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眠りの薬師  作者: うちゃたん
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第八十七話 その名に会えた喜び

弾は、父が何よりも大事にしていた本である五行書の著者を知る為

喜楽仙人に会いにここまでやって来た、その経緯を説明した。




「なるほど、なるほど。

おぬしの父上が持っていた、この本の著者が知りたいとな。

そして、この本にわしお名があったから、わしに尋ねに来たという事か。

ふーん。

ほれ、その本を見せてみー」仙人はほれほれと、手を伸ばした。




仙人はしばらく、五行書を真剣な顔で読んでいた。




「何せ幼い頃に、父を亡くしたものだから

何で人間である父がこの本をあんなにも大事にしていたのか。

全くわからなくて。

どんな些細な事でもいい。父の考えていた事が知りたかった」





「人間か。わしも昔は、ただの男じゃったな。

今となっては、人間だった頃の感覚すら思い出せんよ。




うむ。

確かにこの本に書いてある名はわしの事じゃ。

この著者である男から、薬を貰った事

その日の事ははっきり覚えておる



よし、ではこの著者との出来事を話すとしよう」仙人は、立ち上がり





弾と、茶々丸と、クルミは息を飲む。





「この本を書いた者は、一颯いぶき

一颯という奴じゃった」





「いぶき・・・」





ついに名前がわかった。

運命という名の点と点が、結ばれて行く

そんな感覚がした。





「その者は、薬屋だと言っておったよ。

口数少ない男でのー、どこから来たとか、生い立ちは何も知らん。



奴について知っている事は、珍しい植物を求めてこの島に来ていたって事だけじゃ。

日の無いこの島では、どんな植物が生息しているのか調べに来たと言っておったな。




しかし一颯は、わりと良い奴でな。

わしに薬を作ってくれないか?と頼んだら快く良く作ってくれた。

その時の記録が、この本に残っていたと言う事だな」





「この本によると、解毒薬を作ったと記されている。

だけど、妙な作り方の解毒薬だ。

一体どんな悩みがあって、こんな薬を?」弾は尋ねた。





「あぁ・・・

確かな~



その頃わしは、まだ若くて、修行中の身だった。

わしは、究極の仙人になる為に身を惜しむ事なく厳しい修行をしておって、この過酷な島へ修行の為わざわざやって来たんじゃよ。

別に~島流しにされた訳じゃないから勘違いするでないぞ。



だがな、わしは本来は、人間じゃ。

欲深い、愚かな人間。



だから、一颯に頼んだのじゃ。

煩悩を消す薬があるならば作ってくれないか?と。

余計な事は考えたくなかった。

究極を極めたかったんじゃ。




そして、五吹は早速わしに薬を作ってくれたんじゃ。

それが煩悩を消すという解毒薬だった。

それは凄い薬じゃったよ。

一点の曇りもなく修行に集中できるようになった。



おかげでわしは究極の仙人になったって訳じゃよ、ウヒヒヒヒ~」仙人は自慢げに言った。





「ほー。これは煩悩を消す解毒薬なのか」弾は、五行書に説明を書き加えた。




「すげー!仙人、本当に著者に会ってたんだな!

一颯・・・一颯か!!

良かった!来て良かったよ!」茶々丸は飛び跳ねた。





すると、何故か仙人は突然顔を曇らせこう言った。




「残念なんだが一応、この事も伝えておこう・・・」




「?」




みんな、目を合わせて

“何事?”といった顔をした。





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