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【コミック2巻 11/15発売!!】神の使いでのんびり異世界旅行〜最強の体でスローライフ。魔法を楽しんで自由に生きていく!〜  作者: 和宮 玄


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資料館

 資料館の中は、大きく一つの部屋になっていた。


 壁に沿っていろいろと小物が置かれている。


 思ったより多くの絵とかもかけられているが、言っても全体的に規模は小さめだ。


 説明書きなど、手書きで丁寧に添えられているのでじっくり見たら時間はかかるかもしれない。


 だけど子供とかで、さっと見ただけで次々行っていると一瞬で周り終えてしまうくらいの展示数だった。


 まあ幸い、リリーも興味があるようなので僕たちは大丈夫そうだけど。


 肩で欠伸をしているレイにだけ、のんびりと待ってもらうことになるかな。


 ふむふむ……へぇ、そういうことが。


 などと、その昔、海の向こうで戦争に敗れた国に住んでいた民の一部が、このネメシリアに移ったことなどを知る。


 元の国で造船業を生業としていたのが、アルヴァンさんたちのような肌の色の方々だったようだ。


 それがこちらに渡り、生きていくためにも地元民と交流を持ちながら漁に出始めたらしい。


 多くの移民たちが海を越える際、自らで作った船を使ったそうだが、その設計図なども展示されていた。


 資料館の中を左回りで進んでいくと段々とネメシリアも発展していき……。


「これが今の地図ですね」


 最後には現代のネメシリアの地図が置かれていた。


「いやぁ。教えてもらえて良かったですね、ここ」


 僕が満足げに言うと、メアリさんも同意する。


「そうね。セナちゃんに教えてもらわなかったら、こんなに良い場所の存在にも気付けなかったわ」


 隣で銀の海亭や、クーシーズ商会の場所を地図で指し合っているリリーとカトラさんも頷いている。


 みんな満足で、想像以上に良い時間を過ごせたみたいだ。


「どれくらいの人が利用するかはわからないけど」


 カトラさんがそう言って、続ける。


「フストにもこういう場所があるといいわよね。街や、そこに住む人たちの歴史を残すって、きっと意味があることなんじゃないかしら」


 歴史を残す重要性、か。


 この世界でも学問の道を歩んでいる人たちにとっては、歴史を物として残すことは日頃から大切にしていることなのかもしれない。


 けど一般的な多くの人たちにとっては、歴史は言い伝えや、それこそフストでのアヴルの年越し祭みたいにイベント事として残す物だろうからなぁ。


 たしかに、この資料館みたいにしっかりとした資料とともに残せたら、誰でもより詳しく見れていいと思う。


 維持費とかの諸問題はあるだろうけど……。


 カトラさんの言葉に僕とメアリさんがいろいろと考えさせられていると、地図を見ていたリリーが不意に訊いてきた。


「ねえ……これ、なに?」


 僕たち三人も顔を寄せて、リリーが指している地図の部分を見る。


 このあたりは……ちょうど銀の海亭の反対側だ。


 高台になっているので頂上の方にネメステッド像があり、そのさらに向こう側をリリーは指している。


 ネメシリアの外にあたる場所なのかな?


 なんか点線で空間のような場所が描かれているけど。


 僕は当然知らないので、カトラさんとメアリさんの様子を窺ってみる。


 カトラさんも知らないらしい。


 首を傾げていたが、メアリさんはその場所について知っていたようだ。


「あら、そこはビーチね。ネメシリアの住民が遊ぶときくらいにしか使われてないそうだけど、昔、リリーが生まれる前にパパと一緒に行ったことがあるのよ? サラサラの砂浜でね」


 ビーチなんてあったんだ、この街。


 ジャックさんたちの若き日の思い出に、甘酸っぱい匂いもしてくるが、今はさきにビーチについて確認しておきたい。


「ここって、今も行けるんですか?」


「うーん、どうかしら。あとで商会に戻ったら、ノルーシャにでも話を聞いてみましょうか。大丈夫そうだったら、そうね。みんなで行ってみましょう。なるべく早くしないと、滞在できる日数も限られてるから」


 行けるといいな。


 海に面した部分は全て港になっていて、舗装されてるからなかなか海水浴とかはできないのかと思っていた。


 せっかく海に面した街にいるんだから、砂浜で遊んでみたい。


 メアリさんも今言ったとおり、ジャックさんたちが来たということは僕たちの出発も、もういつしても良くなったというわけで。


 ジャックさんたちもフストをずっと空けてはいられないから、1週間後にはネメシリアを出る予定とのことだ。


 これから予定についてさらにみんなで話し合って、いろいろと決めなければならない。


「おぉ……いきたいっ」


 リリーもビーチには興味津々のようで、小さな口を丸くすると目を輝かせている。


 街を回り、夕方頃にクーシーズ商会に戻ってからノルーシャさんに訊くと、今もビーチは使われているとのことだった。


 仕事を終え肩の力が抜けたジャックさんの提案で、二日後に僕たちみんなで遊びに行くことになった。


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