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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 歴史博物館編1

10

「最後は学校のみんなが博物館に集まるみたいね。」

俺たちはまたバスに乗っていた。俺は天才だ。それは事実だった。

実験の後俺は職員から発魔の仕事に就かないかと言われたが断っておいた。あれは凡人の就く仕事。神である俺がするべき仕事ではない。

クラスの人間からは俺に向かう目が厳しくなったように感じる。調子に乗っていると言えばその通りだ。俺は調子に乗っている。今の俺はクラス内で一番の存在。もとからだが。

「私も本領発揮しないとね。」

「そのようだな。」

エーホンは周りからすれば差別の対象。だからこそ俺と共にいる。俺たちはクラスで浮いた存在。差別対象のホムンクルスが持つ友達がクラスで最高に疎まれる立場になれば彼女もおのずと努力をすることになる。

「それで今目指しているのは。」

俺は場所を知っているらしいエーホンに聞く。

「さっきお父さんが言っていたの。私たちと別の2年生クラスも歴史博物館を目指すらしいよ。」

歴史と言うと少し俺とは違う領域の感じる。事実地球での理系たちは歴史など勉強していなかった。しかしそれは間違っている。歴史の中にも科学誌というものが存在している。俺は幼少のころからある物理学者の話が大好きであった。

「興味ないの?」

俺が感服をしているとエーホンが首をかしげる。

「いや大有りだ。第一神である俺が歴史を知らないはずがないだろう。この世界の歴史、本やインターネットの情報を用いて見聞きはしたが博物館というものに行くのは初めてだ。学校に感謝をしなくてはな。」

俺の顔を見てエーホンは少し引き気味になった。しかし俺にとってはまさに今からが楽しみで仕方がなかった。それに学年全体となれば別の科へと進級したアクトゥルスたちにも会えるのだ。俺は奴に先ほど施設でおきたことえお自慢しようと考えていた。


11

国立歴史博物館、一言で言えば観光施設だ。今は午後であり朝からの時間はそれなりに経過しているがまだ余裕を感じまた恒星もさほど傾いていないというのが地球よりも一日が長いこの世界の特徴として俺は感じることができた。ある意味の特別感を俺は感じる。駐車場にバスが止められると俺達は席を立ち外へと出た。バスを出る前には担任から入館のチケットが手渡される。紙の先端には何か金属のような物が張り付けられておりこれが何かとエーホンに聞くと彼女はいわゆるICチップだと俺に答えた。いわゆるというのはつまりこの世界での地球のそれに似たという意味である。金属には魔術的な情報が封じ込められており機械でそれを読み取って入館を行うらしい。ただこんなことを行う博物館はここぐらいで大体のこの世界にあるそれはみな紙のチケットが一般的、もしくは最近はインターネットを使ったデジタルのチケットもあるということだった。

「ここは学校とはどの程度離れているのだ?」

俺はエーホンに聞く。この世界にもGPSは存在する。ただ今の俺はスマホを手に持っていない。今は学校の最中だから。そのために俺はしょうがなくエーホンにこの場所についてを質問した。

「なんでも知っている風なようで地理には詳しくないんだね。」

「俺にだって知らないことはある。」

「簡単に言えばここは私たちの学校と反対の場所よ。私たちの学校も校外にあるけれどここも校外にある。私たちは街の周りを一周している形で今日は動いているの。さっきの発魔所が在ったのが円の三分の一周したところでここが三分の二のあたりね。」

学校はある程度街から離れたところにある。それは俺たちの学校が魔法学校だからだ。普通科高校であれば街中に設置ができるらしい。ただ魔法の場合、騒音の問題や訓練のためにそれなりの施設規模を有する必要があるため街とのアクセスとそれら問題を考えて現在の場所に設置された。発魔所もある程度の危険性とエネルギーの問題からあそこに設置されていた。そして今俺たちがいるこの博物館。ここが何故ここに設置されたか。博物館であれば建物があればよい。しかしここは歴史博物館だ。つまりここには簡単に言えばある体験の施設が存在してた。


