第二十八話 黒式
大主大行列は、もうすぐそこまで来ている。
その迫力に、茶々丸はただただ圧倒された。
「わぁー・・・」ため息のように小さく驚く
すると、くるみが小声で話しかけてきた。
「茶々丸、先頭を歩いている四人が見えるか?
あの四人は主様に使える使者の中で、断とつに妖力が強い使者、黒式だ!」
「く、く、黒式!?
よくわかんねーけど、すげー迫力だな!
見た目からして、普通じゃないのがわかるもんな!
あれは、間違いなく黒式だ!
黒式がよくわかんねーけど!黒式だってわかる!」
詳しい事情はわからなくとも、特別だという事は茶々丸にもわかるらしい。
くるみは続けて、黒式を説明した。
「あの目が赤い黒式が猿の銀猿、その隣が狼の千疋
その後ろが、梟の晦。
そして最後、顔は猿で、胴は虎、尾は蛇、三類の血を持つと言われる鵺だ。
最強の奴らだ!」
目の前を通る黒式は、真っ直ぐと前だけを見て歩く。
その凛々しい姿に、茶々丸とくるみは興奮を超え
黙って指を加えて見ているだけとなった。
そして、茶々丸は少し離れた場所にいる弾を見て
ニヤリと笑って見せた。
“おい、ちゃんと見てるか?すげー格好いいな!”
茶々丸の心の声が、手にとってわかるような
嬉しそうな顔で弾を見た。
“見てるよ”と心でつぶやいて、頷いた。
だが、弾は・・・・。
黒式が通り過ぎた途端、鼻をすすった。
なんだか妙な香りに気付いたらのだ。
しばらく、その香りの先を探した。
だが一体何の香りかわからない。
すると、茶々丸が声をかけてきた。
「おい!弾!何ボケっとしてるんだ!主が来るぞ!」
「あ、あぁ」我に返ったように返事をした。
主は、年老いたせいなのか
駕籠に乗せられ、ゆっくりと運ばれている。
緊張感が走る中、茶々丸は駕籠の中の主を覗き込もうと
精一杯背伸びをした。
「主だッ!」茶々丸は目を輝かせた。




