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【コミック2巻 11/15発売!!】神の使いでのんびり異世界旅行〜最強の体でスローライフ。魔法を楽しんで自由に生きていく!〜  作者: 和宮 玄


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販売店

「バートン様はフレッグ様──親方の一番弟子で、この街だけでなく近隣諸国まで名の通った、大変腕利きの職人さんです」


「へえ、まだお若いのに凄いですね!」


 ノルーシャさんの説明に、僕一人だけ思わず声を上げてしまう。


 まだ二十代後半くらいだろうに、そんなに有名な魔道具職人さんとは。


「ははっ。若いって君はオジサンみたいなことを言うな」


「あ……す、すみません」


 自分の精神年齢でものを言ってしまい、笑って誤魔化しておく。


「では、私は工房の方へ行って参ります」


 そう言って坂を上っていくノルーシャさんとは別れ、僕たちはバートンさんと一緒に店の中に入ることになった。


 レイも抱っこしていれば入店して大丈夫とのことだ。


「どうぞどうぞ」


 扉を開けた先に待っていた店内は、外観からの予想に反したものだった。


「「「わぁ……」」」


 自然と三人の感嘆の声が重なる。


 狭いと思っていたけど、中に入ってみると横幅は学校の体育館くらいあった。


 神域で僕が暮らしていた祠みたいに、空間が拡張されているのかな。


 見た目やサイズまでバラバラの物が、所狭しと棚なんかに置かれている。


 大きい物は地面に直置きだ。


 倉庫のようだけど……これが全部、販売されている魔道具なんだろうか?


「店内は親方が開発した魔道具で、こんな広さに拡げられているんです。店自体に意識があるような感じになってるんで、おかげで盗みとか怪しい行動があったら自動で外に出されるんですよ。まさに生き物に吐き出されるみたいに」


 バートンさんが誇らしげに説明してくれる。


「そんなこと、できるの……?」


「本当だよ。いつもはダメなんだけど、俺がいるから特別に。これ、ポケットに入れてみてください」


 首を傾げたリリーに、バートンさんが近くにあった石のような物を渡す。


 そして指示通りにリリーがポケットに入れた瞬間、彼女の体がふわりと浮かび、店の扉が開いたと思うと外に飛ばされていった。


 扉はリリーを吐き出すというより、プッとスイカの種みたいに形を歪めて吹き出す。


 彼女の姿が外に消えると、勢いよく閉ざされる扉。


 ポケットに入れていたはずの石だけが、さっきまでリリーがいた場所に残って浮かんでいる。


 今度は勢いよく扉が開けられ、リリーが帰ってきた。


「すごい! こんなセキュリティー、はじめてみたっ」


 珍しいにも程がある心の底からの明るい表情をしている。


「ははっ、そうかそうか。うちの親方は凄いだろ! これで店は安全。外に出された人が逃げ出したら、あとは空を飛ぶ追尾型の魔道具が追ってくれるから鉄壁さ」


 石を戻したバートンさんの説明に、またしても僕たちは「ほぉ……」と声を漏らさずにいられない。


 やっぱり高級品を扱っている店だから、しっかりとした対策が為されているんだな。


 それも魔道具店ならではの。


「コラーッ!!」


 そんな会話をしていると、突然店の奥から叫びと共に、大きな音を立てながら駆け足で女性が出てきた。


 木の棒を振りかぶりながら来たその女性は、ビクッと肩を跳ねさせる僕たちを見て急停止する。


「……ってなんだ、バートンだったの。もうやめてよね、びっくりさせるの」


「おう、すっすまん。こちらの方々に店の機能について説明しててな」


 ふぅ、良かった。


 何事かと思ったけど、エプロンをかけている彼女は店員さんだったみたいだ。


 バートンさんが頭を掻きながら謝罪すると、女性はにこりと笑って僕たちにお辞儀してくれる。


「ごめんなさいね。いらっしゃいませ、何かお探しですか?」


「あっ、いえ。今日は少し魔道具を見させていただけたら、と思って伺ったんですが……大丈夫でしたか?」


 申し訳なさそうにカトラさんが手を振る。


「ええ、もちろんです。ごゆっくりどうぞ。何か気になることがあったら、このバートンを付けておきますのでお訊きください」


「なっ。俺は在庫の確認に来たんだぞっ」


 突然仕事を与えられたバートンさんが、女性の耳元で小さく反論する。


「だってあなたの方が詳しいでしょ、魔道具。自分で作ったのもあるんだから。私は清掃の仕事があるのよっ、だからほら頼んだからね」


「お、おいっ。……あーもう、わかったよ」


 顔を近くして小声で話し合っていたが、最終的にバートンさんが僕たちと一緒に来てくれることになったみたいだ。


 降参したようにバートンさんが両手を挙げる。


「それでは失礼します」


 女性は手に木の棒を持ったまま頭を下げ、置かれた魔道具でできた道を通って奥に戻っていった。


「すんませんね。あいつ、うちの家内で。あっ、親方の娘でもあるんですが、親子揃ってパワフルで」


「まあっ、奥様でしたか」


 残されたバートンさんの呟きに、カトラさんが口に手を当てる。


 親しそうな関係だなとは思ったけど、たしかにご夫婦だとは驚きだ。


 僕たちが驚いていると、またしても店の奥の方から音が聞こえてきた。


コミカライズ第1巻が重版決定しました! 絶好調です!

買ってくださった皆さん、本当にありがとうございます。


気になるけどまだ手に取っていないという方も、この機会に何卒よろしくお願いいたします……!

週末や日々のお供にぜひ。

書店や各種通販サイトでゲットしていただけると嬉しいです。

(重版分が出荷されるまで、売り切れていたら申し訳ないです。なんとか入手していただけると助かります)


漫画でも一緒に、のんびり異世界スローライフを楽しみましょう!

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