魔法しか使えない世界 学校編2
2
学校が終わり俺は1人で帰り道を歩く。いつもならアドラー家の魔動車が迎えに来るが今日はその気にならず。イレーネに断りを入れると俺は1人街を歩いていた。すでに授業は終わっているため周りには数人の生徒が歩いている。俺はその中を1人歩いていた。そして俺の前に数人の人間が現れる。見た目からして不良。俺のいた中学校にも多くいた部類の人間。他人のことをさげすみ嫉妬し暴力で全てを解決しようとする思考力の欠片もない猿未満のゴミクズたち。制服からして他校の人間なのだろう。クズたちを見て周りにいた生徒たちが逃げ出す。その様子からこのクズたちが最低なクズであることがうかがい知れる。
「お前か、魔術学校を破壊した変な名前の人間は?」
1人が言う。
「だからなんだ?俺は神である。貴様たちとは違うのだ。」
俺は流ちょうに異世界語を話す。それに対して不良たちは一瞬ひるんだように思えた。が、次の瞬間クズはクズとして奴らは俺に殴りかかってきた。
しかし俺はそれをよける。そして殴りかかった不良の背中を思い切り肘で叩き落とした。
俺に魔術の才能は存在しない。しかし、俺の身体の中には転移前ヒトガタ氏から預かった強化細胞が備わっている。これがあれば例え魔法に失敗したとしても俺の身体は無事でいられる。そしてけんか程度細胞があれば容易いことだった。神器は今現在、俺にとってチートではない。しかしこの細胞は俺にとってチートなのだ。そして俺は他の不良を睨み付ける。頭が悪いのだろう。いや当たり前だ。残りの不良は何も考えずに俺に殴りかかる。だが俺にはいくら走ろうとゆっくりに見える。そして他の不良も同様に叩きのめした。
「魔法を主体とした世界で有りながら魔法で勝負を挑まないとは。いや前の世界でも科学で勝負をしていたのは俺ぐらいか。」
俺はそう言い残し再び屋敷への帰路についた。
3
「ずいぶん上機嫌ですね。」
家に帰りしばらくするとイレーネも魔動車に乗って帰って来た。そして俺を見るなり彼女はそう発言する。
「俺はまだ魔術のできが良くない。だがこの世界で俺は生きて行けるだろう。」
イレーネは不思議そうに俺を見た。ただ少しして俺にほほえんだ。
「どうした?」
俺は彼女に聞く。
「いいえ。」
そして彼女は一言だけ俺に伝えたのだった。