うるうる
地上に出ると空は茜色に染まっていた。
もうすぐ夜か。
スライムに清掃を任せて、のんびりと待っていたからそこそこ時間がかかってしまったみたいだ。
実際に動いていた時間はそこまでない。
でも、この世界に来て1番遅くまで働いたなぁ。
なぜかスライムを倒してる最中から、楽しくなってきたのか体の底から力が漲ってきて今は元気いっぱいだけど。
表に行くとアンナさんがいたので、仕事の終わりを伝え地下室を確認してもらう。
想像よりも早く終わったと驚いていた。
壁の修復に関しては手配済みらしい。
声をかければ、明日にでもボランティアに参加している業者さんが着工してくれるそうだ。
近隣のいろんな人に支えられてるんだな。
まあ領主様か誰かには、もう少し積極的に支援を行ってほしいところだけど。
院長室へ行き、依頼達成のサインを貰う。
間違いがないか目を通して……。
「はい、確かに。では以上で依頼は終了となります。この度はご指名いただき、ありがとうございました」
「あっ。こ、こちらこそです! 2日で終わらせていただけるなんて、トウヤさんのおかげで本当に助かりましたっ」
「微力ながら、お力になれたようで良かったです。それでは……」
「そうだ! トウヤさんっ、トウヤさんっ」
締めの挨拶に入ろうとしていたら、アンナさんが突然手を合わせて踵を浮かせた。
「な、何ですか?」
すごい目、輝かせてるけど。
「あと少しで夜ご飯の時間なんですよ! 本来なら銀貨3枚では十分とは言えない依頼を引き受けてくださった感謝も込めて、せっかくですし、ご一緒していってくれませんかっ?」
「夜ご飯、ですか」
「はいっ。子供たちも喜ぶと思うので! 是非どうですか? そろそろアーズもお仕事から帰ってきますし」
「あー。……では、いいですか?」
「もちろんです! あ、でもっ。高空亭さんのお料理には及びませんが、そのあたりは……」
「あはは。そんな、気にしないでください。僕としても嬉しいお誘いなので、よろしければ皆さんとご一緒したいですし」
「ありがとうございます……。私が後先考えずにお願いしちゃったばかりに、申し訳ないです。しっかりとしないといけないのに、ほんと、いっつもこうで……」
「だ、大丈夫ですよ。アンナさんはまだ若いんですし」
落ち込みモードに入っていくアンナさんを慰める。
やっぱ大変だよな。
この歳でたくさんの子供たちを世話するなんて。
元の話に戻すためいくつか励ましの言葉をかけると、アンナさんは目をうるうるさせながら僕を見た。
「ぐすんっ。トウヤさん、本当にヒューマンですよね? なんか私よりも年上みたい」
「え? もっ、もちろんヒューマンですよ。ヒューマンもヒューマン。ごく一般的な10歳です」
……この世界では、一応。
「そうですよね。ごめんなさい、いきなり変なことを言ってしまって。私がダメなだけなのに、年下の方に勇気づけられちゃって、つい」
びっくりした。
何気に鋭いところがあるのかもしれないな。
頑張り屋さんだけどネガティブな一面もあるみたいだけど。
見ていて飽きない人だ。
前世での会社の後輩を思い出す。
あの子も元気にしてるかな?
窓の外を見ると、一段と暗くなっていた。
完全に夜だ。
アンナさんに食堂に案内され、5才くらいの子供たちと話して待っていると、アーズが鍋を持って帰ってきた。
「あれ。トウヤ、まだいたの?」
「アンナさんがご飯を食べていかないかって誘ってくれてね」
「ふーんそう。じゃあ、あとちょっとでできるはずだから。チビたちのこと構ってあげてて」
年長組の子たちがアンナさんの料理を手伝うのが決まりだそうだ。
アーズは調理場へと入っていく。
疲れてるはずなのにな……。
仕事から帰った後もサボらず手伝いをしてるのか。
彼女こそ、僕よりも精神年齢が上でも驚けないくらいだ。
出された料理は食材こそ高空亭に劣るものの、家庭的でほっこりした味がした。
これにて、指名依頼&スライム討伐終了です!
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(2022/7/27)




