まさかの繋がり
今更ながらX始めてみました。
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「もちろん。ダンジョールでは個人の家庭から飲食店などまで、直接工房から購入していますので。冒険に使える魔道具などは、冒険者の方々も多く買われているそうですよ」
「そうなんですか……ありがとうございます。だったら、魔道具を見にどこかの工房に行ったりするのはどうかな?」
リリーたちの反応を窺う。
「トウヤ、買うの?」
「かなり高いわよ? 当然物にもよるけれど、ダンジョンで順調に貯金を作っていってもなかなか買えないくらいには」
ぐっ、まあ確かに。
カトラさんが言うことはごもっともだ。
「今回はちょっと見てみるだけです。もちろんお値段的にも良さそうな物があったら貯金してみようかとは思いますけど……。物は買わなくても、土産話にはなると思いますし」
それと、単純に僕がいろんな魔道具を見てみたいってのもある。
様々な魔法を使ってみたいという欲求と同じくらいには、不思議で面白い魔道具を見たいと思っている。
「だったら、わたしも賛成」
リリーが話に乗ってくれたことで、カトラさんも続いてくれる。
「そうね。せっかく工房があるダンジョールにいるのだから、トウヤ君たちにも見せてあげたいもの。行ってみましょうか」
「では私が伺っている工房はいかかですか? 販売店に置かれている魔道具は、ダンジョール屈指の品揃えですよ。明日も伺うつもりでしたので案内はできますが」
さっきまでしていた難しい表情を消し、ノルーシャさんが提案してくれる。
「え、でも……僕たちが同行して大丈夫ですか? お仕事の邪魔になるんじゃ」
「私が向かう工房と販売店は別の場所にありますので。それに旦那様とお話しして、製作していただく数を減らして依頼できないかとお話を持っていくことになりそうですので、おそらく明日はせめてもの進展は見込めるかと。ですので、ご心配には及びません」
妥協案ではあるが方向性が決まって、ひとまず気を揉まないで良くなったということらしい。
それなら、良いと言ってくれるのならお言葉に甘えてもいいのかな?
僕とリリーが目を合わせていると、こちらを見たカトラさんが少し考えてから頭を下げた。
「……では、案内をお願いできますか?」
「承知しました」
◆
翌朝。
朝ご飯を食べに食堂に下りると、サムさんたちやノルーシャさんたちが勢揃いしていた。
ローレンスさんだけ姿が見えないのは、深酒の影響だろう。
それぞれが離れた席で食事をしていたけれど、流れでジャスミンさんとゴーヴァルさんにもノルーシャさんを紹介しておく。
四人の護衛の方々は女性が二人、男性が二人だ。
挨拶を済ませ、僕たちはちょうど二組の間の席に座ることになった。
「トウヤたちは今日どうするの?」
サラダにフォークを刺しながら、ジャスミンさんが訊いてきたので魔道具工房に行くと伝える。
すると、どこの工房かという話になり……。
「ノルーシャ。工房の名前、おしえて」
「泉の道、という工房です」
リリーの質問にノルーシャさんが答えると、それを聞いた『飛竜』のみんなが「あー」と同時に声を発した。
やっぱり長くこの街にいるから、やっぱり知ってるのかな。
大きな一門なんだったら特に有名だろうし。
しかし、続くジャスミンさんの言葉は予想を裏切るものだった。
「なんだ、ゴーヴァルの友達のところじゃん」
「フレッグのやつの工房じゃな。久しくあってないが、元気にしとるかのぉ」
「……うん? あの、今──」
ゴーヴァルさんの友達って言った?
僕が確認しようとしていると、それよりも先に視界を横切る影が一つ。
「泉の道の工房主、フレッグ様とご友人という話は本当でしょうかっ!?」
ノルーシャさんは水を飲もうとしていたゴーヴァルさんに詰め寄っている。
席を立ったと思ったら、気づいたら一瞬で移動していた。
「あ、ああ、そうじゃぞ……?」
興奮した様子で顔を近づけてくるノルーシャさんに、ゴーヴァルさんは頷く。
「もうかなり長い付き合いになるかの。気に入っている酒場が同じなんじゃよ」
こ、これは……まさかの展開だ。
何か足掛かりになるかもしれない。
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