12

「広いな。」

俺は入り口でもらったパンフレットを手にエーホンと歩いていた。アクトゥルスたちには先ほど会ったがあちらではすでに友達がおりそのグループでこの中を動くという。


「すまない。」


俺は先ほど彼からそう言われた。どうやら友達はホムンクルスと回りたくないようだった。

「ここは昔の村をそのまま移設した場所だしね。」

この世界の魔法の技術は俺の想像とまるで違う。さらに今回は規模が大きかった。

エーホンの言うとおりここには中世の村が昔の形を留めて保存されている。中世の村。周りには壁が築かれて俺その中に村が形成されていた。

「なんというか懐かしい気分になる。」

「何か言った?」

「何でもない。」

いつの間にか心の声が漏れていた。俺はこの博物館にある懐かしさを感じている。俺の故郷の地にも似たように昔の街並みを再現した施設があった。映画の舞台などにも使われており俺は学会の人間と共にそこを訪れたこともあった。もっともあそこは和風な感じを醸し出していたのに対しこちらは洋風的な乾燥をした地にあった特徴の景観だが。

「それで、あの壁が魔獣などから村を守るための物なのか?」

「ええそうよ。」

この世界は今でこそ地球と似て非なる技術革新をしていてパッと見ると地球そのものであるが実際は星の大きさもその時間の経過もそして歴史的背景も異なっている。地球で電気を利用していた人型でない生物は電気ウナギぐらいだろう。しかしここでは違う。イレーネもそうであるがここでは体内で魔法を利用することが可能な魔法石に似た器官を持つ生物が生息している。地球では幻想として語られた生物もここでは生息している。中央国の動物園で見たドラゴンやキマイラなんかがそうだ。その中には人間を襲う生物もいる。またこの世界にはアクトゥルスやモルガンのような完全な人間以外にも人型の生物がいる。イレーネと同じエルフ。もしくはハーフエルフ。クルスやエーホンのようなホムンクルス。中央国を共に旅行したナノのようなドワーフ。さらには獣人やオーガ、魚人。戦を好まない種族もいたが戦を好む種族もいた。だから人間は力をつけた。これはホモサピエンスの進化に似ている。そして今がある。力をつけた人間はその力でこの惑星の長に立っている俺はホモサピエンスだ。ホモサピエンだからこそ俺はこんなことができる。しかし俺がホモサピエン以外に生まれていたら。

「お茶にしよ。」

俺は暗い顔をしていたようでエーホンはどうしたと聞くように提案を行った。実際のところ動物でも神はいる。狐にでも生まれていたらと俺は考えた。


13

「ここでは昔のお茶やお菓子が食べられるの。」

ここにはれっきとした博物館も存在している。俺たちの視界の中には巨大な建物があるが知識はネットで調べれば十分だと俺が言って外の村へと出てきた。館内には大きな食事の施設があるらしいが外にも昔の食事処を模した建物があり俺たちはそこへと入る。村の中にそんなものがあるのかと一度は疑ったが観光施設であるためにわざわざ建造したらしい。

そこで俺は今日のセットだという定員に勧められたものを注文した。エーホンもまたそれを頼む。俺たちは待っている間に窓の外を眺めた。

「しかし広いな。」

「これでも村だからね。」

俺は園内の地図をまた出しテーブルへと広げた。

「これは?」

指をさして地図のある地点を見つめる。村の中央には石でできた大きな建物だあるようだった。

「それは冒険者ギルドよ。」

「ギルド、商工別組合のことか。」

「その通り。」

ギルド。俺が思い描いていた異世界では当然のように設置されている施設だ。冒険者の職を登録し村や町の周りに生息する魔物を狩る民間の集団。今は魔獣なども人がいる地域には生息しなくなったため組合の解散が行われたが昔は多くの村や町で存在していたもの。とくに情報通信が今よりも遅かった昔では現地でのそういった集団は諜報された。いちいち魔物が現れたからと言って軍を出すことは面倒だからだ。

「現在だと魔獣が街に現れた場合は軍を簡単に出せるからね。魔道車なんかも開発されたし。このギルドは完全に中世の物よ。」

「そのようだな。せっかくだ食事を終えたらそこへ向かおう。」

「そうね。」

店員が菓子と飲み物を運んでくる。俺たちはそれを食べ終えるとギルドへと向かうことにした。

めっちゃ久しぶりの投稿

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