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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 旅行編8

13

窓には首都の夜景が映り込む。春休み中でも残業なのだろうか。勤勉さも変わっていない。また窓からは世界一高い電波塔。いや世界一高い魔波塔の姿が伺えた。ちなみに魔波

というのは魔子の波だ。俺の持っているスマホもこれで通信している。アクトゥルスは登ろうと思ったらしいがイレーネは寝ているしナノも疲れ切っていたために今日は行くことをやめにした。もっとも明日は別の場所に行くらしいが。

ホテルの部屋は男女で二部屋に別れた。ただ、夜だからだろうか。皆テンションが上がっていた。そのため俺とモルガンとアクトゥルスは男子部屋で飲み物を飲みながら雑談をしていた。子ども2人はクルスが女子の部屋で見守っている。

「酷いんだよ、この国私の年齢じゃお酒が買えないの。」

当たり前だろう。日本の水は綺麗だ。そして気温も温暖である。欧州のように酒を低年齢から飲む必要はない。そしてそれは中央国も同じ。同じらしい。それよりも俺からすればモルガンたちが普段から酒を摂取していることが意外だった。日本に住んでいたころはさすがに俺も飲まなかった。これは文化性なのだろうか。本能的に身体に刻まれたそれは簡単に覆せない。俺は西国に住んでいても今だ酒を飲んでいない。アルコールを摂取すれば研究に支障を来すかもしれない。しかし酒にも浪漫がある。20を過ぎたら俺も飲酒をしようと感じた。


「なあタケル、専門店街で良い物買ったんだ。」

俺がモルガンが買ってきた飲み物を飲んでいると横からアクトゥルスが話しかけた。俺は床に飲んでいたものを置く。そしてアクトゥルスが袋から取り出した物へと目をやった。俺は絶句する。何故だろうか。意味が分からない。彼は朝から酒を飲んでいたのだろうか。彼は日本武尊の伝説を知っているのだろうか。その手にはスカートが持たれている。

「黒髪の人向けの物らしい。胸の布が可愛いだろ。」

そういえば魔術学校の制服は異世界らしいローブだった。俺はこの世界に着てからその服を見たことがない。やはり日本だ。中央国だ。そしてそれを男に着せるのも。

セーラー服。元は水兵が着ていた格好。だから男性が着ることもおかしくはない。おかしくはない。

「タケル可愛いー!」

俺は下半身を押さえる。モルガンは酒を飲んだのではないだろうか。俺はウィッグをかぶらされセーラー服を着せられている。女装したヤマトタケル。

「タケル?」

眠たそうな声。運が悪いのか。そこへイレーネが入って来る。彼女は目を見開き顔を赤くした俺の顔を見た。


14

イレーネは先ほどから車窓を眺めていた。そして俺の方を時々見てくる。昨日のことはなかった。俺もあそこまで恥じらったのは初めてだろう。イレーネもそのうち俺に話しかけてくれるかもしれない。そもそもクルスが悪いのだ。寝ていたイレーネの寝顔をのぞき込んだから。彼女はホテルのベットから起き俺たちの部屋へ来た。

ただ、俺はそれよりも気になっていることがある。俺たちは朝、ホテルで食事をするとまた駅へ行き鉄道に乗った。今回も高速鉄道だが距離が違う。今回の道のりは東京と京都程度しかない。そう京都までの距離。

「お前が持っている剣、それは調べると中央国の西部で作られた物に似ている。だから今回の旅行を計画したんだ。」

朝、アクトゥルスが言ったことを思い出した。俺が異世界へ転移した場所。と似た場所。何か分かるかもしれない。俺はそう思いイレーネの除く車窓を共に眺めた。


作者の趣味です。

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