特別編 イタズラ好きなハーフリングと月の狼
こちらは、本編の世界観を膨らませる昔話になります。
本編だけでいい!って人は読み飛ばしてもストーリーには問題ありません。
気になる人は、どうぞ御ゆるりとお読みください。
昔々、世界樹の下で全ての妖精族が仲良く暮らして居ました。
ある時、一人のイタズラ好きなハーフリングの少年は皆が驚く顔が面白くて、一つのイタズラを思い付くのでした。
それは森に成る不思議な果物。
とっても甘くて、とっても美味しい果物。
ロキの髪の毛の色と、そっくりな真っ赤な果物。
でも、ちょっと危険。
勢いよく剥こうとすると爆発してしまうのだ。
手も服も真っ赤っか。
「それを、どうするんだい?ロキ」
ロキの側には、いつも灰色狼のフェンリルが居ました。
家族が居ないロキに、とってはフェンリルはいつも、口うるさいお母さんのよう。
「まあ、黙ってみてろよ。ここに、こうしてっ、と。」
ロキはその赤い果物を集会所の扉の隙間に挟み込むのです。
すると、扉を開けたエルフの頭に落ちて果物は弾けてしまう。
頭から果物の果汁を被ったエルフの頭は、真っ赤っか。
それを見てロキは大笑い。
それを見てエルフは顔を赤くして怒るのでした。
次にロキが向かったのは、森の中。
今度は枝に吊るして、紐で結んで待ち構えるのです。
「もうやめなよ。さっきのエルフは、とっても怒ってたよ」
「うるさいなー。あっち行っててよ」
「私は知らないからね」
フェンリルは呆れて、どっかに行ってしまいました。
そこにドワーフが歩いて来ました。
いまだ!えいっ!
と紐を離すた、ドワーフの頭に果物がぶつかりました。
ドワーフの頭は真っ赤っか。
お髭も真っ赤っか。
ロキはまたしても、大笑い。
こうなったら、もうロキは止まらない。
次は森の外れに住んでるドラゴンだ。
でも困ったのはドラゴンの頭が、とっても高いとこにあるからだ。
そこでロキは木と木の間に紐を通して、果物を遠くまで飛ばしてしまったのだ。
ひゅーん。ばしゃっ。
ドラゴンの頭は真っ赤っか。
ロキはまたも大笑い。
でもドラゴンは怒り心頭。
怒ったドラゴンはロキに目掛けて尻尾を振り抜きました。
ロキは飛ばされて芝生の上に落ちました。
びっくりして目を閉じていたロキ。
目を開けて起き上がると、そこには血だらけのフェンリルが横たわっていたのです。
「フェンリル!なんで君が!」
「全く君は……」
「いいかい。ロキ。君のイタズラはいつも人を困らせる。」
「イタズラはね……。人を困らせるんじゃなくて、人を笑顔にするために使うんだよ……」
「フェンリル!フェンリル!」
「ああ……ごめんよロキ。」
「君を一人にしてしまう」
「いいかい。人を笑顔にさせるんだよ……」
「……」
灰色狼のフェンリルは静かに眠ってしまったのです。
悲しんだロキは涙しながら神様に願いました。
もう人を困らせるようなイタズラはしません。
だから、どうかお願い。
フェンリルを連れてかないで。
神様もフェンリルの優しさに心を打たれ悲しみました。
でも神様にもフェンリルを生き返らせることは出来ません。
だから神様はロキと約束をしました。
次に生まれ変わるときは、二人をまた一緒にすると。
それ以来ロキが人を困らせるようなイタズラはしませんでした。




