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【コミック2巻 11/15発売!!】神の使いでのんびり異世界旅行〜最強の体でスローライフ。魔法を楽しんで自由に生きていく!〜  作者: 和宮 玄


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ころりん

 昼休憩。


 木の根本が穴っぽくなっている場所があったので、そこで一休みすることにした。


 カトラさん曰くこの階層では、こういった場所で休憩するのが一般的なんだそうだ。


 中に入っていれば近くに魔物が湧くこともないらしい。


「結構集まりましたね」


 今日倒した魔物から獲った魔石などを出してみると、かなりの数になっていた。


「フォレストフォックスの毛皮も、こんなに集まっちゃうなんて。リリーちゃんの作戦、というか荒技が主な要因だけれど、それにしてもかなり運が良いわ」


 カトラさんが触っているのは、フォレストフォックスが一定確率でドロップする毛皮だ。


 魔物がアイテムをドロップする時は、その場に魔石と一緒に残る感じだった。


 今のところ入手した毛皮は四つ。


 これは凄い数みたいだ。


「レベルも上がったし、ドロップアイテムもゲット。最高の作戦」


「だからってわざわざ遠くから相手の気を引いて、少しでも多く一度厚ようとするのは感心しないわよ?」


「倒せるから、心配はいらない」


 注意されたリリーは気まずそうに顔を逸らす。


 一応後ろめたさがあるにはあるんだ……。


 カトラさんが言うようにリリーは途中からわざと遠くにいるフォレストフォックスを選び、その近くに魔法を飛ばして敵として認識させ、吠えながら距離を走らせることで少しでも多くの仲間を呼び寄せさせていた。


 命知らずというか、効率重視というか。


 まあカトラさんや僕もいるから、万が一にも危険はないと判断しての行動だとは思うけど。


 おかげでレベルは上がったようだ。


 僕もレベルアップしたし、二階層の魔物はやっぱり違うな。


 倒すことで得られる経験値のようなものが、スライムとは比べものにならない気がする。


 さっきこっそりと確認したステータスはこんな感じ。




 【 レベル 】 5

 【 攻 撃 】 3350

 【 耐 久 】 3350

 【 俊 敏 】 3325

 【 知 性 】 53




 数値の伸びが鈍化していたけど、もうレベルも5になったし仕方がないか。


 数値で成長が実感できることで、モチベーションを高く維持できていることに変わりはない。


「いっぱい魔物を倒したら、お金もいっぱい稼げる」


 顔を逸らしていたリリーがカトラさんを見る。


「美味しいごはんも、お酒も、お金が必要でしょ?」


「そ、それは……」


 言葉に詰まるカトラさんだったが、息を吐くと優しく微笑む。


「まあ、そうね。ダンジョンに挑戦し始めたばかりのパーティしては、あり得ないくらい稼げているのも事実だから。引き続きたんまりと稼いでおきましょうか。もちろん、ここがまだ第二階層だから私もこう言っているだけだから、そのあたりは忘れちゃダメよ」


「……わかった」


 リリーは勝った、とでもいうような表情をしている。


 まあ十歳とは思えないくらい賢い子だから、ちゃんと理解はしているのだろう。


 だけど、ちょっと心配だなぁ。


 競争心が強かったり、何気に魔法を使って魔物と戦うのが好きみたいだし。


 カトラさんだけに任せず、僕も気を配っておこう。


 探索し尽くされた場所だと言っても、危険がないわけではない。


 そう思いながら後ろにある木に背を預け直した、その時だった。


「……え?」


 樹皮がベリっと音を立てて破れたかと思うと、僕は支えを失って後ろに倒れる。


「うわぁああ」


 しかも下り坂になっているようで、勢いのままに足が浮き上がり、ぐるりと後転してしまった。


「ちょっ、トウヤ君……!?」


 ゴロゴロと転がり落ちていくなか、カトラさんの叫び声が聞こえる。


 なんで、どうなってるんだ。


 さっきまでもたれ掛かっていた場所だったのに、いきなり木の中が空洞になったのか?


 いやいや、それよりも先に。


 まずは自分の体を守らないと。


 困惑しつつも体に魔力を循環させて、ステータスの『耐久』が効力を発揮するようにする。


 何回転かして、僕はドスンッと地面に打ち付けられた。


 うう……あ、危なかった……。


 広い場所に出たみたいで、坂にも踏み固められたような土しかなかったから服がちょっと汚れたくらいで済んだ。


「大丈夫、トウヤ君!?」


 僕が落ちてきた木の穴から、こちらを覗いたカトラさんが声をかけてくる。


 リリーと一緒に覗き込んでいるレイも、突然のことに「ワンっワンっ」と珍しく心配してくれているみたいだ。


「あ、はい! 怪我はないです。それに……」


 ダンジョン内での出来事だ。


 立ち上がりながら念の為周囲を確認して、僕は答えた。


「今は近くに魔物もいなさそうです……!」


 魔力を使って索敵してみたけど、反応もない。


 僕の返事にホッと胸を撫で下ろし、みんなも坂を下ってこっちに降りてくる。


「……だいじょうぶ?」


「うん、ありがとう」


 靴で滑ってきたリリーに返事をしていると、カトラさんが辺りを呆然と見渡した。


「こんな場所……見たことも聞いたこともないわ」


 僕たちの前に広がっているのは、薄暗い洞窟。


 壁に掛けられたランタンが微かに照らし、少し広くなったこの空間から三つの道が続いているのが見える。


 ダンジョンの中であることには違いはないだろう。


「じゃあ、ここって……」


 僕が顔を見ると、カトラさんは頷いた。


「未発見エリアね。凄いわ、とっくの昔に探索し尽くされた第二階層にこんな空間が残されていただなんて……!」


お読みいただきありがとうございます。

お久しぶりです、生きておりました(毎度この繰り返しで大変申し訳ないです……)


実生活の方でバタバタとしていたら、気づけば2025年も駆け抜けていってしまっていました。あと2ヶ月しかないなんて……。


さて、そんな状況にもかかわらず、執筆・更新と巻き返しを図ろうとしているワケはですね……そう!


【11/15に本作のコミカライズ2巻が発売となります!】


5月に発売即重版というありがたい反響をいただいた1巻に引き続き、待望の続刊発売となります。


ほんわかと、本作の魅力を十二分に引き伸ばしていただいておりますので、マンガで読みたいという方はぜひぜひ手にとって見てください。

2巻の方も、すでに各種サイトでは予約が始まっているみたいですので……!

(1巻未購入という方も、この機会にセットでぜひ)


これから宣伝も兼ねて、更新頑張ります!!


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