種族は田舎で昔ながらの生活をしている。彼らの場合年齢も関係あるだろうが。

「後ろにあるのは同時代の人間の魔道具ね。」

杖が置かれている。俺が実際に体験したことだが魔法は極論で言って魔法石さえあれば発動できる。俺が勾玉で校舎を破壊したように。しかし素人がそれを行うと体内の魔力を全て吸われ生命維持ができなくなる。また宝石にも種類があって魔法が安定しない。この世界で魔法が安定して使えるようになったのは数百年前からだった。

「これも錬金術が整ったからよ。みんなには感謝してほしいよ。」

まだ時間があったため二人で錬金術に関する展示を見た。数百年前。錬金術師という仕事の誕生とともに魔法石を操作する手段が確立した。それによって人類は進化する。さらにエーホンやクルスといったホムンクルスの誕生が起きる。

「大丈夫か。」

エーホンは小刻みに震えた。その目は展示を見つめている。

「うん。」

低い声だった。



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