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水銀暗渠  作者: 姫野いつき
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甘い迷宮

【 甘い迷宮 】


出口の無い御菓子の家

蜜に溺れて夢を見る

全て忘れ漂う

神様にも見えない処で


彼方此方茨ばかり

触れたらあたし

裂けて血が出て

覆う影が怖いから

光の中も恐れた


扉に鍵をして

カーテン開ける必要は無い

視界にさよなら

まだ早いけど

其処は決して虚無では無い


出口拒む御菓子の家

砂糖に染まり底を見る

欲しいもの揃えるの

神様も知らない眠りで


全て忘れ漂う

穢れ無きこの世界


出口隠す御菓子、迷宮

硝子細工の淡い夢

孤独をドレスに

12時の鐘壊し

誰のキスでも目覚めないの


音のない世界でも

あたしは君が恋しい

君はあたしを天使と呼んだ

君は君を悪魔と呼んだ

なら 指を絡めたら

この世界は 二人だけのためにある


音のない世界でも

あたしは君を感じている

あたしを呼んだ君

あたしはずっと待っていた

あたしの歌は

きっとあの時止まったの


君よ 君を苦しめないで

君は君のままで良いの

それを悪魔だと言うならば

あたしはこの翼を捨ててもいい


永遠なんて道はきっと怖いけど

君の為なら誓おう


神様にも見えない処で

『水銀拡散』からの加筆修正版となります。

お読み頂き、大変有難く存じます。

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