第五十四話 白虎からの贈り物
白虎からの、伝言。
この国の使者である、コウモリから伝えられた。
「忝くも、こんな私の命はまだ残り。
そして、この国の運も辛うじて、まだ残っていたようだ。
白紙からの再出発。
私の最後の力、この国をもう一度立て直してみせる。
必ず。
弾、本当にありがとう。
すべて君のおかげだ。
そして、礼と言っては何なんだが・・・
受け取ってもらいたい物がある」
すると、コウモリは弾に小包を渡した。
弾は、不思議そうな顔をしながら、小包を開けてみる。
すると、いびつな形をした小さな実が入っていた。
―そして衝撃的な言葉が、白虎から伝えられる。
「これは、真実の実。
海たる知恵が備わる、伝説の果実だ」
「・・・ッ!!」
弾と茶々丸に、衝撃が走る。
コウモリは、白虎の伝言を続けた。
「獅子大丸から、聞いた。
君が真実の実を探す、旅をしている事を。
是非、受け取ってくれ。
この実は、真実の実の中でも、金の実に当たる物だ。
私が先祖代々から受けづいている物。
役に立つ時が来た事を、本当に嬉しく思う。
使ってくれ。
君の旅が、海のように純粋で、空のように壮大なる事。
素晴らしいものになる事を、願っている。
そして、またいつか会える事を楽しみにしている。
達者で」
そう言って、伝言は終わった。
弾は、真実の実を見つめたまま、しばらく立ち尽くしていた。
茶々丸は、そんな弾を見て嬉しそうに言った。
「ついに手に入れたな!真実の実ッ!」
「うん・・・」弾は、深く頷いた。
弾は相変らず、感情を表には出さないが。
真実の実を見るその目はキラキラと輝いてた。
「あとは、木の実、土の実、水の実、火の実!
四種類だ!よし、必ず手に入れてみせようぜ!」茶々丸も一緒に目を輝かせた。
「ありがとう」弾は小さく呟いた。
この“ありがとう”は茶々丸への言葉。
嫌われ者で、一人ぼっちだったカラスの人生。
今は目をキラキラさせ、一緒に目的へ向かってくれる仲間がいる。
それは小さな小さな、ねずみで、困ったやつだけど。
何だか気持ちがいいやつだ。
昔からずっと考えていた事があった。
もし、真実の実を手に入れたら。
その時、どんな気持ちなんだろうと。
そして、今。
ずっと探していた真実の実を、一つ手に入れて。
思う事は、茶々丸への感謝だった。
まさか、茶々丸への感謝が込み上げてくるとは予想外だったが。
最高の予想外だったと思う。
―そして、弾はコウモリに伝言を頼んだ。
「白虎・・・この国の偉大なる主に!ありがたく頂戴すると伝えてくれ!」弾はそう言って、実を力強く握り締めた。
「はいよ、伝言は確かに預かった!
じゃぁな弾!健闘を祈ってるぜ!」そう言ってコウモリは飛んで行った。
―二人はしばらく、真実の実を空にかざし眺めていた。
真実の実は、本当にあった。
「真実の実は、あ――――るッ!!!」そう叫んだ、あの迷惑な天狗の言葉を思い出す。
天狗は絶対に嘘をつかない・・・
それも本当だったようだ。
「弾ッ行こうぜ!
まだまだ、俺たちの旅は始まったばかりだーッ!」茶々丸は空に叫んだ。
「あぁ」
こうして、二人は出発した。
広い世界への扉が次々と開いて行く。
二人の旅はまだまだ終わらない。




