特別編 らんぼう者のハーフリング
昔々。
世界樹の下で、妖精族と動物たちが仲良く暮らしていた頃のお話です。
そこに、とってもらんぼう者なハーフリングがおりました。
名前をソールと言ったそうです。
ソールはハーフリングにしては、とても大きくて力持ちでした。
けれど――
ソールだけは、動物と会話することが出来なかったのです。
ハーフリング達は、いつも動物と楽しそうに暮らしていました。
ソールは悲しみました。
みんなは笑顔で話しているのに、自分だけ仲間外れです。
やがて大人になったソールは、ハーフリングで一番のらんぼう者に育ってしまいました。
いつも他の妖精族から肉を取り上げたり、
お酒を飲んでは暴れたり。
妖精族のみんなは、ソールを嫌っていました。
らんぼう者は出てけーー。
らんぼう者は嫌いーー。
誰もソールに直接は言いません。
けれど、ソールには分かっていました。
分かっていても、どうしようもなく――
一人になると、泣いていました。
本当はみんなと仲良くしたいのに。
どうして自分だけ、動物と話せないのだろう。
泣いても、泣いても。
動物達の声は聞こえません。
ある日のことです。
ハーフリング達が住んでいるところに、悪いゴブリンがやってきました。
悪いゴブリンは、動物達をいじめて回ったのです。
やめてー。
やめてー。
ハーフリング達は泣いて頼みました。
けれどゴブリンは、動物をいじめるのをやめませんでした。
それを見たソールは――
ゴブリンを叩いて、蹴って、追い出しました。
動物達は、もういじめられなくなりました。
けれど。
ハーフリング達は言い合うのでした。
やっぱりソールは、らんぼう者だ。
次の日。
今度は凶暴なオーガがやってきて、大暴れしました。
やめてー。
やめてー。
泣いて逃げるハーフリング達を追い回して、いじめました。
それを見たソールは――
オーガを追い回しました。
オーガが泣いて謝っても、許しません。
とうとうオーガは山の向こうへ逃げていきました。
ソールは思いました。
みんなのために勇敢に戦ったのだから、きっと褒めてもらえると。
けれど。
ハーフリング達は、やっぱり言いました。
ソールは恐ろしい、らんぼう者だと。
ソールは悲しみました。
そして荷物を持つと、旅に出てしまいました。
どうせ俺は嫌われ者さ。
次の日。
ハーフリング達は、いつものように動物達と仲良く暮らしていました。
ゴブリンもオーガもいなくなったので、安心です。
けれど――
今度はジャイアントがやってきました。
オーガよりも、もっと大きなジャイアントです。
ジャイアントは暴れ回り、ハーフリングのお家も、動物達も、踏みつぶしてしまいました。
ぺっちゃんこです。
ハーフリング達は泣いて叫びました。
やめてー。
やめてー。
たすけてー。
だれかー。
たすけて――
そーるー。
いつの間にか、ハーフリング達はソールの名前を呼んでいました。
けれど。
ソールは、もういません。
結局、ハーフリングのお家はなくなってしまいました。
森で暮らすことも出来なくなり、
残った動物達と一緒に、草原へ逃げて、
彷徨うことになるのでした。
おしまい。




