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眠りの薬師  作者: うちゃたん
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究極の存在

一颯がこの島から去った数年後。

風の噂で聞いたんじゃ・・・

一颯は亡くなってしまったんだと」




「もう生きてない・・・のか」クルミが言った。




「んー。残念だが。

天空の神樹の争い・・・。

それに、巻き込まれ命を落としたと聞いたよ。

この世から大きな才能が消えてしまった事に

多くのあやかしは、心を痛めた。




生前は、薬作りの腕が認められ、あらゆる権力者に頼りにされておったらしいからな。

国の主の病も、一颯が診ていると聞いた事がある。

どんな名医も適わない、究極の存在だと言われおったらしい。



きっと弾の母君にも会った事があるじゃなかろうかな。

その関係で、父上がこの本を持っておったのかもしれん。

ただの推測だがな!

しかし、おぬしの父上は不思議な男よ

何であやかしなんかと、妻として娶り、こんな人間には読めん本を持っているんだが

へーんな人間じゃの~」





「へ~んな人間なのは、喜楽仙人も同じだと思う所だが」弾がそう言うと、みんな笑った。




「確かに、負けとらんわ」




「しかし、一颯

主様を診ていたなんて、只者じゃない!」主の熱狂的な追っかけである、クルミはこの事の凄さを誰よりも理解していた。




「究極の存在

そう呼ばれた一颯が書いたこの書は、やはり特別な物なんだ」弾はそう言って、文字をなぞった。




すると、「さてと」と言い仙人は立ち上がった。





「立ち話もなんだ。


長旅で疲れたろうに、今日はわしの家で休むと良い。

この島に長居する事は決してすすめはしないが。


わしの家には、温泉もある。ご馳走も用意しよう。

ひさびさの客じゃ、杯を交わそうじゃないか」そう言って、うひひーと笑った。




「イエ――――――イ!」茶々丸とクルミの雄たけびが上がった。







ー場所は変わり。

ここは、ひょうたん池のほとり。

大きな一本の木が生えている。

その木の枝に、小屋があった。

それこそが、喜楽仙人の家である。




その木の下で、皆は火を囲んだ。

喜楽仙人がもてなしてくれると言うもんだから

茶々丸とクルミは大はしゃぎ。




喜楽仙人お手製の料理が次々と運ばれてくる。



だが・・・。

その料理とは、想像していたご馳走とは大分違かった。




まるで泥のような煮込料理と、焚火で焼いたと言う仙人自慢の焼き魚はまるで食べかすのように身がついていない。

ずばり言うと、生ごみのような物が運ばれて来たのだ。

これは一体どうゆう事なのか。





「さ、さ、皆食べておくれ。遠慮せず、たーんと食べるといい」喜楽仙人は上機嫌だ。




皆は、曇った顔で料理を眺めている。

これを食べないといけないのか・・・。

みんな心の中で思っていた。




すると、茶々丸が口を開いた。

やはり、茶々丸は絶対に文句を言うとみんな思っていた。




「なー仙人・・・。この黒い煮込みはなんだ!食えるのか?」



「これはな、封印の島の名物。黒もみじ汁じゃ!なかなかいけるぞー」



すると

「いただきまーす♪」くあ之助が勢いよく食べ始めた。




くあ之介は何も迷う事なく美味しそうに食べている。

“やっぱり無理だ食えない”弾は心の中で思っていた。



するとまた、茶々丸が口を開く。




「なー仙人・・・この魚・・・骨しかねーよ。誰かの食い残しか?」




「何を言っておる。ほら・・・こんなに身が付いとる」仙人はそう言って。

骨の周りについた、肉を器用にかき集めた。



「これはな、身じゃねーよ。カスだよ、カス!」




「まったく、贅沢な子ネズミじゃの~!この島は太陽がないのじゃ!

そりゃわしだって・・・ふっくらとした身の魚を食べたいさ!

しかし、ここの島ではこれが何よりの贅沢品!

