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セカンド人生  作者: 雪野
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4.綻びは見えないところで人を傷つける。

傷ついても食らいつくのが真のうぉとこ(漢)。

充は周の兄で3つ年上の小学校5年生だ。

周と似ているのは顔ぐらいと言われるほどに、2人は仲が悪い。

好みも違えば、コツコツ積み重ねタイプの周と、何でもギリギリ自由奔放のガキ大将充は正反対だ。


綺麗好きの周、片付けられない充。


二人の喧嘩は絶えないのだ。


それでも、頼もしくてカッコいい充を周は尊敬しているし、大好きだった。

逆もしかり。

真面目で責任感の強い周を充はすごく気に入っていたし、自慢の弟だと自負している。



心の底では信頼し合うとてもいい兄弟である。



私も将来は、翠と頼り、頼られる姉弟になりたいと思っている。


周曰く、「充は葵生も翠も自分の自慢の弟だと思ってるよ。」のことらしい。

私の頼れる弟「翠ちゃん」の襲来はそう遠い日でもないのかもしれない。


未だに怪獣の着ぐるみパジャマを着ては、『かいじゅうだぞー。がおー。』と、とても真面目に怪獣訓練をしている頼もしい奴だ。魔王父ちゃんと、その手下葵生仮面(ブルーかめん)を倒して、母を助けるところまでがテンプレート。


最後にお祭りで買ってもらった、お気に入りの吹き戻し笛を酸欠になるまで吹いてから電気が切れたかのように寝る。電池で動いてるのかと思うほどにどこでも寝る。


例えば階段の三段目だったり、トイレの前だったり、ベッドの下だったり。

丸まったり猫のように万歳して寝ることもあり、母と私の心のカメラにしかと保存されている。



そんなことはどうでもいいんじゃ!



「ねぇ、周。私は妹じゃないの?」

「さぁ?」



私が女かどうかは充にも周にも関係なさそうだ。



やっぱりフリルのスカートを履くべきか、ぐぬぬ・・・・。



「ところでさ、さっきの家族と俺がいればもう何もいらないって言うのは?それ本当に言ってんの?」



周は、ジャングルジムの錆びを指でなぞりながら静かに目線をあげた。

私の問題発言は周の逆鱗に触れたようで、怒りを通り越して嵐の前の静けさがある。



その風に揺れる前髪と、透き通った目は私の心を突き刺した。



忘れていた。こいつは体育会系の熱い男だ。



ここは、なんとかごまかさなければ。

でも、軽率な嘘や誤魔化しは周には効かない。



で、あれば簡単だ。認めも否定もしなければいい。



素早くジャングルジムを降りた私は、振り返って笑った。



「ほら、周!サッカーするぞ!」



勢いよく飛び出せば、もう周は私にその先を聞くことはできまい。


これでいい。これでいいのだ。

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