第五十六話 不可思木の森
不可思木の森とやら。
奇跡が起こる、森。
弾たちはその森を目指し
草木が荒れた道無き道を、進んでいた。
弾は拾った枝を振り、草をかき分け
進んで行く。
茶々丸は懐の中から、弾に話しかけた。
「それにしてもよ、奇跡ってどんな奇跡が起こるんだ?」
弾は息を切らしながら答えた。
「天にも届きそうな、巨大な木。
その不可思木には、不思議な木の実が成るそうだ。
その実は、一つ一つ味が違うとかで、まさに不可思議な木だ。
そして。
その実の中に、奇跡を起こす実があると言われている。
その実が起こす奇跡・・・
それは、寿命が伸びたり、不治の病が治ったり、あるいわ若返ったり・・・
現実ではありえない、奇跡を起こす。
だが、その実に出会える可能性は奇跡的と言われているんだ」
「へぇー。
そんな実が本当にあるなら、確かに奇跡だな。
真実の実みたいに、奇跡の実だ!
だけど、俺たちは真実の実を手に入れたからな。
きっと、不可思木の実だって手に入れられる。
そんな気がするぜ!」茶々丸は、やる気満々となった。
「人生そう簡単に、全部うまく行くとは思っていないが。
興味深い木だ」弾はそう言って、汗を拭った。
そうこうしていると、荒地を抜けて
見晴らしの良い、丘へと出た。
見た事のない景色、新しい世界を一つ一つ噛み締める。
「ふ~気持ち良い!」茶々丸は深呼吸をした。
風が少し強くて、弾は菅笠を抑えながら
辺りを見回した。
―すると、見えた!
一部分だけ巨大な木が立ち並ぶ場所。
間違えない、あそこが不可思木の森だ。
「あそこか!
きっと、あそこが不可思木の森だよな!」茶々丸が興奮気味に言った。
「うん。
きっと、あそこに違いないだろう。
しかし、想像以上に巨大な木だ・・・」
それはそれは、雲を突き抜けるほどの、大きな木。
言葉を失ってしまう。
二人は圧倒され、しばらく空を眺めた。
「これが、不可思木か・・・」弾は、小さく呟いた。
「あれだけ、デカけりゃ道に迷わず着けるな!ハハハ!
よし、奇跡を探しに行こうぜー!」茶々丸は空に向かって叫ぶ。
不可思木な森は、もうすぐそこだ。




