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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 旅行編2

「そういえば、何で列車なんだ。」

俺は客車の中、目の前に座るアクトゥルスに聞く。

「貧乏旅行だからさ。」

彼は躊躇もせず言った。アドラー家にしろペンドラゴン家にしろそれなりに名門であり金はある。たしかにここは日本のような島国ではないがそれでも空を飛んだ方が早いのではないだろうか。

「飛行機も考えたが空は渋滞することがあるからな。鉄道を使った方が早いこともある。」

俺が不思議がっているとイレーネが隣から説明をした。

「この世界の高速鉄道は車体を少しだけ浮かせて真空の筒の中を走っているんです。空にも交通の便はありますが時々渋滞することがあるんですよ。」

「渋滞?」

俺は聞く。

「ええ。渋滞です。この世界の鉄道は先ほど浮いていると言いましたがそれは魔法で浮いているんです。そして魔法は人間も浮かせることができます。」

魔法で人間を浮かすとすれば考えられるものは一つだった。

「そうほうきです。」

ほうき。魔法使いの定番の道具。それもこの世界には存在する。ほうきに乗った魔法使いは空を飛ぶ。あたりまえだが。そしてこの世界には飛行機がある。この世界では魔法のほうきに乗った魔法使いが度々空で問題を起こしているらしい。バードストライクならぬウィザードストライク。政府によって空を飛ぶ高さは指定されているようだがこの世界ではよくある現象らしい。

「なんていって本当は高い所が苦手なだけなのに。」

モルガンはアクトゥルスの隣でそんなことを言った。

「菓子でも食べよう。」

それをアクトゥルスはさえぎり鞄からチョコレートを取り出した。


俺はあまり菓子を食べない。ただ生物はエネルギーを摂取しなければ死ぬ。チョコレートの糖分は多く俺にしろ学会の会員にしろ人気の高い食べ物。そしてそれも、この世界に存在する。チョコレートは中央アメリカにおいて栽培された。その後、アメリカ大陸へとやってきたイタリア人によって世界中へ広められる。現在ではアフリカでも栽培されている外、日本でも多くの菓子メーカーによって日本人にはなじみの食べ物となった。

この世界の気候は地球と同じだから南米に似た環境の東国ではカカオが育った。


「しかし、敵国とどうやって貿易をするんだ?」

俺はこの世界へ来たばかりの時、クルスへそんな質問をしたことがある。世界の常識てきなことはイレーネに聞くが政治など難しい話は彼のが向いているからだ。

「簡単にいえば中央国のおかげさ。戦時中、あの国は西国と同盟を組んでいたが戦後は同盟も解消された。勿論今も友好国であることは変わりないが。ただ中央国としても東に敵国がいることは危険なことだ。国民が危険にさらされるし中央国は連邦国家だから万が一にも連邦内での内戦になれば危ない。そこで西国へ東国からの移民を流入させないことを条件に貿易を始めたんだ。東国としても他国とのパイプを引くことができるし外部からの収入がある独立はしたもののあそこは元奴隷による発展途上の国だ何かしらの支援がなければ生きて行けない。そして私たちの住む西国。カカオは東国でしか育たないから輸入をしなければならない。東国からの移民、正確にはスパイなんかだが、それを国にいれないことも条件の一つだが西国は中央国に他にも条件を出した。それがカカオ。戦前は簡単に手に入った。しかし戦争によって輸入ができなくなると国の貴族なんかはとても困ったそうだ。だから一部の貿易商品を中央国を仲介して輸入する。それも条件さ。中央国もそこに付加をつければ儲かるしな。」


昔クルスはそんなことを言っていた。チョコレートは中央国が本場になって以降はその国が本場のような場所になり様々な菓子が発展したらしい。だからアクトゥルスが取り出した物も中央国産のスナックのようなチョコレート菓子。

「いくら高速鉄道といっても向こうまでは十時間かかる気長に外でも眺めながら食べよう。」

俺もそれに乗り透明な真空管の中を走る列車の中でその菓子を食べた。列車は高速ながら途中駅も何カ所かあは停車しその間に俺たちは売店で弁当を食べた。食堂車もあるが値段が高く弁当の方が風情があるらしい。本当に俺の目の前にいる人間たちは高貴な身分の者たちなのだろうか。

列車は街の中や山の中、水の上を走って行く。半日はかからなくても時間は長く俺は暇になりブランケットをかぶると仮眠をとった。みんなも車内では自由に過ごしアクトゥルスとモルガンはこの世界のカードゲームで遊びクルスはイレーネとナノと楽しそうに話していた。この世界にもロリコンという言葉は存在するのだろうか。


夢の中、俺は日本でオカ研のメンバーと遊んでいる。懐かしいメンバー。学校帰りに街へと繰り出し色々な施設へと遊びにでかける。喫茶店に立ち寄ると飲み物を注文し俺たちはそ日の出来事を楽しく話した。日本にあるとあるオカルト研究部のなにげにない日常。日本に帰りたい。俺はそんな風に思った。


この世界に存在する。ってこの作品の迷言な気がしてきた。

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