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眠りの薬師  作者: うちゃたん
69/92

第六十九話 男の正体

誰かがやってくる。

弾と茶々丸は息をひそめ、足音のする方へと目をやった。



その足取りは、ダラダラとゆっくり近づいて来ては

時より止まっては、歩き出す。

一体何をしているのか。





「お゛、おぇぇぇー」



そう言って目の前に、現れたのは

千鳥足の男。

恐らく酔っ払いだ。



見るからにふら付き者で、まともな人間には見えないその男。

吐きながら歩いている。




「あいつどーした?」茶々丸は、もらい吐きをしそうになっていた。




「酒でも飲みすぎたんだろう・・・」





その酔っ払いは、影のある男のいる屋敷へと入って行った。




弾は、すかさず屋敷の裏へ回る。




すると、戸が開いている部屋を見つけた。

弾と茶々丸はこっそりと覗き込んでみる。





“さっきの男だ”





影のある男が見えた。

男は、煙草を吸っている。


煙草を片手に、懐から荷物を出し

それを床に放り投げていた。





「相変らず、良い腕してんなー」そう言ったのは、酔っ払いだった。




酔っ払いは、ヘラついた顔で陰のある男に話しかけた。





「また、昼間から酒か・・・油断すんじゃねーぞ。

誰かに、つけて来られてねーか、しっかり確認してんのか」




「あっしゃを、馬鹿にしねぇでもらいたいね。

酒に呑まれる男じゃねぇよ。安心しな。


しかし、今日も大量だね」そう言って、ニヤニヤと笑った。





「毎日、毎日、観光客で賑わうこの村。

歩くだけで金になるなんて、良い町さ。

しかし、残念だがもう潮時かもな」影のある男が小さく言った。





「だな。

町奉行の追ってはすぐにここまで・・・か。

なかなか、居心地の良い町だったが。

そろそろ、おさらば。

あっしゃたちは流れ者の性分、致し方ない」酔っ払いは、残念そうに言った。





「嫌だったら、地に足つけて生きたらどうだ?

誰も止めねーよ」




「馬鹿言うな。

くそみたいな世界で、地に足なんか付けたくないさ。

あんただってそうだろ。

毎日、毎日同じ事繰り返す日々。

いつか、訪れる奇跡を信じて

おんなじ、毎日送ってるような奴だけには

なりたくないさ」





薄暗い屋敷の中、二人は妙な会話をしている。






「なるほどね」この会話を聞いていた、弾はようやく理解したようだ。




「何が、なるほどなんだ?」茶々丸は小声で聞いた。




「恐らく、ここは山賊のあじと。

盗みや強盗を繰り返す、集団だ。


この場所が絹ばぁの宝物がある場所だとしたら・・・。

きっとこいつらに、盗まれたって事だ」





「さ、山賊???悪さをする人間どもか!」




「ほら、俺たちが追いかけてきた、あの男。

あいつが懐から出した物、全部盗んだ物だ。


俺たちは、人間をかき分けあいつを追いかけて来たが。

あの時あいつは、あの人ごみで盗みを働いていた。

物凄い速さで。

随分の練れ者だ」





床には盗まれた物が、山積みとなっている。





「で、これから、どーすんだ?

こいつ等からどーやって奪い返す?」





「んー・・・・」弾はしばらく考え込んだ。





すると。

酔っ払いたちに、少しばかり忙しい雰囲気となった。





「そろそろ(かしら)の所へ向かおう。

今日は闇賭博で大きな賭けに出ると張り切っていたからな」そう言って、酔っ払いは背伸びをした。





すると、突然影のある男は大きな声を出した。





「おい!しっかり見張ってろよ!

俺は、今日胸騒ぎがすんだ。

誰かが、このあじとを見つけた・・・・

そんな予感がすんだよ」そう言って、たばこの火を消した。





―妙に勘が鋭い





すると、部屋の奥にはまた別の男が存在した。




「へい」その男は一言だけ返事をして、ぐーすかと大いびきをかいて寝ている。





「ったく、ここの奴等は本当にカスしかいねーよ」影のある男は呆れた。




「そう、あっしゃたちはカスさ。

だからあんたもここに、いるんだろ?」





「そう言う事か・・・」そう言って、二人は笑いながらあじとから出て行った。





この家にいるのは、寝ている男だけとなった。





「弾!今しかねーよ!

あいつが、寝てる隙に・・・・」茶々丸がそう言いかけると。





弾は、肩に乗っている茶々丸を手のひらに乗せた。

そして、真剣な眼差しで茶々丸を見つめる。





「あぁ、今しかない。

茶々丸・・・・行けるか?」




茶々丸は、固まった。





「は???」





「俺が行ったら、ただの殺し合いになるだけだ。

ここは、茶々丸がこっそり絹ばぁの物を探してくるのが

最適であると、俺は考える。

パクの願いを、叶えてやってはくれないか」





口だけ達者で、小心者の茶々丸。

なかなか承知してくれないだろうと思いつつ。

弾は、この方法しかないと考えていた。




だが、茶々丸は想像通りの反応をしてみせる。





「えっえ、えぇぇぇぇ!

絶対無理!無理無理無理!

俺は何百回と、人間に叩き潰されそうになってんだぞ!

しかも、こんな物騒な山賊のあじと!

パクには、宝物とやら持って帰ってやりたいけどな

俺には無理だ!

怪我だって、完全に治ってねーんだ!

別の方法を考えよう!」





弾は、黙って茶々丸の目をじーと見た。





「み、み、見るなーッ!」





茶々丸の叫び声に驚き、カラスがワサワサと飛び立って行く。





「頼む、これしかないんだ!」





カラスが飛び立つのを背景に、強く頼み込む弾の目。

茶々丸は吸い込まれそうになる。





「ギャァァァァ!!!

俺を追い込まないでくれー!」





茶々丸に、選択が迫られた。



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