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ダンジョン

 この街が迷宮都市と名付けられた由縁であるダンジョンは、列の先にある。


 ゲートの向こうに入り口があるらしい。


 カトラさんが人から聞いたという話では、ダンジョンを管理するために、その上に冒険者ギルドが建設されたそうだ。


 魔道具も産出されるという不思議な迷宮。


 気にならないわけがない。


 久しぶりに強く胸が高鳴る。


 だけど……早くダンジョンに入りたいと頷いたのは、僕の場合は好奇心からだけではなかった。


 S級パーティが子供の冒険者と一緒にいることで、周りから注目の的になってしまっているのだ。


「あの三人、何者だ?」


「『飛竜』と親しいなんて、絶対に只者じゃないだろうな……」


 さっきのサムさんたちの話をしていた二人組も、そんなことを言い合いながらこっちを見ている。


 他のほとんどの人たちも同じような状態だ。


「三人とも服買ったんだね。似合ってるよっ!」


 こんなに見られたり噂話をされても、ジャスミンさんは気にならないのかなぁ。


「ん、ありがと」


 いや、リリーも同様に気にしている雰囲気はない。


 前ではカトラさんもサムさんたちと話しているし……。


 小物なのは、僕だけだったみたいだ。


 早く進んでくれと列に祈りながら待っていると、思ったよりも早く順番が来た。


 祈りが通じた……というわけではなく、元々このくらいの流れだったようだ。


「昨日言ったように、しっかりとギルド章を見せるのよ?」


 カトラさんが振り返って、僕とリリーに確認する。


 二列で通るゲートには左右に一人ずつ職員の方が立っていて、冒険者たちは自身のギルド章を提示しながら抜けていっている。


 冒険者登録をしていない人の立ち入りを禁止しているため、緩くではあるけれど確認がなされているらしい。


 説明は受けていたので、宿を出る前に僕のアイテムボックスから出し首にかけていたギルド章をそれぞれ上着の下から出す。


 ゆっくりと歩くくらいのペースで、ギルド章を職員の方に見せながらゲートを通り過ぎる。


 ふぅ。


 年齢的に止められたりするかと、ちょっと緊張していたけど大丈夫で良かった。


 僕たちを挟むように、後ろにジャスミンさんがいてくれたおかげもあるだろう。


 ゲートの先には薄暗い下り階段が続いていた。


 綺麗にレンガで舗装されている。


 冒険者の流れに乗って僕たちも下っていく。


 十段くらいで階段は終わり、前方に光が見えてきた。


 いつの間に横幅の広い洞窟のような場所になっていて、周りを行き来している冒険者の数も多くなっている気がする。


「どのゲートから入ってもここに通じておるんじゃよ。しかし地上に出る時は、階段を上ったら自分が入ったゲートにしか戻れんがの」


 僕がきょろきょろしていると、ゴーヴァルさんが説明してくれた。


「全部繋がってるんですかっ?」


 まるで転移でもしたみたいだ。


 ゲートがこの洞窟に繋がっているみたいな。


「あ。じゃあもしかして、ここもすでに……」


 このダンジョンは形としては地下に続いているが、また別の時空に創造されたものだと言われているんだとか。


 そのことを思い出し、ゴーヴァルさんに質問してみようとする。


 しかしそれよりも先に、僕たちは前方の光の中に足を踏み入れていた。


 一気に視界が開ける。


 上着を脱ぎたくなるくらいの暖かな日差し。


 目の前には、微風が吹く草原が遠くまで広がっている。


「トウヤの想像通り、さっきの場所がダンジョンの玄関口だね」


 会話を聞いていたジャスミンさんが、陽光に気持ちよさそうに目を細めながら答えてくれる。


「それで、ここが第一階層『地下草原』! ダンジョンへの挑戦、その最初の一歩目だね」


更新予約が間に合っておらず、申し訳ないです……!

さて、ピッコマでコミカライズの方、お読みになっていただけたでしょうか?

トウヤにレンティア。かわいい二人の掛け合い、最高ですよね。

今週も土曜日に更新されるようなのでお楽しみに!


そして小説の書籍版についてですが、今日くらいから多くの書店で並び始めているようです。

週末に書店へ行ったけど見つからなかった……という方、もしいらしたら申し訳ありません。

仕事や学校の帰り、お時間があるときに書店を覗いていただけたら幸いです。

何卒よろしくお願いいたします!

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