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第68話 時を止める能力

〈sideミナ〉


 『時』に『止める』能力。つまり、時を止めることができるということ?というか、小雪ちゃんと一緒で二つ能力があるのか。まあ、この能力が分かったところで、対策ができるというわけではない。それが分かっているからこそ、あの男も何の能力なのか言ったのだろう。


「なるほどな。だが、その能力は両方有用そうだが、それでも力がなかったのか?」


 確かにそうだ。こいつが異世界人ではないとしたら、初めに持っていた能力は『止める』能力だけど、『止める』能力は私が最悪のパターンとしていた予測だ。その能力が弱いとも考えづらい。


「確かに言葉的には有用な能力に聞こえますがね⋯⋯。大体五秒くらいしか止めていられないんですよ」


 なるほど、使用制限があると。確かに五秒でできることはたかが知れている。この世界は銃という武器があることから、間合いは五秒で詰められるほど短くないだろう。


「それに、今のように時間を止めることはできませんでしたからね」


 時間を止められないなら、確かに今ほど強くはないのかな?


「だからこそ『時』の能力を与えてくださった主には感謝しているのですよ」


 能力を与えた⋯⋯。つまり祠ではなく誰かから受け継いだということだろうか。


「と、そろそろ時間稼ぎはいいでしょう?私にも都合がありますので」


 話し始めたのはそちらだろう、と口に出したいのをこらえる。


「来るぞ!」


 ボスがそう叫ぶも、私は攻撃されたようで体に痛みが走る。すぐそばには先ほどまであちらにいたはずの男の姿もあった。


「ぐっ」


 ボスも攻撃を受けたようで突然うめき声をあげる。私のすぐそばからはあの男の姿が消えていた。とどめを刺さずに行くのか⋯⋯。そこに苛立ちを感じるが、私が脅威になりえないというのも事実だろう。


「こんなもんでしょうか。それでは」


 そう言って、立ち去ろうとする男に私は能力で刃を作り出し、射出する。男はそれに少し驚くも難なく回避する。


「まだ意識があるのですか。かなり強めに殴っておいたのですが」


 今も痛いんですが?だからと言って、逃がすわけにもいかないけれど。


「俺もまだ意識はあるぞ」


 ボスも気絶したわけではないようだ。


「そうですか。まあ遠距離攻撃ができるのはあなただけのようですから気にすることはありませんね」


 私に目を向けながら男は言った。


「女性を何度も殴りつけるのは趣味ではないのですが」


 男がそう呟くと同時に姿が消える。それと同時に、私の体に痛みが走る。私はそれを無理やりに抑え、辺りに視線を向ける。男を発見してその腕をつかむ。

 私が唯一勝っている点、それは単純な身体能力。能力でも技術でも負ける。だけど、私のほうが力は強い。

 つまり、一度捕らえてしまえば相手はほぼ逃げることはできない。相手の能力が瞬間移動だったら使えない手だったけど、時を止めるだけなら単純に不可能なことはできない。だから、私はつかんだ男に向けて、能力を発動させる。すると、男の周りにナイフが浮かぶ。それを男は能力で停止させるとナイフはすべて落下する。私は再度ナイフを作り出して男に放つ。それらも、同様に落下させられる。それでも、私は同じ行動を続ける。そうしていると男の息も荒くなっていく。やはり、二つの能力を同時に使用するとなると消耗も激しいようだ。私も若干の疲労感、魔力が減っている感覚はあるが相手の消耗のほうが上だ。このまま続けていけば、と思っていたのだけど、


「はぁ、いい加減にしてくださいませんかね⋯⋯」


男は行動を変えて、私に攻撃を加える。その攻撃で私は力を緩めてしまい、その隙に男は私の手を振り払う。つまり、振出しに戻った。


「まさか、そんな手を取るとは⋯⋯。少々焦りましたが、対策はできます」


 男の姿は消え、私に痛みが走る。しかし、その時には私の手が届かないところまで男は移動している。

 五秒の間に私に一撃を与え離れたのだろう。こうなってしまうと、私になすすべはない。正直、体へのダメージも大きすぎて動くこともしんどい。


「ここまで消耗させられるとは思いませんでしたよ。どうしてくれるのですか」


 そんなこと言われても⋯⋯。私もかなり魔力、消耗したし。

 ん?魔力?私はいままで、なんで魔法を使わなかった?この世界で使えないという可能性もあるが、一切使おうとも考えていなかった。これが、あいつの言う『停滞者』の影響だろうか。成長できない、というのは戦闘経験が技術につながらないということなのだろうか。

 いや、今そんなことを考えても仕方ない。私は魔法を使おうと意識を集中させる。そして、回復の魔法を発動する。しっかりと魔法は発動し、傷は癒える。しかし、何度も使えるほどに魔力は残っていない。それに、能力に比べて魔力の消費も激しい。

 とはいえ、これでまだ私は動くことができる。でも、だからと言って、あの男に勝つ道筋が見えるというわけではない。ここから、どうやってあの男をもう一度捕まえるか。そして、捕まえた後に攻撃を受けないにはどうしたらいいのか。流石に、何度も攻撃を受けたら力は緩んでしまう。

 どうしたものか。そう考えつつ、私は相手の男に注意を向けるのだった。


超能力で時を止めるが思い浮かぶのは仕方ないと思うんだ。

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