科学しか使えない世界14
16
20XX年8月
急に広くなった十星低で俺はテレビを見ていた。画面の中の学会とともに。現在九州での三種の神器引き上げの中継を見ている。丁度引き上げが夏休みで良かった。それでなければこのように実況は不可能だっただろう。いや学校が仮にあったとしても教室で堂々とテレビは視聴するが。
9370名前:ヤマトタケル
ついに俺の武装がそろったぁあああああ!!!!
9371名前:アーサーペンドラゴン
>>9370
日本の英霊よブリテンの英霊が賞賛を送る。
40644名前:ドラゴンナイト@管理人
>>9370
ヤマトタケルよ聖ジョルジュが貴様を祝おう。
おそらく今日一番のイベントである実況は大盛り上がりで進んで行く。俺も今までのことを忘れ画面に向かい学会で浪漫を語り合っていた。そして、その気持ちを押さえきれなくなった俺はパソコンに論文を打ち込んで行く。「異空間・魔法に関する現段階での研究最前線」論文は1日がかりだった。書くべきことが多くある。だがその分とても良いできに仕上がった。窓からは朝の日の光が差し込んでいる。徹夜でこれだけのものを仕上げたためか疲れが大分溜まっていた。薬を飲む気力すらなく俺はそのままリビングの床に倒れた。
17
夏休みが終わった二日目。俺は職員室でゴミに失礼なまでに精神の腐りきった教員たちを相手にしていた。
「どうして俺の研究が認められないのだ。」
夏休みの後半は部室と自宅を行き来して終わった。特に出かけることも無くすることもないため部室で1日中本を読むか学会で話しをするかで終わった宿題も出されていたが3日で終わったため苦労しなかった。部長たちは結局卒部会まで部活に顔をみせず岸田先輩と昼間は2人きりで過ごした。とくに話すことも無いためお互い一定の距離を保って。卒部会が終わって部長たちはいいものの中戸は顔を出さなかった。そのため夏休み後半はずっと先ほどの調子で俺は過ごしていた。そして始業式になり俺は本来出さなくても良い自由研究の論文を教員に提出した。ただ今思えば教員を通さずに個人で提出した方が良かったかもしれない。いや良かっただろう。
「おまえは馬鹿なのか?」
目の前で俺を睨み付けていた教員が口を開いた。
「なんだこの「異世界・魔法に関する現段階での研究最前線」というのは。だいたい、こんな論文が社会で認められると思ったのか。これだから中2病は嫌いなんだ。そして問題ばかり起こすオカルト研究部も。」
教員、いやゴミ未満は言葉を吐き捨てた。
「そうですか。」
俺は教員にそう言い残し職員室を後にした。今の俺にとってはもう教員への復讐する気力が残っていなかった。そしてそのまま俺は部室に顔を出さないでシュメさんと過ごした家へと帰ったのだった。家に帰り俺はすぐにパソコンを開く。浪漫会へログインすると俺は「異世界転移」というスレ名でスレッドを立てた。まだ夕方だが反応をする人はいる。浪漫会は世界共通のため当たり前のことではあるが俺は会員と会話を始めた。
708名前:ヒトガタ
僕でよければ力を貸しますよ。
4404名前:太郎
俺も力貸しますよ。
5650名前:ドラゴンナイト@管理人
画像
そして俺の所には次々に協力者が現れていった。俺はそれに基づいて転移への準備を始める。そう、神の力を使えば異世界への転移も可能だろう。発見された神器をつかえば。そしてそれは今しか行えない。神器は海から引き上げられ現在京都御所に安置されている。太郎氏のハッキングソフトを使って御所のセキュリティを壊し建物に侵入する。そして神器を使って異世界へと行く。古事記には黄泉の国なんてものが存在するのだ絶対に異世界に行くことも可能のはず。俺はそう信じ計画をたてた。学校を休んでまで。
18
「待ってタケルくん。」
御所の前、岸田先輩。新部長は俺の前にいた。
「なぜいるんです岸田先輩。」
「止めにきたに決まっているでしょ。それと部活を2日も無断で休んだことを起こりにきたの。」
岸田先輩は頬を膨らませ俺を怒った。彼女は校則は破っても法律を破ってはいけないという。
「なら俺はこれからどうすればいいんですか。シュメさんがいなくなって。」
「私がいる。シュメさんがあなたにとってどれだけの存在か私はしらない。でも私がシュメ、いいえ十星さんの変わりになる。」
先輩はそういう。でも俺にはシュメさんしかいない。俺にとってシュメさんは心の支えなのだ。シュメさんにほめてもらえる。それだけで俺は満たされた。おそらくそれはシュメさんを俺が尊敬しているからなのだろう。尊敬する人から俺は認められたい。
「だったら私頑張る。私があなたの尊敬できる人になる。」
「いいですよ、大丈夫です。無理しないでください。」
俺は先輩を振り切りセキュリティの解除された建物へ入っていった。
「ねえタケルくん本当にやるの?」
目の前の光景を見て岸田先輩はそう俺に聞いた。
「当たり前です先輩。あの理科教師にあれだけ言われれば俺だって引き下がるわけにはいきませんよ。先輩だってオカ研の部長なら魔法ぐらい信じたらどうですか。」
「信じるのと実行するのは違うでしょそれに犯罪まで犯して。」
先輩はまだ俺を止めたいらしかった。
「犯罪の件は大丈夫です。学会の仲間が作ったあれがセキュリティを無効化してますから。それに俺は絶対向こうに行くって決めたんです。」
「でも、」
「安心してください。絶対に俺は異世界にいきますから。」
俺は先輩にそう言いヒトガタ氏から送られた強化細胞を口に含む。するとすぐに体の中が熱くなる。俺は自身の肉体が変貌することを体験し興奮をした。そして箱から出されケーブルにつながれた神器に手をかける。見ると死ぬと聞いていたがそれは嘘だったのだろうか。もしかしたらこれが大昔の分身だからかもしれない。ただ神器であることは変わらないほか折角三種の神器がそろっているためにそんなことは考えず。俺はパソコンの画面に映された転移プログラムを見てキーボードのエンターキーを押した。すると地面が光始める魔方陣というものなのだろう。
「本気なのね。」
先輩が呟く。
「ええ。」
俺は先輩そう返した。すると先輩は俺の片腕を掴むと
「なら私も連れて行って。」
俺に訴えかけた。
また一括