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レイのステータス

ついに明日、コミカライズ第1巻が発売予定です。

魅力度マシマシ! 可愛らしく、のんびりしていて、めちゃくちゃ素敵なのでぜひチェックしていただけると嬉しいです。

書店や各種通販サイトで、何卒よろしくお願いいたします!

 僕の鑑定スキルでは、同等以上の存在だからとか何とかで、これまで制限があって鑑定できていなかった。


 一応周りの目を確認してみる。


 列に並んでいる人たちは、幸い会話をしていてこっちを見ていない。


 反対側から顔を出して見てみると、カトラさんたちのもとへ戻ったリリーと目が合ったけれど、鑑定機の影に隠れて手元は見えないし不審がられはしないだろう。


 よし。


 とにかく、ぱぱっとやってみよう。


 肩の上からレイを下ろして抱き抱える。レイは突然のことに、「何だ?」といった感じで見上げてきた。


「ちょっと、そこに手を置いてみて」


 僕はそう説明しながら、レイの前足を持って誘導するように手形の上に置いてみる。


 あっ。


 反応はすぐにあった。


 僕のステータスを表示していた水色の光が、大きく揺らめいて変形していく。


 新たに表示されたステータスを見て、思わず目を疑った。




 【 レベル 】 13

 【 攻 撃 】 SSS

 【 耐 久 】 SSS

 【 俊 敏 】 SSS

 【 魔 力 】 SSS




 こ、これが……レイの?


 レベルが13なのは、僕以上に魔物を倒した過去があったのかもしれないから置いておくとして。


 それよりもなんだ、この『SSS』の表記。


 普通に考えたら、僕の『SS』よりも一段階上ってことなんだろうけど。


 なんか限界を突破しているというか、凄さを無理やり表現しているというか。


 ま、まあ凄いことに違いはないのだろう。


 確実に僕よりは。


「……すっ、凄いね。レイ」


 素直な思いが口を出る。


 再びこっちを見上げたレイは、少ししたり顔をしている気がした。


 鑑定機は前を離れると表示されていたステータスが消えたので、僕もブースから出てみんなのもとに戻る。


「トウヤ、今は酒場も混み合ってるみたいでな。話し合ったんだが、今日はもう君たちの硬貨の両替だけを済ませて、宿に帰ることにしてもいいかい?」


 サムさんが訊いてくれたの、頷く。


「はい、僕は全然。わかりました」


「よし、じゃあ両替所はこっちだ」


 多分、ジャスミンさんが酒場に寄るか提案していたからだろう。


 たしかに吹き抜けから見える酒場の席は、どこも満席だ。


 本当に冒険者の数が他の街と比べて桁違いに多い。


 こんなに繁盛してる酒場だったら美味しいものもたくさんあるだろう。


 ぜひとも行きたいが、残念ながらそれはまた別の機会にだな。


 サムさんたちの先導で公国貨幣への両替所に向かう途中、最後尾を歩くカトラさんに話しかける。


「さっき確認してきたステータス。レベル以外は数値じゃないんですね」


「ああ、そうね。レベルごとにステータスは上がっていくけれど、レベル以外の等級については、同じレベルで一般的に見てどれくらい凄いか表されてるのよ? 凡人が『D』で、天才が『A』くらい。それ以上はもっと凄い、みたいな感じでね」


「なる、ほど……」


 サムさんたちは冒険者のマナーとして結果を聞いてきたりはしなかった。


 だからカトラさんに説明を受ける意味も込めて訊いたけど、思ったよりも収穫のある話だった。


 あのアルファベットは、同じレベル内での相対的な評価ってことだったのか。


 ……うん、この認識で合ってるとは思う。


 ちょっと不安だけど。


「トウヤ君くらいの魔力量だったら、今のレベルだとあっさり『SS』とかだったでしょう?」


「……はい」


「それって、出会った頃にも言ったけれど数十万人に一人くらいの才能なのよ」


「あーそういえば、以前仰っていたような……」


 小声で話し合う。


 そうか。


 レベル1の頃から魔力が多いということは、レベル4になった今もそのくらいの才能がこの体には秘められているということ。


 あとは今後の伸び具合で変動もあるだろうけど、改めてレンティア様から与えられたものの大きさを感じる。


 何というか、色々経験するたびにぼんやりとしか把握できていなかった【使徒の肉体】や【魔法の才能】の凄さが鮮明になっていっている気がする。


「ま、うちのトウヤ君とリリーちゃんはそれくらい稀有な才能の持ち主ってことね」


 カトラさんは最後にそう言うと、僕がアイテムボックスから出した王国貨幣を入れた麻袋を受け取り、両替所に向かっていった。


 そうだ。


 リリーも魔力量や魔法に関しては、僕と同じくらいだもんな。


 魔力は『SS』ってことなのだろう。


 そう思うと、僕のように女神様から与えられたものもなしに、それだけ凄いリリーの天才っぷりがわかってくる。


 いつも隣にいるから「凄いなぁ」くらいにしか思ってないけど、もしかすると国レベルで大切にされるレベルの大天才なのかもしれない。


 恐ろしい子だ。


 そういえば、リリーも凄いけど『SSS』と表示されていたレイって……。


 レベル13の上に全ステータスが『SSS』だったし、数値に置き換えたらどれくらい高いのかな?


 10000とか超えてる気もするけど……いや、怖いからもうあんまり考えないでおこう。


 肩の上のレイが、重く感じてくる。


 フェンリルは神に近い種族だってレンティア様も言っていた。


 僕たちヒューマンと同じに考えない方が気楽でいれるはずだ。


 うん。


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