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眠りの薬師  作者: うちゃたん
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第五十三話 広い世界へ

「あぁ~今回も、かなり騒がしくなったな」茶々丸は、ため息まじりに言った。



全身包帯ぐるぐる巻き。

懐のから、空を見上げている。




「そうだな。実に騒がしい。

だが、偶然立ち寄る事が出来てよかったよ。でないと、今頃とんでもない事になっていたし、どん太郎はきっと死んでいた。

俺の薬が役に立てて良かった」弾はそう言った。


 


「うん、そうだな。偶然立ち寄る事が出来たのは奇跡的だ。

あいつ等と出会えて良かったし」




そんな会話をしながら、段々山を登って行く。

深い山道は、空気が湿っていて心が透明になる感覚。

木漏れ日がきらきらとして、もっともっと広い世界へ行きたい。

そんな気持ちに、心にが()かされるようだ。





「空気が冷たくて気持ちがいいな!

走りたい!怪我が治ったら思いっ切り走りたいな!」茶々丸は大きく深呼吸をした。




「な~に言ってんだ。自分で歩きもしないくせに」




「弾の肩に乗った早いんだから、仕方ないだろ!

俺はちっさいんだからよ!

だけど、心はデカいぞ!夢もデカい!」茶々丸は誇らしげに言った。




「夢・・・?」




「俺の夢は・・・真実の実を集める事!

弾と同じだ!


弾の父ちゃんが、弾に何を伝えたかったのか・・・

それを知る為に、どんな困難が起きても旅、続けっからよ!


だから、俺の為に危険を避けたり、遠回りしたり

諦めたり、絶対すんなよ!」茶々丸は真面目に言った。





「それと!ちゃんと見つけるよ!

自分の目的地も!」そう言って、茶々丸は大きなあくびをした。





茶々丸のその言葉に、弾は茶々丸と出会った日の事を思い出した。




茶屋にいた太った猫。

ねずみを食おうとした所を止めた。

だが、ねずみを助ける為ではない。

猫が太り過ぎだから、止めただけ。

そのねずみが、たまたま茶々丸だったんだ。



そして、茶々丸は弾に言った。




“山から出たのは、初めてだから怖いんだ

旅の目的が見つかるまで、ここにいさせてくれ”と。




それから、弾の左肩にはいつも茶々丸がいる。

弾はそんな事を思い出して笑った。





「ん?何笑ってんだ?また俺を馬鹿にしたのか!」




「いや、馬鹿になんてしてないさ。ハハハハハッ」




「してんだろ!その笑い方!」




二人の声は、静かな山道に響いた。






―すると。

そんな二人を見つめる、視線。




木の枝に一匹のコウモリが逆さになってぶら下がっていた。

弾と、茶々丸はおしゃべりに夢中。

気を止める事はなかったが、ずっとこっちを見ている。




弾が違う方へ目をやると、弾の目線の方へ移動してこっちをじっと見ている。

まるで、自分の存在に気付いてほしいようだ。

弾の視界へ入ろうとする。




そして、また弾が、違う所へ目をやると・・・また視界に入ってこようとする。




弾はこのコウモリの存在を意識し始める。




何だか、ウザったい・・・。

弾は目が合わぬよう、うつむいた。




すると、コウモリは下から顔を覗き込んで来たのだ。




“チッ何だこいつ!”



弾は勢いよく走りだした。




しかし、コウモリは顔を覗き込むようにしたまま、隣で飛んでいる。

その顔は無表情。

ただただ、弾の顔を覗き込む。






「何の用だ――――ッ!!」珍しく声を荒げる弾。




すると、コウモリは無表情のまま答える。




「この国の使者だ。伝言を預かっている」




「早く言え―――ッ!!」




「まぁまぁ、そんなカリカリするなよ。

で、伝言って何だ?」茶々丸が聞いた。





すると、驚いた事にコウモリは、白虎の声で話し始めた。





「弾、まだ体が思うように動かなく・・・こんな形で別れを言わなくてはならなくてすまん」





このコウモリ、声を届ける事が出来るらしい。

弾は、白虎の声だと気付くとハッと顔を変える。




「白虎からの伝言だな!」




「あぁ、そうだ。続きを聞かせるぞ」そう言って、コウモリは白虎から預かっている伝言を話し始めた。




その伝言とは・・・

弾と茶々丸をあまりに驚かせる内容だった。


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