科学しか使えない世界2
いったん前日談に入ります異世界編はその後
前日談
(半年前4月)
「部活見学は一週間だ。それが終わったら二週間に仮入部の後、本入部になる。部活は中学より多いだろうから自分に合った部活を選ぶように。」
担任は帰りのHRでそう言った。
チャイムがなりクラスメイトが一斉に動きだす。友達のもとによる者、荷物を持って急いで教室から出る者、様々だ。俺はというと先ほど配られた部活動の一覧表を凝視していた。
オカルト研究部
一覧表の中にははっきりとそう書かれている。それを見ながら考えごとをしていると、
「オカルト研究部に入るのですか。」
急な声に驚き顔を上げる。するとそこには、まだ話もしたことない女子クラスメイトの顔があった。
「あれ、驚きました?。」
クラスメイトはそう発する。
「えーと。君は。」
入学後まだ誰とも話したこともなく、まして目の前にいるのが女子生徒だったため俺は驚いていた。
「ああ、名前まだ覚えてませんでしたか。私は中戸と申します。あなたもオカ研に入部するのですか。」
「あなたもってことは中戸さんもオカルト研究部に入るの?というか、なんで俺がオカルト研究部に入るってわかったの?」
数秒の沈黙ののち
「まずは部活に行きましょう。」
俺は無理矢理手を捕まれた。
「それで、今日の部活見学は君たち2人?。」
数分後、俺は扉にオカルト研究部と不気味に書かれた部屋の前に立っていた。隣には無理矢理俺の手をつかんでここにつれて来た。中戸と、目の前にはマントをはおった女の先輩がいた。
「どうもです。岸田先輩。」
隣に立つクラスメイトの先輩に対するなれなれしさから岸田と呼ばれた先輩と中戸が知り合いということは想像できた。そして、
「じゃあ2人とも中に入って。」
「はい。」「あっ…はい。」
先輩の言葉に応じて俺たちは返事をした。
中に入ると教室は広く感じた。というより人の数が全員合わせても5人しかいないのだ。それと外国語で書かれた本やガラス瓶に入れられた薬品が不気味に感じられた。
「ようこそオカ研へ。私が部長の中戸だ。あとそこにいるのは妹だ。」
教室に置かれた椅子から立った男の先輩はそう言った。それに続きもう1人の先輩(女子)も自己紹介をする。それが終わると自分たちを部屋に入れた岸田先輩が自己紹介をした。どうやら三年生は部長ともう1人の女子生徒だけで岸田先輩は二年生のようだ。自己紹介が終わると部長が俺たちにも自己紹介を求めてきた。
「私はそこにいる部長の妹の中戸です。地震予知と不思議科学とUFOとオカルトあと世界遺産が大好物です。」
先に名乗ったのは中戸の方だった。それを聞き終わるとみんなの目線が俺に集中する。
…どうやらついに、この瞬間が来たようだった。
「俺はヤマトタケル。天才だぁああ。」
教室に俺の声が響き渡った。
ちなみにヤマトタケルというのは偽名である。