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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 二年生編4

俺は宝石を紐ごと首からはずし2人の前にそれを掲げた。

「これは勾玉か。それにこの宝石、名前は分からないが最上級のものだろう。」

「ああ、そのとおりだ。」

俺の声は若干うわずる。

「あなたをここへ連れてきたのはそれが理由ですよ。」

背筋に寒気を感じる。

「なぜこれが勾玉だと?」

「その形は魔法を一番強く扱うために最適な形なのだよ。ただ宝石は硬く加工が難しいのだよ。もっとも錬金術を駆使すればそのようなことはないのだが。天然のものを錬金術によって再錬成する者はいないからな。その時のその勾玉を作った者のような職人、が必要になるのだ。そして魔法石にとって一番良い形がその勾玉だ。今現在は量産性や杖としての使い勝手を考えて丸や四角や六角などが主流ではあるがな。」

担任によると勾玉の職人は絶滅状態らしい。特に最盛期に最も勾玉を作っていた中央国でも戦争などがあって総力戦による量産、つまり杖の生産を行ったせいで職人は減ってしまった。地球では勾玉は日本でしか生産されていなかったがこの世界では大陸と中央国が繋がっていたためか魔法石が輸出されたようだ。ちなみに現在ではダイヤモンドのようなカットが一番最適らしい。

「しかし、君はその宝石を何処で。それにリミッターもかけられていないようだが。」

俺はそこで足を後ろへと下げた。

「氷魔法。」

女子生徒が杖を振る。きっとこの部屋の中にあった水蒸気が凍ったのだろう。俺は足を滑らせると同時に杖で炎魔法を使おうとしたが。

「嘘だろ。」

杖が俺の手から消えていた。エーホンが核分裂を起こしたようだった。


「君の口が軽くてよかったよ。タケルくん。」

俺は異世界人ヤマトタケル。神だ。

「君のもといた世界での話しを先生たちに話してくれないか。」

俺は異世界人のヤマトタケル。天才だ。

「君のいた世界では魔法が迷信なのか。」

俺はヤマトタケル。人間d


この2人は俺が半年前、この学校へと編入した時から目をつけていたらしい。何処かのオカルト研究部でもあったことだ。エルフの代表であるアドラー家が編入させた人物というだけで噂が上がる。とくに俺が勾玉を使って学校の壁を破壊した時には俺についての調査を確定させたそうだ。俺の持っていた魔法石、勾玉も含めて。

「だがあんたは昔からここで錬金術を教えていたんだろ。」

「そうではあるが、君の性格ならば錬金術を必ず受講するだろう。」

俺はぐうの音もでなかった。

「あんたたちはいったい何なんだ。」

「先生たちは賢者の石を研究する集団さ。」


賢者の石。物体を錬成するために必要な触媒である。

「君のその宝石。先生たちも君が壊した教室を調べた時に感じた残留魔力。神の力を感じた。賢者の石。それは伝説の石だ。そしてその伝説の発祥はエルフの里で発祥したという逸話が残っているらしい。俺はここで自身のミスへと気づいてしまった。この2人は俺がエルフと何か関わりがあると感じ調査を行った。先ほどの質問は俺の持つ勾玉がエルフによる賢者の石である可能性。そして俺の正体がその賢者の石と深く関わりのある人間だと踏んでの質問だった。俺はそれを異世界人であることがばれたと思い正直に答えたというのだ。

「今日のところは帰っていい。しかし明日も話しをしよう。タケルくん。」

俺は頷いた。

「最後に聞いていいか。」

先生もまた頷く。

「彼女は何者だ。」

「彼女は私の子どもだ。ホムンクルスの。」


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