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第92話 神

〈side刹那〉


「あぁ、ごめんね。私の都合を優先していい状況じゃなかったね」


 そう言って、女性は小雪から離れる。小雪のほうが名残惜しそうな様子を見せている。会った記憶はなくても、母親っていうのは分かるもの何だろうか。少しでも親と過ごせていた僕は恵まれていたのかな⋯⋯。

 少し感傷に浸りそうになるが、すぐに意識を切り替える。空華の話が何なのかは分からないが、聞かなくていいものではないような気がする。


「さっき、空華ちゃんが言ったように儀式っていうのは完了しているわ。もうすぐ、『創造』が下りてくる」


 『創造』の神か⋯⋯。あの男も強かったがそれ以上の相手になるのだろうか。だったら、かなり厳しい戦いになりそうだ。

 今は小雪も戦闘能力は不明だが『無』の神と空華もこちら側にいる。少しだけ強い程度なら何とかなりそうな気がするが⋯⋯。


「正直に言うと私と空華ちゃんは戦力にならないわ。今の私はほとんどの力を失った状態だし、空華ちゃんに至っては戦闘向きの力とは言えないし」


 戦力は僕と小雪だけってことか⋯⋯。確かに僕らは強いが、神相手にどこまで通用するか⋯⋯。

 そんな状況だというのに、僕はどこかわくわくとしていた。小雪のほうをちらりと見てみるが、彼女もどこか楽しそうなそんな印象を受けた。


「⋯⋯正直娘には戦ってほしくないのだけど、そういうわけにもいかないみたいだし」


 女性はそう言って、小雪を見つめる。それに、こくりと頷く小雪。今の小雪には確かな意思が宿っているようにしっかりと女性の目を見つめていた。


「分かったわ。だから頼んだわよ」


 女性はそう言って、小雪から目線を外した。


「さて、それじゃあ作戦を⋯⋯」


 女性がそう言った途端に、辺りに砂ぼこりが舞った。同時に大きな音が鳴り響いた。


「っ!」


 空華は、すぐさま女性を例の謎の空間に入れた。そして、


「ごめんね。時間が足りなかったみたい。だから、頼んだよ」


と、僕らに告げ、自分もその空間に飛び込んだ。

 僕は小雪のほうに目を向ける。すると、小雪は頷いて駆け出した。僕も、それを確認してすぐに駆け出す。

 さあ、最終決戦と行こうか。



 突然に飛来してくるものを避け壊し続ける。しかしいつまで経っても、神が現れた場所まではたどり着ける気配がない。それどころか、回避するので精一杯で距離が離れていっているような気さえする。

 っ!

 回避しきれないような位置に物が飛来してくる。腕を振り上げようとするが、間に合わない。僕はダメージを覚悟したが、突然それは消滅した。

 傍で小雪がこちらに手をかざしていた。どうやったのかは分からないが、小雪が消滅させてくれたのだろう。そして、小雪は僕の隣にまで移動してくる。


「⋯⋯全部は消せない」


 小雪はそう言って少し顔を伏せる。飛来してくる攻撃にはちゃんと対応できているが⋯⋯。


「⋯⋯僕もだ。どうする?」


 このままいけばいつか躱しきれなくなる。僕らの能力的には死ぬことはないだろうが、精神的には消耗してくる。相手も、多少の消耗はあるだろうがこちらの消耗速度のほうが上だろう。


「⋯⋯とりあえず、今は耐えるしかない」


 小雪はそう言って、また顔を上げる。確かに、それ以外に今できる行動はない。攻撃するにも近づけないし、逃げるなんてもってのほかだ。逃げたところでまたこいつとは衝突する。

 だったら、何か打開策が出るまでは耐えるしかないのか?

 ⋯⋯いや、方法ならあるだろう。空華は僕の能力は完全ではないものの『変化』の能力だと言った。だったら、それを使えたら⋯⋯。

 だから、僕は小雪にこう言った。


「僕に能力を使ってくれないか?」


 確かに今の能力は完全な状態じゃないだろう。だが、それは今の話。神の時代では完全な『変化』の力であったはずだ。


「⋯⋯ん」


 言葉足らずだったようにも思うが、それだけで小雪には通じたようで、僕に能力をかけている。そして、今の僕がしないといけないのは⋯⋯。

 僕は小雪を持ち上げて背負う。この状況だと、能力なしだと即死しかねない。だから、小雪が僕の能力を『戻す』まで耐えることになる。離れて能力を使う負担を考えると、僕が背負って回避するしかないだろう。


「な、な⋯⋯」


 小雪が何やらてんぱっているように思うが、まあ我慢してほしい。これ以外に手段がないのだから。

 ちなみに、今の小雪は顔を真っ赤にして、僕に抱き着いていた。

 飛来してくるものの間を縫って避け、避けきれないものは蹴飛ばす。先ほどと違って動きが制限されるが、集中できれば躱すことは可能だ。ずっと集中し続けるのはしんどいが、小雪が能力を発動し終えるまでの間だ。それくらいなら大丈夫だろう。

 それに、不思議といつもよりも集中しやすかった。飛来するものにも先ほどより冷静に対処できている。安心感のようなものなのだろうか。小雪がいるというだけで、心が落ち着いた。

 だから今は、小雪を信じて耐えることしかできない。いや、それだけでいい。


イ「相変わらずの戦闘描写」

宵「もっといろいろ読んだらいいのかね?」

イ「読んでも吸収できなきゃ意味ないでしょ」

宵「ごもっとも」


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