第三十九話 カラスと十六夜祭り
十六夜祭りへとやって来た弾。
祭りを祝う太鼓の音は、腹まで響く。
そして踊り狂った妖怪に、空には歌声が響いている。
弾は妖怪たちをかき分け、主屋敷にある一本神樹へ向かった。
すると、辺りの妖怪たちは弾の存在に気付き始め
ざわざわと不穏な空気が広がって行く。
“おい、カラスがいるぞ!”
“カラスの目を見たらいけないよ、不幸が訪れるんだから”
“闇の使者が西の祭りに来るなんて・・・物騒だね~”
口々に弾を罵る。
妖怪たちのコソコソと話す声は、雑音のように響き
気付けば、弾に近づく者はいなくなった。
―まるで、牡丹が主になったあの日のようだ
弾は一本神樹へ到着した。
一本神樹の前に立つ弾は
真っ直ぐ前を見つめている。
その視線の方向には・・・
西の国の主、白虎がいた。
主は、四人の黒式に守られ、椅子に座り祭りを眺めていた。
面を付けている白虎の、表情は伺えない。
弾の姿は見えているのだろうか・
そして、弾は大きな声で言った。
「西の主、白虎!
我が名は雪村弾、取り急ぎあなたと話がしたい!」
空気は一気にざわついた。
黒式は、何事かと・・・主の方を見る。
主は真っ直ぐに弾を見ているようだ。
そして、主は一人の黒式に耳打ちをした。
何か命じているようだ。
すると黒式が主の代行として、弾へ返事をした。
「お前の事は知っている。
だが、祭りを中断する訳にはいかない!」
―すると
弾は物凄い気迫で返事をした。
「そんな事はわかっているッ!
だが、ここへ来たッ!
取り急ぎだと言う意味を重く察して頂きたい!」
辺りのざわめきと、罵りは止まらない。
そして、主と黒式等は話し合っている様子だ。
急な事で同様しているのか
なかなか話しはまとまらないようだ。
恐らく、祭りを中断するなどありえないと言う者。
北の主だった牡丹の息子があれほど切迫した様子で何か伝えに来た。
話しだけでも聞こうと言う者。
この二手に分かれているのだろう。
そして、ついに黒式が返事をした。
「こっちへ・・・」
弾は、主屋敷へと招かれた。




