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助言

 アイテムボックスのことを隠す?


 鑑定スキルは秘匿すべきだ。


 なんせ使徒である僕しか持っていない。


 だけど……。


「アイテムボックス持ちはそこそこいるんじゃ」


「まあそうね。でもトウヤ君、その収納可能容量によっては面倒なことになるのよ?」


「容量、ですか……」


「その反応、やっぱりそういうこと?」


 隠せと言われた手前、どう答えようかと悩んでいるとカトラさんが頷いた。


「うん。その様子だったら安心できそうね。……あっ、私は言いふらしたりしないから大丈夫よ? ギルド職員として守秘義務があるから」


 そうか、良かった。


「でも、どうして僕がアイテムボックスを持っていると? それも容量まで」


「ドブさらいの依頼を君みたいな子が一瞬で終わらせてきたんだもの。可能性として一番高い話よ? だからもし大きな容量のアイテムボックスを持っていたら、早めに教えておかないと」


「早めに教えておかないと、どうなるんですか? さっき仰っていた面倒なことって……」


「小規模なアイテムボックスだったら便利なだけで済むのだけれど、大きければ大きいほど危険なのよねぇ……。あくどい商人なんかに目をつけられたら、最悪あの手この手で奴隷にされたり」


「な、なるほど……。それは何というか……怖い話ですね」


 奴隷かあ。


 知識に乏しい現状、かなり恐ろしい話だ。


 何があるかわからないし、早く自分のことを自分で守れるようにならないとな。


「あ! そっ、そういえば。依頼主の方の目の前でアイテムボックスを使ってしまったんですが、大丈夫でしょうか?」


「うん、たぶん問題ないわ。あのおばあさんとは昔からの知り合いだけど、とても信頼できる方よ。でも、驚いていたでしょう? 君のアイテムボックスを見て」


「ああ……そ、そうだったかもしれません」


 だからあそこまで驚いてたのか。


 まさに驚愕って感じだったもんなあ。


 反省だ。


「じゃあトウヤ君、今後は一度に収納する量なんかも考えて、上手くアイテムボックスを使っていくのよ?」


「はい、わかりました。わざわざ教えていただきありがとうございました。それと、ご心配おかけして申し訳ないです」


「ふふっ。もっと気楽に接してもいいのに。そんなに畏まらないでも」


「いえいえ、そんな」


 仕事上、いわば仲介業者の方なのだからそうもいかない。


 僕が立ち上がると、カトラさんは頬杖をついて口角をくいっと上げた。


「……まあ、それもそれで可愛いわね」


 大人の余裕で負けそうになったので、今日のところは一目散にギルドから引き上げることにした。


 なので依頼を1つ終え、まだ昼前にもかかわらず暇になってしまった。


 何をしよう?


 しかし働きつつ時間に余裕があるって素晴らしいな。


 休日じゃないのにこの開放感。


 今後も依頼をこなしながらやっていくとしよう。


 フストに入った門から奥の方向、街の中心部に足を運んでみようかと思ったが、また今度にすることにした。


 先に人が少なめのこの界隈で買っておきたい物があったからだ。


 短剣を購入した店がある通りに向かう。


 そして手頃な価格の服屋に入ってシャツとズボンをいくつか買った。


 今着ている物よりも肌触りが悪いのに、決して懐にノーダメージとはいかないがしょうがない。


 着替えがないのは大問題なのだ。


 寝るときも困る。


 それに替えがあれば自分で洗って乾かす必要もなくなり、高空亭のサービスで洗濯を頼める。


 僕はまだ会っていないけれど、グランさん曰く雇っている女性従業員の方が担当している仕事だそうだ。


 人目につかない所で買った物をアイテムボックスに収納。


 この辺りの地域では朝と夜の1日2食が一般的。


 だけど祠でも1日3食でやってきた僕にとってはまだ少し厳しい。


 だから屋台で串焼きを買った。


 初仕事を終えたご褒美だ。


 それに慣れるまでは空腹に負けるのは当然……だろう。うん。


 何の肉かはわからないけど、臭みもなくジューシーで悪くない。


 まぶされた香草がいい働きをしている。


 美味しいな。


 満足満足。


 他にこれといった用事もないので、僕はそれから一度宿に戻ることにした。



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