04.3人
休日ということもあって辺りが異様に騒がしい。
あぁ、そういえば今は夏休みだから普段の休日よりも人が多いんだっけなどということに思い当たり、いくらかグッタリする。
(人混みって好きじゃないんだよねぇ~)
劣等感が消えない。
ずっと自分の中にあったそれが、最近になって顕著に意識するようになった。
そういえばここずいぶんと遊びに行くということは無かったかも知れない。
ここしばらく誰と会っても気が抜けない自分に気づき、そんな自分が余計に劣等感を増す。
だからこそ人と会うことも遊ぶ事も避けていたんだ。
「結華ぁ~!!!!」
凹みそうになった所にタイミングよく聞こえた自分を呼ぶ声に気づき、うつむいていた顔を上げる。
人混みの先に見知った顔が…2つ??
「…二人で遊ぶんだって言ってなかったっけ?唯」
「えぇ~?そんな事言ったっけ??言ってないよぉ~、ねぇ?尭?」
「ま、いいじゃんか。たまにはさ。って、俺邪魔?」
ずいぶんと久しぶりに3人で顔を合わせた気がする。
去年の秋以来だろうか。
…私が避けていたから。
たまに凹んだときに電話をしていたから、全く連絡を取らなかったというわけではないが、やっぱり久しぶりに会うと違和感がある。
「尭…痩せた?」
「?なんだ?」
「ん~なんだろ?痩せたっていうか…違うな。んと…なんか…ま、いっか」
「なんなんだよ」
「しばらくあってなかったからかなぁ?なんか違和感があるだけ」
「結華が避けてたからだろ?」
「あはは。避けるだんて。予定が合わなかっただけじゃんか」
軽口を叩きながら一人心の中で愚痴る。
『あぁ~、また無理してるな』
と。
本当は今すぐにでも帰ってしまいたい。
二人が一緒にいるのを見たくなかった。
だから避けていたのだから。
私は二人が付き合ってから意識的に避けていたので、実際に二人を並べてみることは無かった。
だからきっと小さな痛みで済んでいたんだ。
隠すことが出来るほどの。
実際に見るのと聞くだけなのは全然違うから。
それがわかっているから避けていた。
…この気持ちがあるうちちは…心から二人を祝うことは出来ないから…。
いつからだかはわからない。
でも、きっと初めから。
ずっと……。
幸せになってほしい。
その気持ちに偽りはないのに、自分の気持ちがそれの邪魔をする。
『醜い』
自分のことをそう思うのがいやなのだ。
『人の幸せは自分のことのように喜ぶもの』
小さいころから耳にタコが出来るぐらい言われた言葉。
そして、自分の中である意味「枷」となっている言葉。
多分自分を構成している中の、核となっているであろう部分。
周りは私を『優しい』という。
でも、私はそれが違うことを知っている。
私は自分がそうしたいからそうしているだけ。
誰かのためじゃなぃ。
自分がそう思うことがイヤだから、だからしているだけ。
なんて…自分勝手なんだろう。
昔、一度だけ言われたことがある。
心配を掛けたくないが為に、いつしか嘘しか言わなくなっていたそんな時。
――『結華が心配を掛けたくないって思うのはわかるけど…、それって…自分の事を私には見せたくないってことでしょ?嫌だよ。それ』――
彼女は大切な友達だった。
でも、だからこそ、心配させるのは嫌だった。
その事で、相手を傷つけている――そんなことは思いもしなかった。
私はそういわれる事で、初めてそのことに気づいた。
彼女との接点は失ってしまったけど…、私の中では、やっぱり彼女は大切な友達だ。
彼女は最後に色々なことを教えてくれたから。
教えてもらったとは思いながら、私の根本は変わっていない。
やはり人様に心配をしてほしくは無かった。
それは自分の問題だから。
相手に預けたいとは思わない。
今抱えている気持ちも、私の問題。
二人には関係ない。
『偽善』なんだと思う。
私が彼らにしていることは。
それでも…私は二人の間に入ろうとは思わない。
自分を守るためにも…。
「で、どこ行こっか?」
「って、お前決めてたんじゃねぇの?」
二人でまじまじとお互いの顔を見つめている…。
本当にお似合いなんだよね。
この二人。
「え?尭が決めるもんだと…」
「俺はてっきり唯が…」
「…つまりなんとなくココに集合したわけ?」
このメンバーの中でどう考えても自分が浮いている気がするのは気のせいじゃないんだろうな。
どうみても私がお邪魔虫。
どうして私は呼ばれたんだろう?
「まぁ~今日は二人して結華と遊びたかったわけだし、結華が行きたいところ行こうぜ」
「あ~、それいぃ~w結華どこ行く??」
急に矛先がこちらに向き、二人して顔近づけられても…(汗
「…私この駅で降りたの初めてなんだけど…」
「……」
「……」
二人して呆然と口をあけてみるのはやめてほしい。
実際私がこの駅で降りたのは今回が初めてで、だからこそこのあたりに何があるのかすら知らないのだ。
「ん~じゃぁ~、結華何したい?」
『帰りたい』
と出そうになる言葉は抑えるしかない。
今そんなことを言えば心配をかけることになるし…何より理由を聞かれても答えられないのだから。
「そうだなぁ~、じゃぁゲーセン行きたい」
「お、いいなぁ~、俺らもほとんど行ってないんじゃね?」
「そだね。ゲーセンって事は…、あっちの角になかったっけ」
どうやらゲームセンターに行くことで話が一致したらしい。
二人してあれこれ話しながら、先に歩いていく。
私はその後を少し離れて歩く。
けれど数歩進んだ時点で二人が振り返って、ニヤリと不敵に笑う。
「?――…ちょっ!?」
両腕をとられ、二人に挟まれるような形になる。
抗議の声はまるきり無視で、ズンズンと半ば引きずられるような形でゲーセンまで連れて行かれた。
ゲーセンについて、やっと開放されると喜んだのはつかの間…。
二人がまるで計ったかのように真逆に方向に引っ張っていこうとする。
唯の行く先にはプリクラが。
尭の行く先にはUFOキャッチャーが。
自分のしたいものに向かっているらしい。
ちなみに…私はプリクラはあまり好きではないし、UFOキャッチャーも取れないので好きなものではない。
「ちょっ…もうっ!!!痛いってばっ!!!!」
さすがに本気で叫んだ声の大きさに二人の手が離れる。
…もちろん周りからの視線も存分にいただいたわけだが。
そして私は周りからの視線を避けるように今入って来たドアをくぐって外に出て行った。
次話は明日9時に更新します~♪




