第八十三話 謎の行動
ゆっくりと振り返る。
目の前には、黒くて大きな、もやがあった。
それは物凄い迫力で、すべてを吸い込まんでしまいそうな深い闇だった。
その奥から感じる冷たい殺気。
この黒い影こそが、カゲロウだった。
4人は圧倒され、身動きできない。
声すら出なかった。
”いつ、どうやって、殺られるのか
逃げたい、逃げられない“
言葉が頭の中を駆け巡る。
しかし一向に、カゲロウは攻撃をして来ない。
息苦しい沈黙が続く。
汗がしたたるばかりだ。
どーした事か、黒いもやは、何もせずに消え始める。
殺気も薄れてきた。
“どーゆう事なんだ”皆の頭の中に浮かぶ言葉は同じだった。
そして、ついに完全にカゲロウの気配は消えた。
一体何なのか、皆は拍子抜けした。
「助かったのか・・・?」
「カ、カゲロウが消えた・・?」くあ之助は声を震わせた。
「殺されなかった・・・。
すごい殺気だったのに、生きているのが不思議なぐらだ」クルミは、腰が抜けて倒れ込んだ。
「カゲロウに狙われて生きていた者は、いないよ!君たちツイてる♪」
何はともあれ、助かった。
茶々丸、クルミ、くあ之助に安堵の笑みが溢れた。
「ったく!カゲロウなんて大した事ねーや!」さっそく大口たたく茶々丸。
「あーそうだ!わかったよ!
カゲロウが消えた理由♪きっとこうだ!
きっとカゲロウも、茶々丸の歌に感動したんだ♪
あまりに良い歌で、殺気が吹っ飛んだんだよ!
助かったのは、茶々丸のおかげかもしれないね♪」
「えっそうかな~・・・俺の歌は無敵って事かなー」
「絶対そうだよ♪」
生きている喜びで、妙なテンションになる三人。
だが、弾は黙ったままだった。
首をかしげ、何やら思う事があるようだ。
“確かに・・・。
カゲロウは俺の顔を見て動揺していた、何故なんだ”
弾には、カゲロウの行動が微かに見えていた。
自分の姿に驚き消えた、カゲロウは一体何を思ったのか。
理由はともかく、命拾いしたようだ。
弾は、あまり深く考える事をやめた。
「クルミ大丈夫か?」何だか疲れた顔をしているクルミに声をかけた。
「あ、うん、大丈夫だ!少し驚く事が多くて・・・びっくりしてるだけだ。
でも、じいちゃんが好きな島だから、楽しむよ。
今の所、何でじいちゃんはここが好きなのかさっぱりわからないけどさ」そう言って、クルミは笑った。
「そうだな」弾も笑った。
「よーし、再出発と行くか!まだまだ冒険は始まったばかりだね!」クルミは気合を入れた。




