第一話 転生っていうか転職
痛い・・・なんて思う暇もなく死んでしまった僕。
「ここは、どこだろう?」
辺りを見渡してみると、花畑や菜園、川も流れているが、いまいち頭の中がパニックで整理が出来ない。
するとそこに他の人がやって来たようだ。だけどコミュ障の僕、話しかけるなんて出来ない。なので遠くからしばらく観察。
5分後
どうやら僕と同じ状況のようで、何が起こってるかわからないようだ・・・少し目を閉じて考えてみよう。
僕は用事で外に出ていて、そこで車に・・・ん?車?そういえば・・・。
状況を何となく理解した僕は地面に無気力に座りこんだ。
「ははっ・・・そういえば僕車に撥ねられたんだった・・・」
ということはここは死後の世界・・・かな?
「そっか・・・僕死んじゃったんだ・・・」と落ち込んでいるとさっきの人が、どこかに歩いて行った。目で追っていると後ろから続々と動物、虫、人などが歩いている。
なんだなんだ!?と驚いていると皆が向かっている先には建物があり行列ができている。
「何かのアトラクションでもあるのか?ここは遊園地・・・ではなさそうだし・・・とりあえず他にあてもないから行ってみよう」と思い歩いてみるとそこには。
[転生屋]の看板。
「転・・生・・・屋・・・?」なんだろうこの建物は・・・。
恐る恐る中を覗いてみると・・・カウンターに女性が一人、座って何かをしているようだ。
行列ができているということはあの人は有名人か何かか?しかしここからでは人が多くてよく見えない。
ということで並んでみた。
どんどん列が進みもうすぐ僕の番。すると前にいる男の人が、
「姉ちゃん可愛いな!俺と遊ばねぇか?」とカウンターの女性を口説いていた。
するとその女性が、
「あらご冗談を。はい、あなたの転生先はハエね」
男の人は不満そうに、
「なっ!?なんで俺がハエなんだよ!お前ちょっと可愛いからって調子乗ってると・・・」
女性はニコニコしながら、
「あなたが生前にやったことを覚えているかしら。喧嘩の末、元彼女への暴行。高校時代万引き15回。タバコ、空き缶などポイ捨て1256回。傷害事件も起こしてるわね」
「ぐっ・・・」男の人は何も言い返せない様子。
「私は書類をもとに判断しているの。あなたは最低ランクの中でも一番下よ。それでももうワンランク上のハエに転生させてあげるんだから感謝しなさい」
男の人は肩を落としながら建物の外に歩いて行った。
「次の人」そしていよいよ僕の番。
書類をじっと見つめる女性。ドキドキする。
「あら・・・?」不思議そうな女性。
「あなた死亡してから2時間以上経過してるわね。死んだ後に声とか聞こえなかったかしら?」
「こ、声ですか?何も聞いてませんが・・・」
「変ね・・・ちょっと失礼」どこかに電話をかけるようだ。ここにも電話とかあるんだ・・・。
「2時間以上前に、ええ、そう、日本人よ、なるほど」電話が終わったようだ。
「すみません、こちらの不手際であなたにだけ伝え忘れたそうです」
「は、はぁ。そうですか」
女性は考え事をしているようで、少し考えた後にポンッと手を叩き、
「あなた、ここで働いてみない?」
え・・・?働く?
「悪いことしちゃったし住み込みで働いてみない?」
「え、いやちょっと待ってください!働くなんて・・・転生は!?」
「あなた生前特に良い事も悪い事もしてないの。正直転生先何にでもなれるし人手不足なの!だからお願い!」
「ひどい言われようですね・・・」
でも働くなんて初めてだし・・・やってみたい気も・・・死んでるけど・・・僕でも誰かの役に立てるのかな・・・死んでるけど・・・
「わかりました。ここで働きます」
「やったー!ありがと!じゃあこの書類にサインしてね!」
こうして僕の転生・・・いや転職先?が決まった。