表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眠りの薬師  作者: うちゃたん
23/92

第二十三話 心おぼえ

「ぐっすり寝てるな!」



そう言って、茶々丸が懐から出てきた。

村崎の旦那は弾の薬で深い眠りに入っていた。



「弾、俺にも茶を入れてくれ」茶々丸は、床によっこらせと座り茶を催促する。



弾は、小さなおちょこに茶を入れてやった。

一休みの際には茶々丸に茶を入れる。

これが近頃のお決まりになっていた。



茶々丸は熱々の茶をすすりながら、弾に質問をした。



「俺は人間の世界はよくわかんねーけど。

本当に金貰わなくて良かったのか?」



「必要ない」弾は一言だけ言った。



「金があったら、何でも手に入るんだろ?

もしかして、真実の実も手に入ったり・・・するんじゃないか?」茶々丸は真剣な顔をして言った。



「そうだな、人間は銭銭と・・・稼ぐ事ばかり話す生き物だ。

真実の実を探して行く事も、大金があれば便利かもしれない。

だけど、その事と、幸せになりたくて真実の実を探す事。

それは別だと思うんだ。

探す事に、意味がある気がするんだ。

そうじゃないと、父さんの伝えたい事

理解しきれない気がする・・・」



そう言うと、弾の脳裏焼きついている昔の記憶が蘇る。




―父は昔言っていた。

深い真実を見抜く力を付けた時、話さなくてはいけない事があると。

そして現実を知り、現実を受け止め、決断しなくてはいけない時がくるといつも言っていた。


そして、誓った。


”一点の曇りもない、明鏡に写すが如く、すべてを知る旅へ出るんだ”

幼心に、そう誓ったのだ。



すべてを知る事ができる真実の実を探し

何も伝えられず亡くなってしまった父の言葉を手にいれる。

そう志したあの時の自分を、弾は思い出していた。



心おぼえは、白いもやがかかったように蘇る。

弾は遠い目をして過去を振り返った。



金なんかで、探しても意味がない。

深い真実を見抜く力を付ける事

それが今の自分に必要だと弾は改めて感じた。




茶々丸は、黙って茶をすすり続けた。

弾とは、旅の道中色々な話しをした。

だけど、弾の胸の奥にある熱い物、深い物。

理解しきれていない気がしたから、黙って茶をすすった。



「ん?」



しかし、何故だろう。

茶々丸はどこからか痛いほどの視線を感じ

辺りを見回した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