音のする方へ
「ンガ―――!ンガ――――もにょもにょ・・・」
茶々丸のイビキが響いている。
今は一体夜なのか、朝なのか、日のないこの島ではわからないが
皆疲れていた。
喜楽仙人の家の中
みんな寝相が悪い
イビキのうるささと、窮屈さで、弾は目を覚ました。
「ったく、茶々丸は寝ていても、起きていてもうるさい奴だ」
”あれ?”
仙人がいない。
一緒に寝ていたはずだが・・・
しょんべんでもしに行ったか?
少し散歩でもしてこよう。
外の風は穏やかですごく静かだ。
すると、どこからか
音がしてきた。
“トン、トン、トン”
何かを叩くような音だ。
何となく音のする方へ向かった。
その先には洞窟があって
どうやらそこから音が聞こえてくる。
弾は洞窟の中へと入って行くことにした。
“トン、トン、トン”
音が大きくなる
同時に光もうっすらと見えてきた。
誰だ?
仙人だ。
壁に向かって何かをしている。
壁叩いているようだ
ただただ、夢中で
仙人のもとへと行くと
焚火の光で辺りを見渡す事ができた。
そして、ここで何をしていたのかがわかった。
仙人は、洞窟の壁に絵を掘っていたのだ。
それは女の人と小さな子供の絵で
どれも同じ人の絵ががたくさん描かれていた。
どれも、これも、優しそうで
楽しそうな母親と女の子の絵だった。
だがしかし、何故かな
どの絵にも顔は描かれていなかった。
仙人は弾が来ていた事に気付いていたようで
話し始めた。
「すまんの・・・起こしてしまったかの?」
「いえ、茶々丸のイビキがうるさくて、夜風にあたっていました」
「ふぅー」仙人は小さなため息をついて、座り込んだ。
「この絵・・・気になるじゃろ?
顔がないこの絵を・・・
この二人はな、わしの家族なんじゃよ
妻と娘。
顔も知らない・・・妻と娘じゃ
そして二度と会う事もない」
「・・・?」
弾はさっぱり意味がわからなかった。




