第27話 西に国の主、白虎
ぞろぞろと道行く無数の足音。
大きな鈴の音、そして笛の音が鳴り響く。
大主大行列がやって来た。
この大行列を見にやって来た、茶々丸、弾、茶々丸の命の恩人だと言うくるみ。
三人は、大行列が目の前を通るその時を待っていた。
ゆっくり、ゆっくりと進む大行列。
堅苦しく、厳しい、独特の雰囲気をかもし出している。
声をも出してはならぬ、そんな圧倒的な空気だ。
しかし、茶々丸とクルミは空気が読めないのか
大興奮で今か今かと待っている。
茶々丸はクルミの頭の上でぴょぴょんと跳ねている。
「わ~い、わ~い、主が来る~♪」好奇心旺盛な茶々丸である。
弾は一歩下がった所で見ていた。
辺りは、大行列を見に来た妖怪でいっぱいだ。
「主様の最後の大仕事、神樹回りりがやってくる!」妖怪たちは皆、同じ事をコソコソと話している
そんな妖怪たちの小言を、弾は何だか冷めた目で見ていた。
国の秩序が保たれている、神樹。
その一本、一本の神樹を見て回る。
これが最後の大仕事だとか。
「主ってどんなやつなんだ?」茶々丸が質問した。
すると、くるみが驚いた顔をした。
「えー茶々丸、主が誰かも知らないのか?
この西の国の主は、白虎だ。
四神の中の一つである白虎は伝説の存在だぞ!
本当に知らないのか?」くるみは目をまん丸くして言った。
「お、俺はよ。時代には流されないタチだからな。
旅してると、そんな噂話ししてる暇もねーからな!」茶々丸は、強気に鼻をすすりながら言う。
「ふ~ん。
じゃぁ、教えてあげるよ。この主様がどれほど凄い方か」
茶々丸は、最近まで自分が妖怪だとも知らずに生きてきた。
くるみの話しには興味津々。
そして、くるみは白虎である主の話しを始めた。
「主様は、年齢を数える事は無理だと言われるほど、大昔から西の国の主を務めていた。
長い年月を生きてきた主様の目にはすべてを見通す力があると言われているんだ。
だから、この西の国の妖怪たちは今まで安心して生きてこれた。
白虎様が、いるから大丈夫・・だってね・・・
だけど、ついに体が年老いてきて・・・
明日、新しい主決めが十六夜祭りで行われるんだ。
西の国にとってこれほど大事はない。
白虎様の代わりになる者がいるのか、期待と不安でいっぱいなんだ」くるみは真剣な顔で言った。
「すべてを見通す力・・・」茶々丸は小声で言った。
「あぁ・・・目を見ればその者がどんな奴なのかわかるって話しなんだ。
どんな偽善も、見てくれが良い奴も主様だけは欺けないんだ」
くるみは自分の国の主の事を誇りに思っているようだ。
主の事を尊敬している事が伝わってくる。
そして、茶々丸は、目を輝かせて叫んだ。
「白虎かっこいいーーーーーッ!!!!!」
そして、くるみも叫んだ。
「そうだろーーーー!!!すっげーかっこいいんだ!!!」
まったく、空気が読めていない二人。
堅苦しい、厳粛なその場で浮きに浮きまくっている茶々丸とくるみであった。
弾は、やれやれと相変らず冷めた目で二人を見ていた。
―そして、ついに大主大行列がやってきた。




