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眠りの薬師  作者: うちゃたん
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第七十話 絶対、無理

「はぁ・・・」茶々丸は深くため息をついた。




窓辺にたち、名残惜しそうに振り返る。




「行ってくる・・・・・」




茶々丸は、山賊のあじとへ潜入!

この事を仕方なく承諾したのだった。





「おう、気をつけて!」やたら笑顔で見送る弾。





「最悪な日だ・・・俺になんかあったら。

母ちゃんに俺は立派だったと伝えてくれよな」茶々丸はそう言い残し、屋敷の中へと入って行った。





「必ず、伝える~」弾の陽気な声で、後ろから聞こえた。






“パタパタパタパタッ”



茶々丸は小走りで、進んだ。






「ったく!どこ探しゃーいいんだよ!」キョロキョロと辺りを見回す。




どこに、パクの探し物があるのかなんて、検討もつかない。





“パタパタパタパタッ”



茶々丸は、小走りで隣の部屋へと移動した。




その部屋は、人間が大いびきをかいて寝ている部屋だ。

しかし、この部屋を通らなくては、他の部屋には行けないようだ。




茶々丸は息を止め、一気に男の隣をすり抜け、物陰に隠れる。




弾は茶々丸の行動を確認して、隣の部屋の窓へと移動した。

そっと覗き込むと、茶々丸が見える。





この部屋の奥には、大量の布袋が置いてあった。




弾は、茶々丸に指で合図した。





“その袋の中を探せ!”



“ここか?”茶々丸も合図で返す。






「なんだよ、ここ!

つーか・・・・

袋、多すぎるだろ・・・」





茶々丸の目の前には、大きな袋が山積みとなっている。

何十個という数だ。





“恐らく、これすべて、盗んだ物だろう”

弾は鋭く睨む。






「仕方ない。探すか」そう呟いて、茶々丸は探しはじめた。

パクが探している、丸くて黄色と紫の物を。





これだけの情報で、探し出せるのか。

というか、丸くて黄色と紫の物とは一体なんなのか。

そんな小言が、頭の中をグルグル回る。




茶々丸は、袋の中に入り物をかき分けて、探した。



次から次へと、袋に潜り込む。






“ない、ない、ない、ない”




想像はついていたが、なかなか見つからない。





時より、男が寝返りをうつ。

その度に心臓がドキドキして、焦った。





“どうしよう。ない!”





時間が経つにつれ、焦りが出始める。

茶々丸の顔が、こわばって来た。





“ない!ない!ない!”





かき分けても、かき分けても、まだ見つからない。





“どうしよう・・・

早く見つけないと、人間が起きる!

こんな大量に袋があるんだ!

見つかるわけねーよ!”





手が震えて、頭が真っ白になって行く。





その時。

男が飛び上がるように、大きなくしゃみをした。





それと同時に、茶々丸はあまりの恐怖と焦りに

耐え切れなくなった。




“無理・・・”




茶々丸は、弾の所へと戻って行ってしまったのだった。








―「ないッ!」茶々丸は泣きそうに、怒りそうに、言った。




「茶々丸、必ずここにある」弾は、落ち着かせるように言い聞かせた。





「何でわかるんだよ!

夢薬なんて、全然ダメじゃねーか!

ちっとも見つからない!

答えは、夢の中に出るんだろ!

出るんだったら、宝のありかぐらい、すぐわかるだろ!」茶々丸は取り乱すように言った。





「大丈夫、落ち着くんだ。

明鏡の絵空事は、導きの夢だ。

努力があって答えをつかめる物。

簡単に解決方法が見つかるなら、誰も努力しないさ。

努力しない奴なんかに、幸せなんてあるのか。

すべての事には意味がある。

茶々丸、ここまで来たんだ!

信じよう」





茶々丸は何も答えなかった。

しばらく、黙ったまま、ふてくされるように

どこかを見ていた。





“ったく、何で俺が・・・

絶対無理だよ、見つからない


絶対、絶対、無理だ”






だが、茶々丸は、震える手を握り締めて

もう一度屋敷へと入って行った。





また、目の前には大量の布袋がある。





“パクの奴!世話が焼けて嫌になっちまうよ”




そう心で呟いて、探しはじめた。

さっきより、ずっとずっと我武者羅に。




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