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眠りの薬師  作者: うちゃたん
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第七十一話 光の中の、不思議

“違う、違う、違う!これも違う!”



茶々丸は、パクの探し物を必死に探していた。





―そして、ついに

大きな袋は最後の一つとなった。




“これで、最後か

きっと、きっとここにあるんだよな?”




そう心の中で呟き、袋の中へと入って行った。

茶々丸は、はぁはぁと息を切らせながら、必死に探した。

だが、体力がだんだんと、奪われて行く。





“急がないと、体力残しておかねーと

人間に見つかった時、大変だ”





すると、その時

茶々丸は不思議な光景を目にする。





袋の奥そこに一筋の光が見えたのだ。





「あれ、何だ?光が・・・」




茶々丸は、光へ向かって進んだ。

進むにつれて、その光は強くなる。




やがて、体が光に包まれた。

黄金に輝く光の中、自分の姿すら見えなくなるほどの強い光。





「あれ?ここは、光の中か?」




キョロキョロと周りを確認したが、だめだ。

何も見えない。

光の中を、進んでみた。



不思議な事に、まるで広い空間のように歩く事ができた。





「一体どうなってんだ・・・

おーい!だーーーーん!」茶々丸は叫び、光の中を駆け抜けた。





すると、“どすん”と何かにぶつかった。

だが、何にぶつかったのかわからない。





「だ、誰かいるのか?」恐る恐る声をかけた。




ぶつかった相手は“ふふふ”と笑うだけで返事をしない。




「だ、誰だよ!ぶつかったら、謝れよ!俺急いでんだからよ!」




「おめでとう」それは小さな子供の声だった。




「え・・・?」




「初めて、何かをやり遂げた。そうだろ?茶々丸」次は男の声だ。




「はー!?俺を意気地なしみたいに言うな!誰だお前!」




「ふふふ、ごめんなさい。そんなつもりじゃないの」今度は女の声。





「誰だおめぇら!!


ちょ、ちょっと待てよ・・・

この状況、どう考えてもおかしいよな。

もしかして、俺・・・死んだのか?」そんな独り言をした。




すると、大勢の誰かが、茶々丸の独り言を聞いて大笑いした。





「や、やめろー!!笑うな!もう、やめてくれ!」




すると、さっきの男の声がした。





「ごめん、ごめん。

そんなに恐がらないでおくれ。

私たちは、薬だ。

命を吹き込まれ生まれた、明鏡の絵空事」




「く、薬?ますます意味がわかんね~(涙)」




「わからなくていいの、ただ素直にこの現実を受け止めてくれればいい」女が言った。




「私たち薬は、弾に命を吹き込まれ、大地、空、海。

あらゆる素質が生み出した奇跡。そして、力。


私たちは、あなたに賭けたの」




「賭けた?何の話しをしてるんだ?」





「これから、少し驚く話しをしてしまうけれど。

よく聞いてほしい」




男が言うと、茶々丸は少し黙った。




「話し・・・。話しってなんだよ」





「弾は、海たる知恵が備わる実。

真実の実を探している。

父親の、聞こえぬ声を聞くために。

それはよくわかっているでしょ?


けれど、実を探し手に入れる事、それは不可能よ」女が、はっきりと言った。






「・・・ッ」茶々丸は、言葉を失った。





“不可能”






「不可能ってなんだよッ!!」茶々丸は腹を立てた。





すると、子供の声が嬉しそうに一言いった。




「弾、一人ではね」




「一人では・・・?」




「ええ。あなたの、その小さな体が

小さな手が、弾を大きく助ける事ができる。

この世界から生まれた、私たち薬はそう思っている

あなたに賭けてるの」




「俺なんかが・・・」茶々丸は小さく言った。





「けれど、私たち薬は未来の当て事をする存在ではないの。

光の差す方角を示す事が出来るだけ。


だから、茶々丸、あなたはきっと弾を助ける事ができるけれど

それと同時に、その役目を果たさない事だって出来る。

すべては、自分次第。


茶々丸、だからあなたはもっと変わらなければならない。

この先の道は、とても険しい」





この言葉に、茶々丸は弾の顔を思い出した。

真実の実を手に入れるために、いつも頑張っている弾の横顔。

山を越え、川を越え、前だけ見て進む真っ直ぐな目。

粉だらけになって薬を作っている姿。





”不可能なんて、そんなの絶対ダメだ”





茶々丸は、深く息を吸ってから叫ぶように言った。




「わかった!

俺は、変わるッ!

だから、お前等!俺たちを、導いてくれよな!


俺、弾に世話になりっぱなしだから!

俺、弱虫だから!」茶々丸は少しだけ、涙を浮かべて叫んだ。





すると、また薬たちは笑った。

そして、大勢の声が合唱して、茶々丸に最後の言葉届けた。





「もっと、もっと、強くなれる」





光の中、不思議な出来事が起きた。



やがて、この光景は夢のように消えて行き

気付けば、茶々丸は現実の世界。

袋の中にいた。




手には、巾着袋を持っていた。




「あー!!これ!パクが言ってたやつと同じ色!」黄色と紫の巾着袋を、手にしていたのだ。






「おめでとう」さっきの子供の声がかすかに聞こえた。






茶々丸は“ヘヘッ”と照れたように笑って袋から飛び出た。




「だーーん!!見つけたぞーッ!」勢いよく跳ね上がる。





すると、何十個と積み上げられた大きな袋が

雪崩のように倒れ出した。




「やべッ」茶々丸は、飲み込まれないように走った。




だが、一番恐れていた事が起きてしまう。




「ゴルァァ!待てねずみが!何咥えてやがる!」人間に気付かれたのだ。




茶々丸は、必死に逃げた。

もう、人間の手に捕まってしまう!

その瞬間に、窓から飛び出した。

まさに、危機一髪。




「クソッ!ねずみが、何か盗みやがった!」人間の怒鳴り声が聞こえる。




茶々丸は“ビューン”と音が鳴るように

外で待っていた弾の懐に隠れる。





弾は、何食わぬ顔でその場から立ち去った。





「茶々丸、おめでとう」そう一言だけ言った。




「あ!?あいつ等みたいな事言うな!」




「あいつ等って?」




「・・・何でもない」





この不思議な出来事は、自分の心の中で温めておく事にした茶々丸だった。






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