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その16 外の敵は粉砕したが、内側から発生してくる問題だってあるので、これらもどうにか解決していくが力業になるのはしょうがない

 トモヒロからすれば、それまでの政治体制が邪魔だった。

 それらを吸収して取り込めば、必ず内部から侵食される。

 だからかつての統治体制側にいた者は全て排除せねばならなかった。

 南側の連合残存国も、国としては残ってるがトモヒロの国の政治に参加してるというわけではない。

 あくまで他国として扱い、政治への参入はこれっぽっちもない。

 なお、これらが残ってるのは、あくまでトモヒロの気まぐれによる。

 倒しても良いが、それも面倒だから、というのが理由だった。

 実際彼らがトモヒロに抵抗するという事もないので、そのままにしても特に問題は無い。

 トモヒロの死後、彼らが牙をむく可能性はあったが、それはまだまだ先の事になるだろう。

 それまでにはトモヒロの国も十分な力を擁しているだろうから、戦争になっても問題はない。

 そんなわけで、南側の連合は生存を許されていた。

 ただ、北側は放置しておくと面倒になりそうだったので完全に潰す事にした。

 南側ならば、何かが起こっても兵力を展開するのも難しくない。

 だが、北側で放棄されたら処理をするのが面倒になる。

 トモヒロが駆けつけるにしても時間がかかる。

 そんな手間をかけるのも嫌だったので、残さず潰していく事にした。



 当然ながら増大する無政府地域は放置となる。

 そこがどうなろうとトモヒロの知った事ではない。

 競合する相手もいないのだから、いずれ時間をかけてまとめていけば良いと考えている。

 今後教育が普及し人材が育ていけば、統治に必要なだけの人員も確保出来る。

 それまではのんびりと時間が経過するのを待つしかない。

 幸い、技術や知識の進歩によって生産性も増大している。

 これにより余裕が生まれ、子供を学校に送る事が出来る家庭が増えている。

 子供も労働力として使わねばならない段階を少しずつではあるが脱却しようとしていた。

 また、教育の重要性というか効果を実際に感じている者達も増えている。

 読み書きが出来て計算が出来る、ある程度の理科や社会を知ってるというのはそれだけでも貴重な戦力になる。

 学校教育を始めて十年ほどが経過し、各地に初等教育修了者が拡散していった成果である。

 上級教育や高等教育を受けた者達も増えている。

 それらは市井ではなくより大きな商会や工房、統治機構などに入っていく。

 最初からある程度の教育を受けていた者達だけに、受け入れ先があらためて職業訓練を施すにしても、短時間で済ませられるようになった。

 このため、あちこちで作業の効率化が進んでいる。

 まだその効果は一部でしか発揮されてないが、いずれ国内全域に浸透していくだろう。

 そうなれば、国の発展に拍車がかかる。

 あと五年十年もすれば、更に効果は増すだろう。

 それまでは落ち着いてハーレムに籠もっていようとトモヒロは考えていた。



 ただ、そうも言ってられない事も発生してくる。

 国土が拡大するごとに流通量が増え、町の規模もそれなりに拡大せねばならなくなる。

 人が行き交うだけでも混雑するようになった町の中の道路を整備せねばならなくなった。

 上下水道も同様に拡大拡張をせねばならなくなる。

 そうなると、現在そこにある家などを撤去せねばならなくなる。

 これをどうするかが悩み所だった。

 また、外敵からの攻撃に備えるための城壁によって町の規模が遮られてしまっている。

 これを拡大していくには、外壁の外に町を作っていかねばならない。

 現在そのあたりは勝手に住み着いた者達による貧民街がひろがっている。

 それらを一度どけねばならなかった。

 それはそれで面倒な作業なのだが、やらねば先に進まない。

 勝手に住み着いてるだけなので、特に権利問題などがあるわけでもない。

 住人を追い払って更地にすればそれで良い。

 もちろん抵抗はあるだろうが、それらは治安機関を投入して殲滅していく。

 危険なのはこういった所に根を張ってるマフィアやヤクザなどだが、治安機関を動員すれば十分に片付いてしまう。

 勝手に住み着いてる連中よりも、今後の町の発展の方が優先される。

 ただそれだけの事である。



 厄介なのは、その外にある田畑である。

 これらは持ち主などがハッキリしてるので、勝手に収奪するわけにはいかない。

 適切な金銭などを支払って買い取るしかない。

 もちろん拒否される可能性はある、というより確実に反対されるだろう。

 なので、強引に金を渡して強制的に入手せねばならない。

 反対は大きいだろうが、これもやむを得ない。

 下手に価格交渉などが長引けばそれだけ発展が遅れる。

 そんな事をしてる暇などこれっぽっちもない。

 日々増大していく都市機能に対応していかねばならず、悠長に話し合いなどしてる場合ではない。

 徴収する土地に相応の金額を支払い、新たな生活の為に動いてもらうしかない。

 そのまま都市内に居住するもよし。

 新たな土地を求めて旅立つもよし。

 どちらにしても、適切な場所を示してやるくらいしかやってあげられる事は無い。

 こうでもしなければ、都市に必要な機能を確保する事が出来なくなるのだから。



 こういった入れ替わりが多発していくので、代替え地などの斡旋もしていかねばならなかった。

 幸いというか、首都の近郊は平地であり拡大の余地はある。

 ひろがってる田畑を潰させねばならないが、こればかりは仕方がない。

 いずれ今後も拡大していくなら、この田畑も潰していく事になると農民には伝えておき、その日までに身の振り方を考えさせるしかなかった。

 一応、町に入るにしても、新たな土地に出向いて田畑を切り開くにしても、数年間は税金を免除という条件をつけておく。

 町に住む場合には就職先の斡旋を。

 新たに田畑を開墾するならば、その為の道具や苗などの提供を。

 これらによって可能な限り円滑に事が進むようにしていく。

 とにかく迅速に町を拡大していかねばならない。

 急激な拡大に伴う負担と言えた。



 道幅の拡大、市街地の整備などなど。

 町に必要となる様々な物事を決めていかねばならない。

 トモヒロは、今後自動車などの登場を見越して道幅を広く取っていこうとしていた。

 現段階でも馬車などが乗り込んできてるので、ある程度の道幅が必要である。

 それも、荷台が行き交えるくらいは欲しかった。

 加えて歩道も整備せねばならない。

 必然的に道路の幅は大きくなり、この世界の住人達は「ここまで必要なのか?」と疑問を抱くほどだった。

 だが、トモヒロの意見なので誰も表だって反対する事も出来ない。

 疑問を抱きながらも統治機構などに所属する者達は、トモヒロの意見を聞いて事を進めていく。

 これらが正解だったと考えられるようになるのは、これから大分経った頃になる。

 だが、最初の時点で余裕を持って設計された都市構造は、今後も増大する人や物の流れに対応出来るものとなっていった。

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