5.少年はそれでも真剣に考え続ける
小さな子の一生懸命考えて答えを出そうとする姿勢・・・・・イイネb
サッカーの時も、その後の算数の授業でも。率先して手を挙げて自分を指し示すはずの周に元気がなかった。
そうさせたのは私なんだけど、こればっかりはしょうがない。
これで関係がこじれれば、私たちの友情はそこまでだったと言うわけだ。
「でも、それはちょっとやだなぁ・・・。」
声に出せば、余計に心が締め付けられる。でも、前世とか言ったところで頭がおかしいと思われるのが関の山だ。
精神病院にでも連れていかれたら、私は再起不能になる。
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「葵生。俺はそれでも葵生にはいっぱい友達を作って、たくさん楽しい思い出を作ってもらいたい。」
放課後、一目散に私の元へ来た周は、腹を決めたように言葉を紡いだ。彼は、彼なりに私の言葉をかみ砕いて理解し自分の考えを答えてくれた。
なんだか可愛い答えだったけど、今はそれでいい気がした。
「ありがとう、周。私もそう思ってたところだよ!」
今は目の前のセカンドライフを楽しむんだって決めたんだ。
周は私なんかより全然子どもなのに、私なんかより大人だ。
もう中身はおばさんなはずなんだけど、子どもなのは私の方。
嬉しいんだか、悔しいんだか。周にかなう日は一生やってこないんじゃないかと思う。いつかあの眼鏡をへし折ってやりたいくらい生意気なんだけど、それでもまっすぐな周はキラキラ輝いている。
それなのに私は輝くどころか
「よし、周!帰ってサッカーするか!」
「おう!」
ノリが完全に男子である。
仕方ないので、あと二年はサッカーやアクティブライフを送って。それから女を磨くことにしよう。
セカンドライフの目標は『脱いきおくれ』に決定だ。
アラサーで焦らないように早めの出会い、早めの結婚を目指そう。
まず手始めに、この小麦色の肌がこれ以上焼けないように日焼け止めを塗るところからスタートだぜ!!!
「葵生ちゃーん?ママのちょっと良い日焼け止め知らなーい?」
「知らなーい。」
ママから少々拝借した、ちょっと高い日焼け止めを塗って。これで今年の夏はもう焼けないね!!
「ねー葵生ちゃん。これなぁに?」
「おー翠。これは日焼け止めっていって、これを塗ったら日焼けしなくなるの。」
「へーすごいねー!!翠も塗るー!」
この日の夜は翠と一緒に全身に日焼け止めを塗った。これで明日から焼けないね!!!
「こらー!!二人ともお風呂に入ったばっかりなのになにやってるの!!あー、ママの日焼け止めこんなに使って。高かったのにぃー!!」
ママからの手痛い愛の鞭をもらい、ちょうど帰ってきた父ちゃんとお風呂第二ラウンドが始まりましたとさ。