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セカンド人生  作者: 雪野
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6.女子力の第一歩は日焼け止めから。

暇だったので本日二話目。

お風呂につかり、父ちゃんといいだけ騒いだ後、私たちは仲良く恐竜の着ぐるみパジャマを着て眠りにつく。それぞれ個人部屋があるのだが、まだまだ一人で寝られないお年頃らしい翠に合わせて、同じ部屋で寝ている。


横並びのベッドはそれぞれ色違いの恐竜柄で、翠のが緑で私のがオレンジだ。


さて、今日も遊んだしさっさと寝るか。



「ねぇ、葵生ちゃん。どうしてママのことはママって呼ぶのに、父ちゃんはパパって呼ばないの?」

「えー、わかんない。父ちゃんが父ちゃんって呼べって言うから・・・・。」



そんなこと聞かれたって知らんがな。


いいから寝てくれよ翠ちゃん。おねーちゃん恐竜王になって怒り狂うぞ、がおー。



まぁ、でも。ばぶ語星人だったころは、母も『ママ』って感じで、父も『パパ』って感じだった。

「パパでちゅよ~」って言ってたくらい、だらしなくゆるゆるに顔を崩してたっけ。


ホント、ばぶちゃんなりにこの両親大丈夫かなって心配するくらい、お花畑というかふわふわしていた。

でも私がしゃべれるようになって、翠が生まれたくらいからいい意味で両親の態度が変わった。


ママはそれなりに美人で社交的で、ママ友会のドン。それにご近所付き合いにも力をいれるゴットマザーになった。


父ちゃんは、周りの父親から頭一つ抜けるくらいのイケメンで、エリート商社マン。らしい。

今でも定時に帰れることはほぼないし、休日出勤のせいで動物園と遊園地行きが何度も白紙になってきた。


でも、父ちゃんは父ちゃんなりに私たちのことを気にかけてくれる。



早朝の虫取り散歩に付き合ってくれるし、サッカーして遊んでくれる。



私がフリルのスカートを履かなくても、文句も言わないし、むしろ小さなときはそれぐらいの方がいいと言って頭を撫でてくれる。未だに衰えない運動神経と、特に鍛えるでもないのに引き締まった体と程よい筋肉も自慢の一つだ。


幼稚園でも羨ましがられるほどなのに、なぜか「父ちゃん」。



ママは父ちゃんのことをパパって呼ばせたいみたいだけど、父ちゃんがそれを許さない。

なんか父ちゃんの方が、パパよりも頼りがいがあってカッコいい響きらしいからとかなんとか。

でも直接父ちゃんから聞いたわけじゃないから断言はできないよ。





「と、言うわけで、充にぃと周は父ちゃんのことなんて呼んでるの?」



そう問いかけると、どういうわけなのかわからない周は首を傾げた。充は現在プレイ中のサッカーゲームに夢中で私の声は聞こえていないようだ。



「普通に、父さんだけど。」



周はなんてない風に答えると、また、サッカーシューズの手入れにせっせと取り組んでいた。



「じゃあママのことは?」



私もめげずに自分の世界に入ってしまう兄弟に質問続ける。この兄弟は夢中になればなるほど周りの声が聞こえなくなるくらい集中力が凄い。


無視されてもくじけてはいけません。



「ねー。ママのことはなんて呼んでるの?あーまーねー。」

「あーもう!うるせぇっ。母さんは母さんだ。別にどんな呼び方でもいいだろっ!」



いや、まぁ確かにどんな呼び方でもいいです。でもさ、うちの可愛い翠ちゃんがどうして?って可愛く聞いてくるからぁ!!


なんか他のお家はどうなのか気になるじゃんかよぅ・・・・・。



「ていうかさあー、別に聞かなくてもいつも葵生うちで遊んでるからさー、俺たちが母さんたちのことどう呼んでるかわかるよねー。」



なーあまねー。って充くんよぉ・・・・・。





それな。




確かに改めて聞く必要なかったわ。

充にぃは聞いていないようで聞いてるんだよなぁ、人の話。そして会話に加わるタイミングが絶妙。

実は全部わかってて流れを読んでる感じがするし、底知れないよね。



「ところで葵生―、さっきから塗ってるそれなぁーに?」

「よくぞ聞いてくれました!!!充にぃ!!!日焼け止めです!!!」



さっきから体中にペタペタ塗りながら、充にぃのサッカーゲームを見ていた。昨日ママはさんざんおこってたけど、日に焼けたくないという乙女心に心を打たれたのか、泣きながら子供用の日焼け止めを買ってきてくれた。黄色いキャップにクマのイラストが入った可愛いパッケージで、翠も緑のキャップの色違いを買ってもらっていた。なんでもお姉ちゃんの真似をしたいお年頃なのだ。



「葵生・・・・・日焼け止めって。ここ室内だぞ?お前って実はバカ?」

「そーそー。しかも、レースカーテンはUV対策加工バッチシ!って母さん言ってたー。」



クーラーの効いた山下家の子供部屋。

青と白をベースとした家具が並んでおり、20インチの小さなTVが壁についている。その下に録画もDVD鑑賞もゲームもできちゃう万能ゲーム機が置いてある。見たことのないメーカーのものだけど、ここまで来れば驚くほどのものではない。



そして、山下家と平良家はお隣さんです。

山下家は両親と充、周の4人家族。平良家も両親と私、翠の4人家族。

ゴットマザーのおかげでこの家に越してきてからというもの、年齢も近いことからあっという間に山下家と打ち解けた。


今では家族ぐるみのお付き合いをしている。



「翠。この家にいても日焼け止めの効果は表れないみたいだ。」

「あい!」



「外にサッカーやりに行こう!」




せっかく日焼け止めを塗ったのに、効果が得られないんだったら意味がない!!!!

私たちは勇敢な戦士。おてんとさまの元で元気に遊ぶことを誓います!!!



「んー。なんかちょっと違う気がするなー。」

「あ、充もそう思う?」



そんな堅い決意をした私たちの横で、山下兄弟はあきれ顔でため息をついた。



「さあ、行くぞ翠!!!」

「あい!!!」

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