黙って食うんじゃ!」




「これは、誰かの食べかけじゃなく・・・骨のような魚の焼き魚か。ふむ」弾は感心するように言った。




「感心してる場合じゃねーよ!ろくな食い物がないんじゃやってられねー!」茶々丸はどんどん不機嫌になってきた。




「まーまー、君たちにとっちゃ、とんでもない食べ物かもしれないけど。

でも、こう見えて喜楽仙人が用意してくれたとびっきりのご馳走なんだよ。

信じられないと思うけどね。

だからさ、とりあえず。

この黒もみじ汁飲んでみなよ♪結構いけるから」くあ之助がなだめた。




すると、クルミがおそろ、おそろ、一口飲んでみた。




「んっ・・・うまーい!」クルミは目を輝かせた。



その様子を見て、茶々丸も一口黒もみじ汁を食べた。

「ほ、本当だ!なんか、俺が大好きな甘酒みたいに、柔らかくて深い味がするんだな!

食べる前から、文句言って悪かった。

許してくれ、仙人」そう言ってガブガブ食べ始めた。





「うひひひ~


気にってくれると思ったよ

じゃんじゃん食べておくれ」





皆はわいわいと楽しく食事をして、仙人の大事にしている酒で杯をかわした。

その日は、笑い声は絶えなく響いた。




「あぁーこんなに笑ったのは久しぶりの事だ・・・何十年ぶり?何百年ぶり?もうわからんよ」仙人は笑い疲れたように言った。




「急に訪ねて来たと言うのに

もてなしの料理と、酒まで出してもらいかたじけない」弾は深々と頭を下げた。




となりで茶々丸は大きなゲップ。




「しかし、さすが島流しの場所。これだけ食べ物が少ないと・・・大変だ」弾が言う。




「この島は、別名は餓死の島じゃ。

皆、バタバタと飢え死にして行く。



だがな、数年前?数十年前?忘れたがな



この島には、ある秘密が出来た。

その秘密のおかげで、今は餓死をする者もいなくなった。

その秘密とは、とっておきの食べ物の事なんじゃが。

少し休んだら、その秘密をお前たちにも教えてやろう


一颯も知らない、とっておきの秘密じゃ うひひひ~」仙人は、嬉しそうに言った。




「君たち、きっと息が出来ないほど驚くよ♪」くあ之助もいたずらな微笑みを浮かべた。




弾と茶々丸とクルミは、目をキラキラと輝かせた。




「今日はもう風呂に入って、休むとよい」




そう言って、皆をお手製の露天風呂に案内した。




「どうじゃ?湯加減は?」仙人が、声をかける。



弾と、茶々丸と、クルミは、とろけそうな顔をしていた。



「あ~最高だ~~」茶々丸が言う。




「温泉まで掘るなんて、さすが仙人だ~」クルミが言った。




「別に~温泉を掘ったわけじゃないぞ。

この島には、烈火という妖が最近、島流しでやって来てのう。

それがまた、困った妖怪で。

あちらこちらに、火を付けちまう。こんな奴もなんか役に立たないもんかと思っての。



烈火の火を利用して、ひょうたん池の一部を温めたのじゃ。

おかげでわしの、家は最近じゃ観光名所。

色々なやつが温泉を楽しみにくるよ。



だが、烈火の機嫌が悪いと、この温泉はマグマに変わる事もあるから、気を付けるんじゃよ~」そう言って、仙人はまた、うひひひ~と笑った。





「え・・・マグマ?」三人は声を揃えて驚いた。




仙人はそんな三人を見て

“愉快、愉快”と楽しそうにしていた。





空を見上げると

朝なのか、夜なのかもわからない紫の空。

来たばかりの時は、不気味に感じていたけれど

今は何だか面白い。




“ハハハッ”クルミは思い出し笑いをした。




「何が面白しれんだー??」そう言って、茶々丸はお湯にぷかぷかを浮かんでいる。




「何だろう!何か笑っちゃうよ。

じいちゃんが島流しにあったこの場所だから

勢いで、茶々丸と弾に付いてきちゃったけど。

正直、ここへ来るのすっごく怖かったんだ。

だけど、何か間抜けな事ばかり起きて

笑っちゃうよ」クルミはクスクスと笑っている。




「確かに、最初の光の太鼓橋を渡る時なんて

もう生きては帰ってこれない雰囲気だったよな!

まさか、温泉に入れるなんて、笑っちゃうぜ」そう言って茶々丸も笑った。




「おー何かのぼせてきた~」




こうして長い旅の一日は、終わった。






かなり久しぶりの更新です。

この物語が誰の目に止まらなくても

私の宝物

完結させようと思います。

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