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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 二年生編2

「錬金術において大切なことは材料の調達だ。先生は今周りにある空気からベットを錬成した。先生の周りには今空気がある。この空気を構成しているのは元素だ。その元素とはなんだい?」

担任は1人の生徒を指さす。その生徒は席をたち質問に答えた。

「植物の肥料になる元素がほとんどで次に生物が生きるために吸う元素です。そして我々の身体を構成する元素と生物が吸い込む元素の化合物。そして他の元素と化合しにくい元素があるます。」

異世界人でも緊張すると噛むらしい。そこでクラス内で少なからず笑いが起こる。

「では、そこの君ここに。」

別の生徒が呼ばれる。おどおどした姿。眼鏡をかけており体型も細い。勉強に人生を捧げた人間なのだろう。

「この中に。」

担任はガラスのようなケースにその生徒を入れた。

教室が唖然とする。おそらくみな予想ができたのだろう。中に入れられた生徒もこれから何が行われるか分かったようで急に発狂し透明な壁を叩きだした。

「何をしているのです。」

そこで俺の後ろから声が上がる。正義感の強そうな男性生徒。教室に設置された机の間を進み彼はケースの扉へと手をかけた。しかし開かない。魔法なのか。おそらく担任が魔法をかけたのだ。扉に鍵をかけずに開閉機能を奪う魔法。力と反対の力を魔法でかけているのかもしれない。

「開けてください。」

彼は言う。

「開けて!開けて!」

中からも生徒が叫ぶ。


「さあ、これが錬金術だ。」

ケースの外側にメーターが出現する。これも魔法。そこには気圧について書かれた表示と気体に関する種類の表示がされている。担任は杖を振る。先に宝石が取り付けられたその杖には無色透明の宝石が取り付けられている。杖自体への装飾は生徒が使うものと大差ない程度の物だがその先に取り付けられた宝石からその杖が最高級のものであることは簡単に伺えた。

「やめろー!」

生徒が叫ぶ。気圧が0になった箱の中。そこには錬成された棺と白目をむいた細い生徒の身体が横たわっていた。

「嘘だろ。」

正義感の強そうな生徒は落胆し俺の周りに座っている生徒もいつの間にか席を立ち呆然と立ち尽くしてその光景を眺めていた。


「えへへ。えへへへへ。」

俺はふと隣に座る女子生徒へと目をやった。

狂っている。俺でもここまでしない。いや実験に動物を使うことはあった。俺は実際何度か日本にいたころに生物を殺した。命を奪った。倫理観。俺も実験は人で行いたいと思っていたが中学では教員があまりにもうるさく最後には俺の方から実験動物を使い始めた。しかし魂は存在している。むやみに命を奪うことは許されない。神道における八百万信仰。俺は自身で奪った命を弔った。それが俺の倫理というもの。しかしこれは違う。いや、棺を用意しているために担任は生徒を弔うつもりなのかもしれない。

そして俺はそう考えると同時に隣の女子生徒を凝視した。

「これが錬金術なんですね。」

彼女は俺の顔を見ず。だがはっきりと俺に話しかけた。

俺はそれに対してうっすらと笑うことしかできない。これが魔法しか使えない世界なのか。

「聞いていない。」

別の生徒が声をあげた。

「錬金術がこんな授業だなんて聞いていない。先輩から聞いていた授業とは違う。」

異世界と聞くと死と隣り合わせにイメージがある。それは異世界では冒険が主体的であってモンスターに襲われれば死んでしまうから。そして技術が発達していなく当然医療もない。

だから回復魔法が存在する。


バチッ


電撃が起こった。いや電気のない世界では魔撃と言うべきか。

回復魔法。この学校でもそれを専門敵に学ぶ科もある程度に俺も認知をした魔法だ。それを担任は使用した。おそらく魔撃を心臓に与えたのだ。細身の生徒が身体を起こす。

「なあみんな。なぜ先生がわざわざこんな透明な箱を用意したか分かるか?」

箱に取り付けられ機械はいつの間にか最初と同じ表示を示していた。

「この箱はある種の魔道具なんだ。魂を閉じ込めるための。」

生物の魂は基本的の脳へと大部分が集中している。だから人は脳を失うと死ぬ。それは魂の大部分が欠損したから。ただ脳を失っても生物は生きられる。臓器移植による魂の移動。それはその自称が原因だからだ。そして虫。虫は魂を同じ値で体中に分散させた。だからゴキブリは死ににくい。しかし生物の魂は魂の器であるそれが死。つまりは機能の停止を行うとすぐに離ればなれになる。だから蘇生は早い方が良いのだ。しかしいくら魂が離れると言っても担任が用意した魔道具を使えばこの世界にそれを現存させることができる。つまりは幽体離脱もしくは幽霊のような状態なのだ。実際、魂とは量子力学での証明がなされている。魂は神の世界へと器の死亡後の導かれる。そう俺は浪漫会で習った。

つまりあの生徒は死んでいなかった。いや死亡をしたがこの世に強制的に留まらせられた。器が死んでいながら。では彼は今ゾンビなのだろうか。いやどう見ても綺麗な肉体をしている。

「さてこの生徒はアンデットには見えないだろう。アンデットとは死体だがあれは肉体が死亡している状態でなお強制的に魂を与えられた状態の生物だ。肉体が腐っているから魂も欠損した部分が多い。しかし彼は100%の純粋な人間だよ。これが錬金術の真骨頂さ。錬金術師は完全な蘇生を可能にすることができる。ほら見てみろ。」

担任はまた杖を振った。」

また教室から悲鳴が上がる。俺も今起きた出来事には吐き気すら覚えた。


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