第十三話 ナリムとガルド 穏やかな2人
森の奥へ向かう道を歩きながら、ナリムはガルドの横に並んだ。
「ねえ、ガルド。森の賢者ってさ、西のラウィルではどんなふうに聞いてた?」
ガルドは少し考えてから答える。
「……とても頭が良いって。一族の手本にすべき存在だって」
「他には?」
「魔法を使うとか、みんな身体が大きいとか」
「僕らが受け入れられると、思う?」
「どうかな」
ナリムは、ふむ、と頷いた。
「僕も似た話を聞いてる。だから今回は、頼ろうって思ったんだよね」
少し間を置いてから、続ける。
「でもさ、エルフ全体では、どう言うふうに聞いてる?」
「……関わるのを嫌うって」
ガルドの言葉は、少し小さい。
「そっか」
「僕が聞いてた話だと、昔、ラウィル族に病が蔓延した時に、助けてくれたのが森の賢者様だって」
ナリムは歩きながら、森を見上げた。
「リオムは、収容所で一人だけエルフを見たって言ってたじゃん。嫌な目つきだった、って」
「だから、ちょっぴり不安なんだよね」
ガルドは黙ったまま、前を向いている。
「全部がそうとは限らないけど……」
「もしかしたら、歓迎されないかも……」
ナリムは軽く息を吐いた。
「森の賢者が模範となるような存在なら、話は聞いてもらえると思う。協力してもらえるかは……五分五分、かな」
「五分五分か……」
「うん。拒まれもしないけど、全面的に味方になるとも限らない」
その言葉に、ガルドは小さく頷いた。
「……聞いてもらえるだけでも、いい」
「うん。そんなもんで良いよね」
「聞いてもらえたら、良いなあ…」
「僕たちは外について、あまりにも知らなすぎたのかもね」
「おら達も、そうだったよ」
「人間族に捕まるまでは、考えもしなかったんだ」
少し後ろで歩いていたフィルカナが、短く言う。
「……静かね」
その一言で、全員が足を止めた。
森の音が、確かに変わっていた。




