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THIS WORLD IS ONLY USES MAGIC  作者: 海野 幸洋
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魔法しか使えない世界 旅行編

修了式が終わった。俺がこの世界にやって来て半年が経過した。ヨーロッパのような町並みから進級は一年後かと思ったがその時期は日本と同じだった。この国にも桜のような草木が存在することがその要因らしい。そしてこれから俺の生活は春休みへと突入する。冬休みもあったが期間が短くあまり楽しむことはできなかった。長期休みといえば自由研究だ。天才であっても時間は欲しい。春休みは日本と同じく夏休みよりは短いようだが長い休みがあるだけで俺は満足した。何を研究するかと言えば勿論、物体変換魔法だ。本を読み俺のなかの天才の血はこれを研究したいと騒ぎ出していたのだ。

「なあ、タケルは春休み予定はあるのか?」

もうすぐこのクラスともおさらばだ。そう思っていると目の前でアクトゥルスが話だす。彼は俺の数少ない学級内での話し相手。だが来年から希望進路が違うことによりクラスは別になるだろう。そして彼の隣に立つ女子生徒のモルガンも。

「だから春休みはみんなで遊ばないか?お前が居候いているアドラー家のお嬢さんも一緒に誘って。」

旅行。オカルト研究部では三年生の卒部時、海外への旅行を行った。そしてあの時、俺が日本で居候していた家の主人であるシュメさんが姿を消した。俺に関わった人間は姿を消すものなのだろうか。だとすれば目の前にいる2人もいずれ姿を消すのだろうか。怖くなるが同時に少しワクワクする。俺は2人に対し口を開く。

「俺は関わった相手を不幸にする神だ。」

格好を付け、黄昏れた感じに言う。2人は顔を合わせるとお互いに笑い出した。

「お前は半年たっても変わらないな。」

「あなたもね。」

そしてそのまま成り行きで俺は2人と共に旅行に行くことが決定した。


「ということだ。」

イレーネが俺の部屋に来ることはよくあるが俺が彼女の部屋を尋ねることは今まででも数回しかない。理由は簡単でクルスの警戒が強いということ。彼はイレーネのことを溺愛しすぎているお陰でイレーネと話すのは普段は俺の部屋がメインになっていた。ただ今日は俺から彼女を訪ねたこともあって彼女の部屋で話している。子どもらしい部屋。壁紙なんかもピンク色をしていて異世界人だろうが可愛いものを好むのはどんな場所でも変わらないのだと俺は実感した。彼女はベットに座るとベットに置かれた俺の知らない異世界生物のぬいぐるみを抱き会話を始める。すでに会話は少ししておりイレーネは俺が春休みの間アクトゥルスたちに旅行に誘われていること。そしてイレーネも共に行くことを誘われていることを話していた。

「大丈夫ですよ。春休みの間は学校も進級の関係でやっていませんから。それに私、似たような年齢の人と旅でることは初めてですから。楽しみです。」

イレーネはあっさりと提案を了承した。俺はさっそく服のポケットからスマホを取り出してアクトゥルスへとメールを送信する。少し前に存在が発覚したスマートフォン。俺はこれも当主へねだり買って貰うことに成功した。とはいえ一番グレードの低い物ではあるが。エルフ族は長年自や魔法と共に暮らしたせいか機械は疎いように感じられる。この世界は電気はなくとも機械技術は地球と同程度に発達している。俺はスマホを買うと学校でアクトゥルスとモルガンに話し放課後校外で連絡先を交換した。ちなみ俺はスマホを手にしたが未だにイレーネはそれを手にしていない。とはいえ見た目が小学生の彼女にはまだ早い代物だろう。

「ただ条件があります。」

俺が考えごとをしていると不意に彼女が話し始めた。条件とは何だろうか。

「2人ほどその旅行に同行させてください。」

2人それは誰かと俺は聞く。

「1人は私と共に特殊魔動科へ通う友達です。そしてもう1人は、、、。」

そこで急に部屋の扉が開けられる。

「私も同行させて貰おう。」

彼女は言った。

「もう1人はクルスです。」


修了式から数日がたった。その間俺はイレーネと共に旅行に持って行く持ち物を買ったりしていた。勿論、岸田先輩の手がかりを探し物体変換の魔法の研究も行っている。そして今日から俺たちは旅行をするために鉄道の駅舎へ朝集合した。見ると鉄道にはレールが敷かれその上には金属の線が延びている。金属は伝導率がいいがこの世界の金属は魔法をよく通すようで見た目はまさに日本の電気鉄道そのものだった。ちなみに電気や魔法をよく通す金属だがなぜそれが可能かと言えばこの世界に存在するのは電子ではなく魔子という粒子だからだ。また魔法が公に知られている世界であるため駅のホームの柱に隠し通路があるわけでもない。だが駅舎のデザインは日本とは違い欧州に近いものを感じた。そして俺は隣に立つ初対面の女性の顔をみる。ドワーフの少女。エルフとドワーフは仲が悪いと聞くがこの2人は違うらしい。とくに俺の知るドワーフとは男性しか存在せず高い鍛冶の技術をもつことや女性が存在しないために新しいドワーフは石から作られること。さらに三歳で成人し七歳では老人になってしまうことなどがあったが事実は違った。

「彼女は私と同じくハーフ化の一環で誕生したんです。エルフが大人になるのに時間が居るのに対してドワーフは大人になるのまですぐですから。政府がドワーフの高い技術を残そうとした結果です。そして彼女も人とは違いますから私と同じ特殊魔動科に在籍しているのですよ。ちなみに彼女はこんな見た目ですが私と逆でまだ五歳なんですよ。」

ドワーフに女はいないが多くの混血の結果、女性も誕生するようになったらしい。新しいドワーフは石から生まれるというがそれは本当のようで彼らはその高い技術から一世代にして人工的な子宮を作り出した。さらに細胞を卵子に変える技術も。おそらく地球ならばノーベル賞がもらえる。男性同士で子どもを生める。一定の層からすれば歓喜だろう。ただ精子はドワーフから出るものでそれを使って彼女は誕生したようだ。本で知ってはいた情報ではあったが読むことと実際に体験することでは全く違う。そして俺はそこでまたある好奇心ができた。他の種族にも会ってみたい。俺の通う学校に他の種族がいるかわ分からないがこの世界にはエルフ、ドワーフ、人間以外にもプクリポやウェディ、オーがなんかも生きている。また人以外から派生した所属もいるためその種類は多い。その種族はおそらく人間との混血ができないが。ゴブリンやコボルトも存在している。俺は少し楽しみを感じた。ただ俺はあることに気づく。

「君の名前をまだ聞いていなかったな。」

俺はドワーフの少女の名前をきいていない。

「ナノです。ナノ・ツバク。」

俺はまたデジャブを感じた。そんなことを話していると列車がホームへ到着する。アクトゥルスは俺たちを見ると右手の拳を上に上げ言った。

「さあ行こう、中央国へ!」


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