魔法しか使えない世界 始まり編2
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「ヤマト・タケル、聞いてはいたが変わった名前ですね。」
応接室では校長や数人の職員を交えての話し合いが行われた。校長によれば俺の名前は珍しいらしい。この世界に来てから思っていたが今俺がいるこの国はどうも地球の欧州に似ていると感じる。名前もそうだ。アドラーという苗字は地球に実際に存在する名前である。またアドラーという名前自体英語でエルフを示す名前なのだ異世界といえこの世界ともといた世界は何か共通点が多いように感じた。しかしアドラー家の力はこの国では強大なものなのだろう。イレーネによるとアドラー家は国内のエルフ一族の代表の立場にあるそうだ。エルフが人里に出ないことから今まで交流がなかったのであるが人の年齢に近いハーフエルフで構成されたアドラー家は昔から人と交流を行っておりエルフの代表として昔から政治などにも参加していたらしい。魔術なんて全く行ったことがない俺がいきなり魔術学校に入学するのだ。イレーネたちによれば俺の魔術へ対する才能は言語学習とともに異常らしい。屋敷で俺が簡単な魔術を教わったさいには初級魔術を簡単に行えてしまった。この世界の魔術は基本敵に魔法石の埋め込まれた杖を使わないと発動しないらしい。ただエルフなど一部の種族は体内に魔法石と同じ構造を持つため杖を使わず魔法が発動できるようだった。王国がアドラー家と仲良くすることもこれが理由らしかった。杖を使わずに魔法が使えるハーフエルフは国内でも貴重な存在。だからこそ今回俺が魔術学校に入学することも簡単だった訳だ。
「ところでヤマトタケルくん。君がその手に持っている物はなにかね?」
校長は俺の手に握られた剣を指さす。
草薙の剣。向こうの世界から俺が持ってきた神器。勿論勾玉や鏡も体に身につけている。ただ神器であるはずなのに俺はこの使いかたが分かっていなかった。神であるはずのこの俺が。何が足りないのだろう。俺には分からない。ただこれからの学園生活で俺はきっとこの神器を使えるようになるなって見せる。
「学校への武具の持ち込みは禁止です。たとえアドラー家の人間でもそれは禁じさせてもらいます。この学校には騎士の子どもも通っていますが彼らにも武器の持ち込みは禁止させてもらっています。」
法律、規則、校則。どの世界でもこれは変わらない。俺はそんなことに左右されない。
「分かりました。武器に関しては屋敷で保管するようにします。」
あっさりとイレーネの父親が承諾した。俺は驚く。俺は抵抗したが魔法のたぐいだろうか、体を固められ俺は武器を奪われた。そう勾玉以外は。
addler→アドラー→アイリーン・アドラー→イレーネ・アドラー