3.父サン
……間開きすぎだろ…
すみません、のぼのぼ投稿していきます…。
「あぁごめんごめん」
真蘭は苦笑して、片手を顔の前に持ってきて拝むような形にして謝ると、父親の隣に座った。
父親は新聞を折りたたむとわしわしっと彼の頭を撫でた。
「まったく、学校でも騒ぐんじゃねぇぞー?葉春にメイワクかけないようにな?」
「わーってるって。」
「にしては今日も迷惑かけたみたいじゃねぇか」
子供のような楽しそうな笑みを浮かべた父親はじりじりと真蘭の脇へと手を持っていく。
その手をちらりと見ながら、真蘭はまた苦笑し、じりじりと後ろに下がる。
だがここはソファーの上。逃げ道など到底ない。
「…このっ!」
「うわっ!」
急に伸びてくる父親の手を掴むと、真蘭が下、父親が上という体制になる。
この時点でもう真蘭は逃げられない。
「この…」
「父さんに勝とうなどまだ2年早かったなー」
「それ2年前も言ってたけど!?」
「ありっそうだっけか?」とがははと笑いながらも力を緩めようとはしない。現役の真蘭相手でもまだ力は衰えてないと言うことだ。
もう30代後半であるというのに。
その頃真蘭は、まだ子供の無邪気な目をしている父親の目を苦笑しながら見ていたが、危ないことは察していた。
「ごめんって!ごめんなさい!葉春には迷惑かけないよーにするから!この手を離して!俺このまま来られるとクリンヒットするから!」
全力で手をどけようとする。それに負け時と父親も力を入れる。どう見ても上にいる人の方が力は入れやすいと思うが。
楽しんでいるような無邪気な笑顔をより一層濃くした父親は、真蘭の上へと完全に乗る。完全に身動きが取れなくなった真蘭。唯一動かせていた足ですら、何かで留められているように動かなくなっている。
「おっと?懺悔かー?それは父さんにすることじゃないなー、するのは誰と誰だ?」
「先生と葉春でしょ!?退いてくれないとなんも出来ないんだけど!?」
「まだ父さんのお説教が終わってないだろ」
「なんでお説教で上にいんだよ!」
ぐっと父親の力の入れ方が強くなる。それに一瞬顔を顰めるが、負け時と押し戻す。
体力にはほどほどに自信のある真蘭だが、上にいる人のほうが優勢なこともあってきつい状況である。
「あっ」
「えっ何?」
父親が不意に声を上げ、見ている方向を彼も見つめる。
「ゴキブリ」
「…!?」
そこには天井にへばりつく何かの物体があった。それを見てしまった真蘭は硬直する。彼は大の虫嫌いだ。
「すきありっ」
「…っちょっ!…あははっ!」
その一瞬の硬直のスキを狙って、父親の手が真蘭の脇にクリンヒット。そのままくすぐられる。
5分くらいその場は笑いで包まれた。
まだ序章だぜ。どういうことなの…。