科学しか使えない世界
序章
「ねえタケルくん本当にやるの?」
目の前の光景を見て岸田先輩はそう俺に聞いた。
「当たり前です先輩。あの理科教師にあれだけ言われれば俺だって引き下がるわけにはいきませんよ。先輩だってオカ研の部長なら魔法ぐらい信じたらどうですか。」
「信じるのと実行するのは違うでしょそれに犯罪まで犯して。」
先輩はまだ俺を止めたいらしかった。
「犯罪の件は大丈夫です。学会の仲間が作ったあれがセキュリティを無効化してますから。それに俺は絶対向こうに行くって決めたんです。」
「でも、」
「安心してください。絶対に俺は異世界にいきますから。」
20XX年8月オカルト研究部で3年生が卒部する少し前そのニュースは報道された。「九州にて三種の神器発見」神の力を手に入れることができるチャンス。そう思った俺はすぐに神器に関する研究論文を作成した。魔法、異世界、神の力。もしかしたら今までファンタジーだったことが実現するかもしれない。そんな願いをこめ俺は論文を書いたのだった。しかし結果はさんざんだった。3年生が去り部長が交代した9月、俺は職員室に呼ばれ理科担当の教師たちや担任から批判を受けた。高校生らしくない。中2病、科学をなめてる、狂っている。言われようはとても酷かった。でも学会は違った。まぁ学会といってもネット上にある会員制の掲示板だが。そこでは現実と違い評判は最高だった。
そして俺は決断をした。神器を使って異世界に行くと。それからは早かった学会で探したところ協力者はすぐに見つかった。俺と同じように世間から評価されない人間たちだ。例えば天才ハッカーの太郎氏。この人のおかげで建物のセキュリティを無効化できた。それにヒトガタ氏。彼は異世界に行くならと開発中だという肉体強化細胞を家まで送ってくれた。あとは管理人であるドラゴンナイト様なんかも協力をしてくれた。神器に関する資料や異世界にいるであろう生物の資料を送ってくれたのだ。俺は彼らにとても感謝している。だから俺は異世界に行かなくてはならない。みんなの思いを背負って。
初投稿だよー。