魔法しか使えない世界 始まり編3
3
教室の前で俺は自己紹介を行う。応接説での出来事の後でふてくされてもいたが魔法をこれから学べることに喜びを感じていた。
「ヤマトタケル。今はアドラー家に居候をしている神だ。」
教室に一瞬沈黙の瞬間が訪れる。勿論自己紹介前に教師が黙るよう言ったがそれとは別に教室内の空気自体が静まった。俺は神の生まれ変わりでつまり神だ。前にいた宇宙ではヤマトタケルと名乗っていた。本名はあるがとっくに捨てている。ただ前の宇宙では障害児と言われけなされ真実を言っているにも関わらず中二病と言われた。だから屈辱を晴らすため、俺の研究が正しかったことを証明するためにわざわざ、はるばる異世界へとやって来た。そして、俺が正しかったことはこの世界が証明している。俺は頭の悪い人間に勝った。俺は天才だ。だがどこの世界でも学校は酷い。前の宇宙で俺は中二と言われた。そしてこの宇宙で俺は学校に剣を持ってきた異常者として扱われている。だがそんなことは気にしない。俺は天才だ。どんなことに対しても俺にしかできな発想で全て乗り越える。だが一つだけ問題があるとすれば、元の宇宙へ帰り俺が天才だということを教師に伝えられないということだ。
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自己紹介が終わり俺は担任教師に言われた席へと腰掛ける。学校は日本と同じクラス制だった。ただクラスは科でわけられていた。イレーネのいるのは特殊魔動科だが俺のいるのは総合魔動科である。イレーネは魔術にたけたエルフの末裔のため特殊魔動科で勉強に励んでいるらしいが俺のように急に魔術始め、また魔術について全くしらない人間は総合魔動科へと編入させられた。ただ魔術に関しては本格的に行うのは日本でいう高校生あたりかららしい。また魔術自体専門的に学べるのは魔術学校ぐらいでこの世界には日本のように普通科のみの学校も多く存在しているとイレーネは教えてくれた。一般人も魔術ができるが初等教育程度らしい。やはり前の宇宙に通ずるものを感じる。魔術に関しての構図は日本の工業高校に似ていた。
「良い日だな編入生。」
突然話しかけられる。俺は急に話かけられ言葉を詰まらせた。顔を上げ声の主を確認する。そこには編入してまだ一言も言葉を交わしていないクラスメイトの顔があった。
「貴様は?」
「名乗りが遅れたな。俺の名前はアクトゥルス・ペンドラゴン。西島地方の旧国王の末裔だ。」
俺はデジャブを感じるがそこは気にしない。浪漫会では世界はループするものと教わった。俺はその説を信じている。勿論、宇宙の違う異世界でデジャブが存在するかは分からないが。
「君の自己紹介。君は自己紹介の時に“クサナギノツルギ”がどうこうと言っていたな。それを俺に見せてもらえないか。」
アクトゥルス・ペンドラゴン。はそう言う。確かに俺は自己紹介時、草薙の剣を含め神器についても話した。神としては当然のことだろう。神は神器をもつものだ。
そこへ、
「ごめんね。編入生くん。この人武器マニアなの。もともと、この人の家は西島国の王で伝説の武器とかも持っていてね。」
「人の会話に入るな。モルガン。俺は彼の武器について興味がわいたのだ。」
ペンドラゴン。モルガン。またもこの宇宙と前いた宇宙の関係について俺は疑いを抱く。何故こうも世界が似るのか。神が他にもいる確証なのだろうか。ただアクトゥルスが武器ヲタクということに俺は安心感を抱いた。この国にも趣味を極める者が存在するらしい。日本では武器が好きというだけで敬遠された。武器を持つことは野蛮。それが日本の常識。俺はそんな理由で趣味を捨てなかったが俺の友達たちもその間違った常識によってヲタクをやめていった。おそらく、俺が元々住んでいた家にはまだ昔あつめた武器類が多く残っているだろう。母親は全て捨てたつもりでいるだろうが改造した俺の部屋にはまだまだモデルガンや木刀など多くの物が残っていることだろう。
「剣は居候先の当主が持って帰った。この学校は危険物の持ち込みが禁止らしい。見せるなら俺の居候しているアドラー家に来て貰うことになるぞ。」
「そうか、なら明日の朝俺たちの部室に来ないか。武器研究会。それが俺のいる部活だ。」
アクトゥルスはそう言うと自身の席へと去っていった。俺はそれを見送ると共に彼を見送る彼女。モルガンへ目を向けた。それに気づき彼女は俺に話しかける。
「来たくなかったら来なくても大丈夫ですよ。あの人は変人ですから。」
彼女はそう言った。だが俺の心の中にはとっくに答えが存在しており次の瞬間俺は即答した。
「朝一で行くよ。」
いまさらですが番号は一致していません