認められる兄 認められない弟
俺は、世界一No.2が似合う男。
いま、大王に拐われた姫様……の、七人の家来を救う為に、偽大王の城をひとつひとつ、攻め滅ぼしている所だ。
何故、わざわざそんな事をしているのかというと、俺の兄を、本物の大王の城に最短で攻め込ませるためだ。
……というのは建物で、本当は家来救出という、手間のかかる役割を押し付けられただけだ。
だいたい、大王もさ、自分の力を誇示するんだったら七人の家来達を同じ城に捕らえてた方が感じでるのに、なんでリスク分散とか訳わかんねぇこと言って、七つも点在する偽大王の城に監禁してくれるかね? しかもひとりづつ……すげえ面倒くせえ。
ああ、そう言えば、まだ俺の名前を言ってなかったな…… 俺の名は……まあ、どうでも良いか、そんな事。
さて、四人目の偽大王も野球ボール(大)の火の玉5発で倒したし、さっさと、姫様の家来を救出しにいくか、
……たぶん、あんまり歓迎されないんだろうなあ……
そんときは、家来もろともこの城を滅ぼしてやろう。
そんな物騒なことを呟きながら、俺は地下牢に向かう。
「おい、助けに来てやったぞ。家来」
助けを待っていた家来は、俺の声を聞くやいなや、目をきらきらさせ、喜びの声をあげる。
「来てくれたんだね! 嬉しいよ! ――」
だが、俺の姿を目視すると、家来は手のひらを返したかのように深いため息をつき、両腕を広げながら俺を見下した目付きでこう言いやがった。
「なんだ、弟の方か」
「弟の方とか言うな」
「コクージの方か」
「コクージの方とか言うな!」
前に助けた三人と、同じこと言いやがって。しかも態度まで一緒だし……
命の恩人なのに、なんでこんな気持ちにならなきゃいけないだ?
本当、この城と一緒にこいつも滅ぼしてやろうか……
俺は、重くため息をつきながら牢屋を解錠し、扉を開いてやる。
「……ほら、さっさと出てこい。おまえがいなかったら、姫様も淋しがるだろ」
「はあ……しょうがねぇなぁ、出てってやるか」
こいつ……消し炭にしてやろうか……
俺は殺意を覚えながらも、家来が牢屋から出てきたのを確認すると、身体を反転させ、階段に向かって歩き出す。
「悪いが、俺はもう行くからな。他にもまだ助けなきゃいけないおまえの仲間達がいるんだ」
「誰にも喜ばれないのに?」
「五月蝿ぇよ!」
家来に皮肉を言われ、思わず大声を上げてしまう俺。それでも、俺は家来の方を振り向かず、先を急ぐ。
「ちょっと待って! コクージ!」
突如、俺の事を呼び止める家来。
「……なんだよ……というか、コクージって言うな……」
面倒臭そうに振り返る俺に、家来は予定調和の様にこう言いやがった。
「姫様はここにはいないよ! 何処か別な城に」
「解っとるわあああぁぁぁ!!!」
……おしまい。